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殺虫剤が「安全」量でミツバチに有害−専門家の反応

SMC
Pesticide harms bees at ‘safe’ levels – experts respond
March 30th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/03/30/pesticide-harms-bees-at-safe-levels-experts-respond/
今週Scienceに発表された2つの新しい研究でミツバチとマルハナバチが広く使用されている農薬の影響を受けることが示された−安全と見なされる量でも。
この研究論文では昆虫の神経毒素で1990年代初期に導入されて今や世界中で最も広く使用されているネオニコチノイド農薬の影響を調べている。この研究が対象にしているのはイミダクロプリドとチアメトキサムでどちらもニュージーランドでは認可されている。
1つの研究は英国Stirlig大学のPenelope WhitehornらがマルハナバチBombus terrestrisの発達中のコロニーに低用量のイミダクロプリドを暴露した。用量は野外でしばしば暴露される量である。次にコロニーを閉鎖された野外におき、6週間自然条件で餌を食べた。実験の最初と最後にどれだけコロニーが大きくなったかを知るため、巣の重さを量った。イミダクロプリド処理していないコロニーに比べて処理したコロニーの巣の重さは小さかった。処理コロニーは平均して対照群の8-12%小さかった。さらに処理コロニーの女王蜂は85%少なかった。
もう一つの報告ではフランスのチームが別の農薬がミツバチの帰巣能力を阻害することを発見した。一部のハチに亜致死濃度のチアメトキサムを与えて巣の出入りを追跡した。処理したハチは巣から離れている間に死亡する確率が2-3倍になった。研究者らは多分帰巣能力が農薬によって阻害されたのだろうと言う。
SMCはニュージーランドの専門家にコメントを求めた。
生物多様性保全研究員Linda Newstrom-Lloyd博士
ニュージーランドのミツバチにとって農薬問題は重大で、有害化学物質の誤用はそれだけで既に壊滅的なバロアダニの上にミツバチを衰弱させる要因になる。農薬問題は病気の増加や良い餌がないこと等に加えた、より大きな文脈で評価する必要がある。ニュージーランドに新しい病気が入ってくるリスクを増やすあらゆる行動やミツバチの餌となる蜜や花粉が無くなることによる栄養不良リスクは事態を悪化させる。養蜂が困難になるのはこれら3つのストレス要因の組み合わせである。ヨーロッパや北米ではバロアダニとのつきあいは20年以上になるがニュージーランドではたった10年である。
オタゴ大学准教授Peter Dearden
ネオニコチノイド殺虫剤は用途が広く効果があるためにニュージーランドや世界で使用が増加している。しかし北半球では使用の増加に伴いミツバチのコロニー崩壊との関連が議論されている。ニュージーランドではコロニー崩壊疾患(CCD)はまだ見られていないが、原因はまだ明確ではなくニュージーランドで起こらないかどうかはわからない。殺虫剤の製造者や使用者はハチの致死量以下で使用するようにしている。Scienceに発表された論文では致死量以下でも影響があることを示した。
ニュージーランドではバロアダニの侵入により既にハチが脅かされている。ゆっくりと、静かに、野生のハチがバロアダニのせいで大量に消失している。この事態を管理する必要がある。
以下略
いずれもダニによる被害が大きいのにさらに農薬の影響が加わるのは望ましくないという感じ。