食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 灰色の色合い

Natureエディトリアル
Shades of grey
22 May 2013
http://www.nature.com/news/shades-of-grey-1.13029
Katherine Flegalらによる肥満研究について
(http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20130523#p9)
Flegalを批判する人たちはこれが公衆衛生の努力を妨げるものだとしている。体重を減らすより増やす方が簡単で、「太っていることは悪」という単純なメッセージが使いにくくなるという。このような議論は肥満だけではなく塩でもおこっている。太りすぎも塩の摂り過ぎも健康に悪いのは確かだが少なければ少ないほどいいという単純なものではない。
公衆衛生上の助言に関する政治的真言は明確で、混合したメッセージを送るな、ということである。メディアやそれを受け取る人たちはものごとを白黒単純に分けた言説を好む。しかし、当然ながら科学は白黒明確に分けたりしない。科学者は灰色のものを取り扱うことができると信じたいが、単純なメッセージの方が魅力的である。公衆衛生と栄養の分野では、余分な体重が健康によいかもしれないということを「肥満パラドックス」と呼ぶが、肥満が良くないことは誰もが合意するので実際にはそれはパラドックスではない。「少しだけ重いことのパラドックス」ではメッセージが複雑になる。
人々の健康を増進しようと努力していた人が、複雑な結果を見て彼らのメッセージが損なわれると危惧するのは理解できる。しかしシンプルな真言に不確実性が混じるからという理由でこれらの知見を発表したり議論したりすべきではないということには同意しかねる。

Times' winning Pulitzer Prize entry for Editorial Writing
Monday, April 15, 2013
http://www.tampabay.com/specials/2013/links/pulitzer/
2011年10月にPinellas郡は反フッ素狂信者とティーパーティ保守派に圧されて水道水へのフッ素添加を中止する評決をした。それに対してTampa Bay Timesはフッ素添加がPinellas郡の貧しい家族や子ども達を守るための対応であることを説明する一連の10の社説を掲載し、2013年3月にはフッ素添加を再開することになった。
(公衆衛生を守るために何かを禁止するのではなくて薬物の添加を支持するジャーナリズムが「卓越している」と評価されるのは珍しいような)

  • 塩:敵か味方か?

Lancetエディトリアル
Salt: friend or foe?
Volume 381, Issue 9880, 25–31 May 2013, Pages 1790
食事ガイドラインでは塩を摂りすぎないよう助言している。塩の摂りすぎは血圧を上げ、高血圧は心疾患、脳卒中、腎疾患の確立されたリスク要因である。しかしどのくらいが「多すぎ」なのか?塩摂取が少なすぎることもまた有害なのか?
塩の摂取と健康影響については議論があるが、概ね減塩は心血管系疾患リスクを減らすと信じられている。2010アメリカ人の食事ガイドラインでは健康な成人は1日ナトリウム2300mg、心血管系リスクが高いヒトには1500 mgを勧めている。米国心臓協会は全てのヒトに1500 mgとしている。アメリカ人の平均摂取量は3400 mgで、ほとんどの人が摂りすぎである。
2013年5月にIOMが最近の文献をレビューし、塩の摂取量が極めて少ないことはこれまで考えられていたほど健康に良くはないかもしれない、少なくとも心疾患リスクが高い人にとっては、と報告した。2300mg以下で一部の心疾患リスク要因がむしろ高くなる可能性があり、1500mgの超少量については根拠がない。
研究がいろいろなもので減塩の効果と食生活全体の変化とを区別するのが難しいため正確な結論を出すのは難しい。報告書では特に1500-2300mgの間の影響に関するデータが不足しているとしている。
この報告書の解釈には注意が必要で、塩を気にせず使っていいということではない。塩の摂りすぎと心血管系疾患リスクの増加に関連はあり、平均摂取量を下げるべきだということには合意がある。

  • 人工?化学物質について警告する団体とそのカウンター情報

Mind the Store
http://mindthestore.saferchemicals.org/
避けるべき100の化学物質リストというのがあるけれど何を基準にしているのかよくわからない。その理屈だと数千はあるはずなのにね。

Culture of alarmism
http://cultureofalarmism.org/
Independent Women's Foundationのもと、女性のみで運営している