食品安全情報blog過去記事

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日本の地震と津波から1年 専門家の反応

SMC
Japan’s quake, tsunami one year on – Experts respond
March 7th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/03/07/fukushima/
災害から1年、ニュージーランド、オーストラリア、英国のSMCがコメントを集めた。
以下のサイトでは日本語で音声提供
http://www.aussmc.org/2012/03/background-briefing-fukushima-one-year-on/?utm_source=Fukushima+%2F+Tsunami+anniversary+ALERT&utm_campaign=SMC+Alert+-+food+labelling&utm_medium=email
津波について
・GNS Science の自然災害研究者Graham Leonard
・New South Wales 大学Australia-Pacific 津波研究センター長James Goff 教授
・Southern California大学津波研究センターJose C. Borrero
・East Anglia 大学健康保護教授でJournal of Water and Health の編集委員Paul Hunter教授


核について
・Portsmouth大学環境物理リーダーJim Smith博士
(自然環境について)チェルノブイリより狭い範囲の永久立ち入り禁止区域は最終的には自然に戻るだろう
・Manchester 大学Richard Wakeford教授
チェルノブイリと違って初期の死者や早期健康影響はなく、子どもたちが汚染ミルクを飲むこともなかった。さらに大量の放射性物質が出ることはなさそうで日本人の大部分の福島事故によるリスクは極めて小さい
・Tony Irwin (肩書きがいっぱいある)
現状の整理
・Australasian Radiation Protection Society フェローDon Higson 博士
福島事故のINESのレベル7への分類は誤解を招くものでチェルノブイリと同じではない。しかしチェルノブイリと同じく、福島の主な健康影響は強制避難と放射線についての誇張された恐怖による心理的なものであろう。20 mSv/yを危険なものとして振る舞うのは逆効果である(かえって有害)。
・National Nuclear Corporation UK の安全性政策ユニットのメンバーだったJohn Price 博士
安全対策についてスリーマイルの事故などから全く学んでいない。1990年代に日本は新しい安全性の高い施設を作るれたのに安易に延長を選んだ。
・RMIT 大学医療用放射線上級講師Pradip Deb 博士
世界は原子力発電所なしになるべきだというのは現実的ではない。次世代の炉はより安全性が高い。学ぶべき教訓は再び、放射線恐怖症(ラジオフォビア)の方が実際の放射線暴露より我々を傷つけるということだ。途上国だけでなく先進国でも人々が根拠のない放射線影響を信じやすい。日本ですら放射線物理学の教育がなされていない。

1年のメディア報道を見て
Royal Berkshire 病院医療物理学部門長Malcolm Sperrin教授
福島の事故はただちにメディアに注目され多くの議論を巻き起こした。意見は概ねバランスのとれたものだったが陰謀論による恐怖を煽るための報道例もあった。知識と経験のある科学者にとっては津波後の数ヶ月間におこった出来事はしばしば説明するのが簡単だった。私は科学者は人々の全体としての理解を助けるために時宜にかなった消化しやすい正確な情報を提供する倫理的義務があると強く感じる。私の専門は放射線医学なので放射線暴露によるリスクの解釈に役割を持つ。私に言わせれば防護という意味では日本のリスク緩和対策は適切に行われた。現存するリスクの説明はさらに困難で、低線量ではどんな有害影響が誰におこるか特定できずそのような予測ができないことが事実を隠蔽しているとすら言われる。私の仕事は測定とリスク緩和のためにできることは全てなされていること、そのような批判こそが実害があると確認することである。
まとめると英国のメディアは概ね良い仕事をしたと感じている。津波が数万人を殺したにも関わらず余り報道されなかったことに留意すべきであろう。