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精神的苦痛と死亡率の関連−専門家の反応

SMC
Psychological distress linked to mortality – experts respond
August 1st, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/08/01/psychological-distress-linked-to-mortality-experts-respond/
BMJに発表された新しい研究で、大規模健康調査のデータを解析し精神的苦痛が8年以上の期間での死亡リスク増加と関連することを同定した。
著者によると、通常精神医療の対象とならないような低いレベルの苦痛であってもリスクは増加する。一般人の約1/4がこのような軽い不安や鬱症状に苦しんでいる。
これまでの精神的苦痛と死亡率の関連についての研究は小規模でリスクの閾値を信頼性高く測定できなかった。この研究では1994年から2004年のイングランド健康調査に参加した35才以上の68000人以上のデータを解析した。
エディトリアルでは、この知見は精神的苦痛と心血管系疾患の因果関係を示唆する根拠を付け加えるものであるが、どうやって介入するかは明確ではないとしている。
英国SMCが専門家のコメントを集めた。
Wellcome Trustの精神科学精神衛生部長John Williams
精神衛生上の問題を持っている人達は社会において最も脆弱である。この研究は彼らに適切な医療や助言が必要であることを強調する。
King’s College Londonの精神医学上級講師で顧問臨床心理学者Jennifer Wild博士
英国の精神保健医療費の削減直後でタイムリーである。ただし精神的苦痛が自己申告であることには注意が必要である。通常それはストレスを過剰推定する。精神衛生を無視すべきではない。
Cardiff 大学Paul Keedwell博士
これは興味深い研究であるが、個人レベルでは鬱や不安に悩む人は自分は早死にすると結論すべきではない。この研究は純粋なフォローアップ研究ではなく、診断されていない病気が精神的苦痛と死亡の両方の原因になっている可能性がある。
King’s College LondonのPaul Keedwell教授が質問に答える

Association between psychological distress and mortality: individual participant pooled analysis of 10 prospective cohort studies
BMJ 2012;345:e4933
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e4933