食品安全情報blog過去記事

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  • 内分泌撹乱化学物質:どのくらい健康への脅威となるのか?

Endocrine-disrupting chemicals: how much of a health threat?
The Lancet エディトリアル
Volume 381, Issue 9868, 2–8 March 2013, Pages 700
先週大手メディアのいくつかの見出しで、人々がテフロンコートのフライパンが怖くなって台所で縮みあがったかもしれない。ある新聞は「日用品があなたを殺そうとしている」と報道し、別の新聞は「日々の生活で毒を盛られている」と言う。
メディアが報道したのはWHOとUNEPによる「内分泌撹乱化学物質の最新科学」という新しい報告書で、この報告書は合成化学物質が健康に相当影響している可能性があると警告しさらなる研究を求めている。
ホルモン受容体やホルモン系、代謝に干渉する可能性のある化学物質は約800で、一部は天然物、合成品は農薬や電子機器や化粧品に含まれる。この報告書はいくつか公平な指摘をしている−例えば多くの内分泌関連疾患が増加していて、複合暴露の健康影響がよくわかっていないためにEDCによる疾患リスクは過小推定されている可能性がある、などである。しかしそれはさらに飛躍して、単なる推測にすぎない根拠でも特定の疾患との関連を名指しするところまでいってしまっている。例えば甲状腺撹乱因子と甲状腺がんの増加について議論しているがEDCと甲状腺がんの関連については極めて限られた根拠しかない。甲状腺撹乱と自閉症の関連にも言及しているが単なる推測にすぎない。
最も重要な指摘は現在EDCを含む化学物質の暴露と有害健康影響の関連についての根拠の確からしさを評価するための広く合意されたシステムがないということであろう。
(そもそも「有害影響」の定義すらよくわからない。ジェンダーステレオタイプをあからさまに押しつけてくる人たちもいて。メスをみたら襲いかかるのがオスだ、そうでないのは異常だと言われたって全く合意できないんで。)

  • ハーブ肝毒性:報告事例の表によるまとめ

Herbal hepatotoxicity: a tabular compilation of reported cases.
Teschke R et al.,
Liver Int. 2012 Nov;32(10):1543-56
ハーブによる肝毒性の事例収集

Anaphylaxis to cow's milk formula containing short-chain galacto-oligosaccharide
Chiang WC et al.,
J Allergy Clin Immunol. 2012 Dec;130(6):1361-7
プレバイオティクスとしてミルクに添加してある短鎖ガラクオリゴ糖アナフィラキシーを誘発したと考えられる5事例

  • 高血圧に寄与する可能性のあるハーブ製品

Herbal products that may contribute to hypertension.
Jalili J et al.,
Plast Reconstr Surg. 2013 Jan;131(1):168-73.
美容整形の術後に影響する可能性のあるハーブ、という観点でのリストアップ。美容整形手術を受ける患者のハーブ使用率が多いので。アルニカ、ビターオレンジ、ブルーコホシュ、当帰、エフェドラ、イチョウ、ニンジン、ガラナリコリス、ハッカ油、エニシダ、センナ、southern bayberry 、セントジョーンズワート、ヨヒンビンをあげている