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Séraliniら(2012)によるグリホサート製剤とGMトウモロコシNK603の2年間齧歯類混餌投与試験論文についてのヘルスカナダとCFIAの声明

Health Canada and Canadian Food Inspection Agency statement on the Séralini et al. (2012) publication on a 2-year rodent feeding study with glyphosate formulations and GM maize NK603
October 25, 2012
http://www.hc-sc.gc.ca/fn-an/gmf-agm/seralini-eng.php
2012年9月にフランスCaen大学のGilles-Eric Séralini博士らのチームがFood and Chemical ToxicologyにラウンドアップレディトウモロコシNK603と除草剤ラウンドアップ(グリホサートを含む製品)の長期毒性試験結果を発表した。
ヘルスカナダとCFIAの科学者が発表されたデータをレビューした結果、研究デザインや解釈や報告の仕方に重要な欠点を複数同定した。用いられた方法の説明は不適切で、データのすべてが報告されているわけではなく、透明性のないやり方で報告されている。さらに統計学的手法は不適切であり、これらに欠点はこの研究結果の妥当性を決めるのを困難にしている。
Séraliniらの研究をレビューするに当たってヘルスカナダとCFIAの科学者はNK603についての発表された論文や申請書類も考慮した。これらの情報のレビューから著者の結論は支持されない。結論としてヘルスカナダとCFIAはNK603や除草剤グリホサートの既存の認可に現時点で変更の必要はないとした。さらに包括的解析のためにヘルスカナダとCFIAは著者に完全な生データの提供を求めた。
この論文のレビューは既にBfR、EFSA、FSANZ、ANSESからも発表されており、すべてこの研究が不備があると結論している。従ってNK603の安全性評価の改訂理由にはならない。
圧倒的科学的根拠はNK603と除草剤グリホサートの安全性を支持し続けている。しかしながら新しいデータがあればそれは注意深く検討され、懸念となるリスクが同定されればヘルスカナダとCFIAは適切な対応をとる。