食品安全情報blog過去記事

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その他

Association Between Omega-3 Fatty Acid Supplementation and Risk of Major Cardiovascular Disease Events 
A Systematic Review and Meta-analysis
Evangelos C. Rizos et al.,
JAMA. 2012;308(10):1024-1033
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1357266
全体として、オメガ3脂肪酸サプリメントはすべての原因による死亡、心臓死、心筋梗塞脳卒中リスクを減らさない

  • リスク要因傾向:長期にわたる重要な健康リスク要因の年齢パターン

AIHWオーストラリア健康福祉研究所
Risk factor trends: age patterns in key health risk factors over time
11 Sep 2012
http://www.aihw.gov.au/publication-detail/?id=10737422803
過体重や肥満、運動不足、貧しい食生活、喫煙、過剰飲酒などの健康リスク要因の年齢層ごとの時間経過比較。良いニュースは若い人たちの喫煙率の低下、悪いニュースは全年齢層での肥満/過体重の増加。
首都に住む成人男女が1980年から2007-8年の間に平均8kg体重が増えた。特に1995年までの増加が大きい
喫煙率は男性27%から21%へ、女性20%から17%に減少

  • 中国の子どもたちでの遺伝子組換え米研究に抗議の嵐

ScienceInsider
Firestorm Erupts Over Transgenic Rice Study in Chinese Children
by Mara Hvistendahl and Martin Enserink on 11 September 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/09/firestorm-erupts-over-transgenic.html?ref=hp
中国の新華社通信のウェブサイトに先週掲載された漫画は笑い事ではない。この漫画ではアメリカ国旗の模様のネクタイをした科学者が顕微鏡をのぞきつつ不自然な色の米を中国人の子どもの口に入れている様子を描いている。この漫画は「実験より恥ずべきことは嘘」という見出しの記事につけられた。
このイラストはビタミンAレベルの高いゴールデンライスを中国の児童に与える4年も経った研究についてのメディアの非難の一環である。この研究の結果は8月はじめにオンライン発表され、グリーンピース中国の活動家が8月29日に国際スキャンダルと呼んで告発するまでほとんど注目されなかった。
この研究に出資している米国NIDDKなどは、この研究はすべて必要な法的倫理的許可を得て行ったものだと反論している。グリーンピースのやり方は「無神経で皮肉」とスイスのゴールデンライスプロジェクトのマネージャーでこの研究には関与していないAdrian Dubockは言っている。
中国の新聞のコラムニストは主著者であるTufts大学の研究者を子どもたちを「モルモット」にしたと非難している。一部は第二次世界大戦中の日本軍による中国人捕虜での生体実験にたとえている。この騒動で共著者として掲載された一部の中国人科学者が仕事を離れることにつながった。一人は中国CDCを今週辞任した。
ゴールデンライスは1990年代後半に世界のビタミンA欠乏に苦しむ人々を助ける目的で開発された。グリーンピースは長い間このプロジェクトを攻撃している。
中国での研究はゴールデンライスに含まれるベータカロテンが、食べた場合にどれだけ効率よくビタミンAに変換されるのかを調べるためのものである。発表された論文によると2008年に72人の子どもにゴールデンライス、ほうれん草、ベータカロテンカプセルのどれかを与え、ゴールデンライスがほうれん草より良いビタミンA源であることを報告した。
中略
騒動が起こってから中国人共著者がこの仕事への関与を否定している。9月5日には論文の4番目の著者Wang Yinが人民日報に「私はこの論文を知らない」と語ったと報じられている。
中国CDCはYin Shi'anを含む中国人研究者が協力したことを認めつつも彼らが与えたのはほうれん草とカプセルだけで、ゴールデンライスはTufts大学のプロジェクトで自分たちは知らないと示唆している。しかし中国CDCはYinを彼の話に矛盾がある"inconsistencies"という理由で停職にした。
論文の共著者になっている中国人科学者の誰もScienceの取材に答えていない。
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グリーンピースインターナショナルはこんな感じ
Chinese children used in US-backed GE food trial
August 31, 2012
http://www.greenpeace.org/international/en/news/Blogs/makingwaves/chinese-children-used-in-genetically-engineer/blog/41960/
外国の科学者がやってきて子どもたちを実験台にしたと聞いたら怒るよね、という書き方。
ちなみにゴールデンライスについては、貧困を解決してたくさんの食べ物が提供できればゴールデンライスなんかいらない、というもの。
(世論の動向により事実を曲げたり誰かをスケープゴートにして処理しかねない中国との共同研究ってハイリスクだな。。。管理されないまま流通しているBt米は既に大量に食べているのにと思わないでもない)

  • カリフォルニア表示投票のイブにRachel Carsonのアドバイス:何故賢い環境保護主義者はGM食品に賛成するのか

Science 2.0
Rachel Carson's Advice On The Eve Of The California Labeling Vote: Why Smart Environmentalists Back GM Foods
By Jon Entine | September 9th 2012 07:08 PM
http://www.science20.com/jon_entine_contrarian/rachel_carsons_advice_eve_california_labeling_vote_why_smart_environmentalists_back_gm_foods-93834
50年前に海洋生物学者Rachel CarsonはSilent Springの発表により現代の環境運動に火をつけた。彼女が批判したのはヒトや野生動物に有害影響を与える可能性のある農薬の過剰使用で、より積極的科学的農業近代化を求めた。彼女のメッセージは彼女の熱心な支持者にも見過ごされている。11月のカリフォルニアのProposition 37投票に向けて、彼女のメッセージを考え直すべきだ。
(Carsonは実際にはGMについて何も言っていないけれど、農薬に代わる生物学的害虫コントロールの研究を強く支持していたので)