食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 誇大宣伝?グルテンフリーダイエットは多くの人に役に立たないかも

All Hype? Gluten-Free Diets May Not Help Many
February 21, 2012
http://healthland.time.com/2012/02/21/all-hype-gluten-free-diets-may-not-help-many/
最近グルテンフリー製品が溢れている。しかし健康に気を遣ってグルテンフリー製品を食べている人達はお金の無駄かもしれない。
グルテンフリー食品はセリアック病患者には必要なものである。しかしGwyneth Paltrow やVictoria Beckhamのようなセレブに感化されて痩せるため、健康のため、ADHD治療などの目的で、セリアック病ではないのにグルテンフリーライフスタイルを選んでいる人達が多い。インターネットや大衆メディアによって、グルテンは今や「新しい食事中の悪党」になっている。

セリアック病ではないグルテン感受性:賢明か過敏か
Nonceliac Gluten Sensitivity: Sense or Sensibility?
Antonio Di Sabatino, MD; and Gino Roberto Corazza, MD
Annals of Internal Medicine February 21, 2012 vol. 156 no. 4 309-311
http://www.annals.org/content/156/4/309.abstract

一方「健康に気を遣う」人達の薦めるraw milkは明らかにハイリスク

  • CDC

多くの乳製品関連疾患アウトブレイクは未殺菌ミルクに関連する
Majority of dairy-related disease outbreaks linked to raw milk
February 21, 2012
http://www.cdc.gov/media/releases/2012/p0221_raw_milk_outbreak.html

注:Raw foodism(生食主義)(ローフードとかリビングフードとか)というのがあって、工業化以前の生活がいいとか、加熱により発がん物質ができるとか電子レンジは危険とか酵素がいいとかいろいろ混じっている。

  • 編集者の動きが反発を買う

Natureニュース
Editor’s move sparks backlash
21 February 2012
http://www.nature.com/news/editor-s-move-sparks-backlash-1.10068
生命倫理の分野で最も引用されている1999年創刊のAmerican Journal of Bioethics (AJOB)の編集長のGlenn McGeeが、2011年12月から根拠のない幹細胞治療を行っているCellTex Therapeuticsの倫理部長でもあることが問題になっている。McGeeは3月1日付で雑誌をやめると言っているが、多くの生命倫理学者が彼と雑誌の編集医院と出版社Taylor and Francisを批判している。McGeeには利益相反がある。
CellTexは昨年設立されたばかりの会社で、その幹細胞はソウルのRNL Bioのものである。McGeeはRNL Bioとは既に関係していて2010年に幹細胞についてのロビー活動をしている。RNL Bioの幹細胞は米国や韓国では認められていないため規制の緩い中国や日本に患者を送り込んで治療を行っている。
(これ
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=52828

  • 新しいヒステリーの色調

Op-Ed: New shade of hysteria
By Trevor Butterworth Monday, February 20, 2012
http://www.thedaily.com/page/2012/02/20/022012-opinions-column-lipstick-butterworth-1-3/
FDAが400もの口紅の鉛含量を調べて、微量なので危険ではないと人々を安心させようとした。都市の空気を吸うほうが毎日100倍も多くの鉛を吸収する。この結果はあなたは安全にセクシーな装いができることを示している。
ところが活動家達がメディアを扇動してFDAの検査結果は危険であることの証拠だと報道させたのだ。(検出された=危険、ゼロでないなら危険という主張。)
Campaign for Safe Cosmeticsは2005年には女性達に化粧品は乳がんの原因だから捨てろと言ったのを覚えていないか?かつてカリフォルニア州Marinで乳がんと診断される女性が多く、調査の結果この地域の女性の飲酒量が多く子どもを産む年齢が高くホルモン補充療法の利用率が高いことがわかった。これらが乳がんリスクを上げるがCampaign for Safe Cosmeticsは化粧品が原因だと主張した。
ところで鉛はどうして口紅に入っているのだろう?簡単なことだ、鉛は天然にどこにでもあり、完全に取り除くことはできない。
残念ながらレギュラトリーサイエンスは決して魅力的には見えないし、FDAはかっこよくないかもしれない。でも我々がそれらをファッショナブルなナンセンスに対抗するために不可欠なものだと認識すれば、魅力的でかっこいいものになる。

  • ダイエットソーダを飲むと心臓発作リスクが増えるか?

Forbes
Will Drinking Diet Soda Increase Your Risk For A Heart Attack?
Trevor Butterworth,
2/21/2012
http://www.forbes.com/sites/trevorbutterworth/2012/02/21/will-drinking-diet-soda-increase-your-risk-for-a-heart-attack/
世界で最も多く読まれている英語の新聞としてのNew York Timesの競争相手であるDaily Mailによると、「研究」によるとダイエットソーダを飲むと心臓発作リスクが増えることがわかったそうだ。この「研究」はDaily Mailが研究の知見を間違って伝えることのリスクもまた明らかにした。オックスフォード大学の神経発達心理学教授Dorothy Bishopによれば、Daily Mailは「間違った報道に与えるオーウェル賞」(普通でないレベルの不正確さを示すナショナルペーパーに与える賞)を与えられている。
しかしこの報道は一見正しそうに見える。研究者達は実際に、ダイエットソーダをたくさん飲むヒトに血管イベントリスクが高いということを発見しているからだ。しかし問題はこれが何を意味するか、ということだ。
この研究では一回の基礎調査をしただけで9.8年のフォローアップ期間の体重や食生活の変化は調査していない。ダイエットソーダを飲む理由が体重が気になるためだとしたら交絡になるだろう。因果関係を言うことはできないこと、規模が小さいことも含めて、新聞の見出しを支持するものではない。