食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

SCHER 肥料中カドミウム スウェーデンのリスク評価報告書(ヒト健康)に追加の要請

SCHER - Opinion on Cadmium in Fertilisers - Additional Request on the Risk Assessment Report from the Kingdom of Sweden (Human Health)
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/environmental_risks/docs/scher_o_162.pdf
スウェーデンに特異的なリン肥料中カドミウムによるヒト健康リスクはあるのか、についての意見
カドミウムの土壌中半減期は100年以上で、現在の土壌中カドミウム濃度に過去の施肥は有意に寄与する。肥料中カドミウム濃度が46 mg Cd/kg P (つまり. 20 mg Cd/kg P2O5,)だと土壌中のカドミウム変化はは-6%から+16%と計算される。施肥回数や土壌中のリンの状態により変動する。土壌からのカドミウムの流出はpHが低いほど早い。スウェーデンがヨーロッパの他の国よりカドミウム濃度が高いことはない。植物による土壌中カドミウムの取り込みがスウェーデンでだけ大きいこともない。食事からの暴露量は平均1.0 μg Cd/kg b.w./day あるいは1.4 μg Cd/kg b.w./dayといった数値が報告されている。EFSAはスウェーデンについて1.7 μg Cd/kg b.w./dayと推定している。これは他の国より特に高いわけではない。TWIを超過しているスウェーデン人集団は90%CIで2.8%と比較的少ない。また血中カドミウム濃度に増加傾向はない。
全体としてスウェーデンでのみ特殊な事情があるとするにはスウェーデン人が特にカドミウム暴露に感受性が高いことを示さなければならない。
(肥料中カドミウム濃度についてのEU規制をさらに厳しくすべきだとスウェーデンが主張していたことについて。ちなみにEUのTWIは日本の1/2以下だし日本人のカドミウム摂取量はヨーロッパ人より多い。しかし日本はコーデックスでコメのカドミウムの基準値を下げるどころか上げることを要求した、ということは、日本の食品は安全だと根拠無く主張している人たちは知っておくべきだと思う。日本人はコメのためなら多少の安全性は犠牲にしてもいいのだと判断したことになっているのだが、一般の人にリスクを受け入れたという自覚があるのだろうか。ヒ素でも同じことが繰り返されるのだろうか?)