食品安全情報blog過去記事

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「安全な量はない」−妊娠中のアルコール研究についての専門家の反応

SMC
‘No safe limit’ – experts respond to alcohol during pregnancy research
June 22nd, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/06/22/no-safe-limit-experts-respond-to-alcohol-during-pregnancy-research/
新しい研究は、妊娠初期の少量−中程度の飲酒と子どもの神経心理学的悪影響に関連しないことを示唆するが、ニュージーランドの専門家はこの知見は妊娠女性がシャンパンを飲む理由にはならないという。
デンマークの研究者らがBJOG: An International Journal of Obstetrics and Gynaecologyに発表した一連の論文。研究者らは少量−中程度の飲酒で有意な悪影響を同定できなかったが、「妊娠中のアルコールの安全な量はわかっていない。従って女性に対しては妊娠中は全く飲まないのが最も安全であると助言されるべきである」と結論している。それにもかかわらず、一部の海外メディアはまるでこの研究が妊娠中に飲酒しても安全であることを証明したかのように報道した。
SMCはニュージーランドの専門家に意見を求めた
Alcohol Healthwatch のChristine Rogan
この種の研究は妊娠女性が飲酒する理由にはならない。メディアは酒を飲むのが良いことだという見出しを好み、見出しだけで判断されてしまう。安全な飲酒量は確立されていない。
オークランド大学公衆衛生Sherly Parackal博士
オタゴ大学予防社会医学Jennie Connor教授

妊娠中の飲酒による悪影響ははっきりしている。ごく微量では影響が検出できない。この情報を女性が妊娠中に「大量でなければ」飲んでも良いと解釈するのはリスクがある。
Massey大学食品栄養健康研究所 Kathryn Kitson准教授
この研究の報道は「週に9回しか飲まなくても子どもの集中力に問題があることと関連する」とすべきである。この結果は妊娠中には飲まないのがいい、という助言を確実にするものである。

(メディアは酒は健康によいという話が好きなので、アルコールでがんになることすら知らないヒトがいる。)