食品安全情報blog過去記事

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IARCディーゼルエンジン排気は発がん性

IARC: DIESEL ENGINE EXHAUST CARCINOGENIC
12 June 2012
http://press.iarc.fr/pr213_E.pdf
国際専門家の一週間の会合の後、IARCは肺がんリスクの増加に関連するという十分な根拠をもとにディーゼルエンジン排気をヒト発がん性(グループ1)に分類した。
背景
1988年にIARCはディーゼル排気をおそらくヒト発がん性がある(グループ2A)に分類した。1998年にIARCモノグラフ計画のレビューをしている助言委員会がディーゼルは行きを再評価の優先順位の高いものにしていた。
ディーゼル排気の発がん性については、特にいろいろな状況でディーゼル排気に暴露された労働者の疫学研究から、懸念が増加していた。2012年3月にNCI/NIOSHによる地下鉱山での職業暴露により肺がんによる死亡リスクが増加したことを示した大規模研究の発表によりそれが再び強調された。
評価
ワーキンググループは科学的根拠を徹底的にレビューし、ディーゼル排気はヒト発がん性についての十分な根拠があると結論した。肺がんについて十分な根拠、同時に膀胱がんについても正の関連(限られた根拠)があるとし、グループ1とした。
またガソリン排気については1989年から変更はなく、発がん性の可能性がある(グループ2B)と結論した。
公衆衛生
職業や大気など、日常生活でたくさんの人がディーゼル排気に暴露されている。人々が暴露されているのは自動車の排気ガスだけではなく汽車や船、発電などのためのディーゼルエンジンからの排気にも暴露されている。
ワーキンググループの厳密な独立した科学的評価にもとづき、政府や他の意思決定機関はディーゼル排気の環境基準を検討しエンジンや燃料製造業者が目標とするための根拠ができた。過去20年間の環境への懸念増加により、北米やヨーロッパなどでは規制が行われている。基準と技術の間には強い相互作用があり、基準が技術を促進し新しい技術がより厳しい基準を可能にする。ディーゼルエンジンについては、硫黄含量を減らしたり燃料効率を上げるエンジンに変更したり排気を減らしたりすることにつながった。
しかしながらこのような変更で粒子状物質や化学物質の排出量は減ったものの、これが健康影響に質的量的にどう影響するかは明確ではない。この件についての研究が必要である。さらにこのような更新がなされていない既存燃料や乗り物の置換には、特に規制の行き届かない途上国では、何年もかかるだろう。多くの途上国では規制基準が無く、ディーゼル排気の存在や影響についてのデータが限られている。
結論
IARCワーキンググループの座長Christopher Portier博士は以下のように述べた:
「科学的根拠は説得力があり、ワーキンググループの結論は全員一致だった:ディーゼルエンジン排気はヒトに肺がんを誘発する。さらにディーゼル粒子による健康影響が加わるため、この混合物への暴露は世界中で減らすべきである。」
IARCモノグラフ計画の長であるKurt Straif博士は「この結論を導いた主な研究は大量に暴露された労働者でのものである。しかしながらラドンのような他の発がん物質で学んできたように、リスクがあるという最初の研究は高濃度暴露された職業集団でのものであるがその後一般人でも陽性の知見がみられた。従って暴露量削減は労働者にも一般人にも必要である。」と述べた。
IARC長官のChristopher Wild博士は「IARCの任務は国及び国際レベルでの規制上の決定に科学的根拠を提供することであるが、今日の決定は公衆衛生対応が必要であるという強いメッセージである。新しい技術や保護対策に何年もかかるであろう途上国の脆弱集団を含めた地球規模での対策が必要である。」
要約はLancet Oncologyに。
以下定義の説明


(最大の根拠となった論文については以下も参照
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120305#p8

これを伝えるNHK

ディーゼル がんリスクが最高度に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120613/t10015792191000.html
発がん性のリスクを5段階の危険度のうち、最も高い分類に

相変わらずIARCの分類の意味を理解していない・・リスクが大きいかどうかではなく根拠が確実かどうかを評価しているんだけど。
NHKがこれだもん

停電時の非常用にディーゼル発電機を持ってるところは多いはず。原子力発電所止めてそれらを使うとしたら計算上のリスクは高くなるだろう
火力発電についてはこれでも
http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/6424ac1caa800aab85257359003f5337/e2809175cc236605852578b000532168!OpenDocument