食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 前立腺がん:PSAを追っ払うべき?

Lancet エディトリアル
Prostate cancer: send away the PSA?
Volume 380, Issue 9839, 28 July–3 August 2012, Pages 307
前立腺がんを巡る最近の議論について。
増殖が遅く、症状が無く、そして致死的にはならないがんがあることについて、一部の医師や患者は心配しないだろうがそうではない人達もいるだろう。前立腺がんはそれが原因で死ぬがんというよりそれとともに死ぬがんであり、古いことわざをひけば「有害なことをしないことが一番」ならPSA検査は悪いことを引き起こしている。

  • どのようにして間違った考えが社会を引っ張るのか

Lancetパースペクティブ
How bad ideas gain social traction
Nicoli Nattrass
Pages 332–333
AIDS否定論に代表される陰謀論について。

  • 薬物使用者を洗い出す

ScienceNOW
Flushing Out Drug Users
by Kai Kupferschmidt on 27 July 2012
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2012/07/flushing-out-drug-users.html?ref=hp
ヨーロッパ19市の下水を分析して違法薬物を検出した。大麻の使用はヨーロッパ全体で似たようなものだったがコカインはベルギーや西および中央ヨーロッパで高く、エクスタシーはアントワープ、ロンドン、オランダの都市で多い。さらに週末に薬物が増える。一方メタンフェタミンスカンジナビア諸都市とチェコで多い。ただし一部のピークは使用ではなく製造による可能性がある。これらのデータから、研究者らはヨーロッパでは毎日大体355kgのコカインが使われたと推定している。

  • 母乳育児の理想と現実

NYT
The Ideal and the Real of Breast-Feeding
July 23, 2012 By Jane E. Brody
http://well.blogs.nytimes.com/2012/07/23/the-ideal-and-the-real-of-breast-feeding/?ref=janeebrody
「母乳が一番」という教義が、それができない母親達に罪悪感と深刻な辛さを与えていることがますます問題になってきている。多くの母親がフルタイムで働いていて助言通りに母乳を与えることができない。43年前に私の二人の息子が生まれたとき、母乳のみを与えよというプレッシャーは今ほど強くなかった。それでも私は働きながらそうしようと思っていたが妊娠7ヶ月で双子であることがわかったとき、医師は私に仕事を辞めるよう命じた。子どもたちは緊急帝王切開で生まれ私は命に関わる子宮感染症を発症し子どもたちと離され子どもたちはミルクを与えられていた。私が退院したとき子どもたちは4時間おきにミルクを飲んでいて私の母乳はその半分以下しか出ていなかった。そして医師、産科医と小児科医が違う助言をした。私は結局両方を混ぜて最初に母乳を与え次にミルクを与えるようにし、やがて子どもたちのミルクの量は減ったが、私が働き始めると母乳を与えるのが無理になった。
今や多くの女性がフルタイムで働いており、職場の多くは母親が授乳できる環境にない。さらに長期間収入がないことに耐えられる人は少ない。NYTにAlissa Quartが書いたエッセイ「ミルク戦争」に記述されているように、新米ママの多くが、6ヶ月間母乳のみで育てるのは不可能ではないにしても困難だと感じている。さらに母乳を与えないことを妊娠中に喫煙することに喩える健康当局がこれらの女性をさらに苦しめる。しかし最近スコットランドで行われた調査が示すように、理想と現実の間には乗り越えられない壁があり、もっと現実的な目標を設定すべきである。母乳で3人を育てたHanna Rosinは母乳は無料だと言うのなら、女性の時間が価値がないということであると述べている。BMJ Openに研究を発表したスコットランドの研究者は母乳育児については理想主義と現実の衝突が起こっていると結論している。
さらに「母乳が一番」のプロパガンダで主張される赤ちゃんのアレルギー、喘息、湿疹、耳の感染、肥満、糖尿病、突然死、知能低下リスクの削減及び母親の乳がんリスクの削減についての根拠はそれほど強くはない。Ms. Rosinによれば、母乳は多分ほんの少しミルクより良いが、巷で宣伝されているような圧倒的根拠というにはほど遠い。
母乳については極論ではなくもっと現実的に考えるべき。
(母親と赤ちゃん周辺は議論が感情に支配されがちで。でもミルクのメリットのひとつは父親が参加できるということで、これは状況によっては母子密着による弊害を予防する大きな効果があるかも。リスク/ベネフィットバランスは人によって違うので他人が押しつけるものではない、といういつもと同じ話。)