食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • ミツバチを煩わせる殺虫剤についての報告書を巡る騒動

Nature
Row over reports on bee-bothering insecticides
Daniel Cressey
16 January 2013
http://www.nature.com/news/row-over-reports-on-bee-bothering-insecticides-1.12234
Syngentaはリスク評価を「大急ぎで作られた不適切なもの」と批判
ヨーロッパの食品安全機関が3つの報告書を発表することで、ネオニコチノイドとよばれる殺虫剤の使用と米国やヨーロッパなどでのミツバチの減少の関連についての議論をかき立てた。主要製造業者のひとつはこの報告を「大急ぎで作られた不適切なもの」と非難している。
ネオニコチノイドとミツバチコロニーへの有害影響を関連づけた科学文献はたくさんあるが、減少の原因は一つではないと信じる科学者もいる。EFSAの新しい評価では、クロチアニジン・イミダクロプリド・チアメトキサムの3つのネオニコチノイドについての既存の研究をもとに、これらはミツバチにとって魅力的でない、蜜や花粉を集めない作物にのみ使うべきだと結論した。これらを含むダストや樹液もミツバチにとってリスクとなる可能性があるとした。
この仕事にSyngentaのJohn Atkinは厳しい批判を行っている。EFSAが政治的圧力から拙速な評価を行ったことは明白である。三ヶ月で作ったこの報告はネオニコチノイド発売前の多くの研究やフィールドでのモニタリングを考慮していない。EFSAとその科学者にふさわしくない、と。
NatureはEFSAにこの声明への反応を依頼した。
欧州委員会はEFSAの評価を歓迎している。この結論は幾分懸念すべきものではあるが、解析した科学的データに多くの欠陥がある、と広報担当は述べた。

  • 福島:恐怖のフォールアウト

Nature
Fukushima: Fallout of fear
Geoff Brumfiel 16 January 2013
http://www.nature.com/news/fukushima-fallout-of-fear-1.12194
福島の核災害後、日本は放射線の物理的影響からは人々を守ったが、心理的影響からは守れていない
インタラクティブ:ボイスオブ福島
(地図をクリックするとその場所の住民の声が聞ける
水道も出ないけれど避難する予定はなく高齢の親と一緒に幸せだ、避難のストレスで酒量が増えた、鬱になった、将来が不安、線量は低く問題ないという場所に住んでいたが不信感しかなく遠くに避難して活動家になったなどの5人を紹介。)
記事本文では避難生活や別離による飲酒、不安、怒りなどの精神的負荷を紹介。
事故直後、公衆衛生の専門家は放射線によるリスクの可能性について心配したが、その後の解析では人々の暴露量は比較的安全なレベルにとどまったことを示している。しかし、不確実性と隔離と放射線の見えない恐怖とが21万人の避難者の精神衛生を脅かしている。
医師や研究者はこの問題の評価と緩和を試みているが、日本政府に必要なサポートをする意志やお金があるのかは不明である。さらに政府を信じておらず精神的問題については話したがらない避難者が援助を受け入れるかどうかも不明である。この組み合わせがさらに不安や薬物濫用や鬱を増やすことを研究者は恐れている。
2万人もの死者と数十億ドルの被害をだした津波被害からの生存者は将来についてもっとポジティブである。一方核の避難者は日に日に鬱になっていく、と福島(県立)医大の精神神経科医Hirooki Yabeは言う。
中略
何年もの間、日本の精神衛生サービスは非常に重症な患者しか扱ってこなかったが、現在変化中で事故の際にはファーストレスポンダーの中に精神衛生の専門家もいた。最近日本は鬱や自殺について医師の教育や啓発を行うようになっていた。しかしその質はまだらで、事故の前から福島は精神衛生については明るい場所ではなかった。田舎の保守的地域では精神衛生の優先順位は高くなかった。津波と核事故でこの地域の精神衛生サービスはほぼ破綻した。事故後の県のリソースのほとんどは既に確立した精神疾患のある人のために費やされた。避難所を訪れる精神衛生の専門家は極めて重症の症例しか扱わない傾向があった。
中略
日本では「放射能恐怖症radiophobia」が避難者の大きな問題であり続けている、とYabeは言う。例えば昨年Pew Research Centerが発表した世論調査では、日本人の76%が福島県産の食品は安全でないと信じている。政府や科学的根拠は逆であることを確認している。そして避難者の放射線暴露は少ないという政府の健康調査を多くの人が信頼していない。
島健康調査の精神科医チームは苦痛スコアの高い人に精神衛生についての調査を行ったが回答率は40%と低い。
(長い記事で、ある家族の紹介が多い。この記事に福島を呪うコメントがつくことがまさしく象徴的)

  • 「殻にショックを受けた」カニは痛みを感じる

'Shell-shocked' crabs can feel pain
16-Jan-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-01/qub-cc011413.php
Queen's University Belfastの研究者らがカニは痛みを感じているようだということを発見したため、食品と水産業界は生きた甲殻類の取り扱い方法を再検討すべき
(動物の福祉関連。水産物については日本人と欧米人の感覚の違いが大きいような)