食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 光る植物が議論に火を付ける

Natureニュース
Glowing plants spark debate
Ewen Callaway
04 June 2013
http://www.nature.com/news/glowing-plants-spark-debate-1.13131
遺伝子組換え生物の放出計画に批判者が苛立つ
クラウドで資金を集めるサイトKickstarterのたくさんのプロジェクトの中に合成生物学技術を用いて暗闇で光る植物を作るものがある。シロイヌナズナに蛍の回路を入れる。このプロジェクトが成功すれば数千人のサポーターが目的の植物の種を受け取ることになる。
米国政府はこれに問題はないとしているが一部の専門家や企業ウォッチャーは苛立っている。人々がガレージで簡単に生物を操作できるようにするDIY生物学の動きの一環。

  • 妊娠中の化学物質暴露についてのRCOG(英国産婦人科学会)報告

Sense about science
RCOG report on chemical exposures during pregnancy
5 June 2013
http://www.senseaboutscience.org/news.php/326/rcog-report-on-chemical-exposures-during-pregnancy
RCOGが「妊娠中の化学物質暴露:可能性はあるが証明されていない子どもの健康へのリスクに対処する」という報告書を発表した。この報告書は母親になる予定の人に「妊娠女性にとって最良の方法は「安全第一」で、それはたとえほとんどないあるいは結局根拠がないものでもリスクがあるとみなすことである」と、さらに知りたい場合には医師に尋ねるよう助言している。我々はこれは妊娠女性が妊娠と化学物質に関する混乱する議論に巻き込まれないようにする妨げになると考える。
Tracey Brownは言う:妊娠するとどの助言に従ったらいいのか、どの製品を購入したら、あるいは避けたらいいのか知ろうとしてたくさんの時間とお金を使うことになる。妊娠中に親が答えが欲しい単純な質問は「心配すべきなのか?」である。我々に必要なのは化学物質と妊娠に関する議論を乗り切るための援助である。残念ながらRCOGの報告はこれに失敗している。報告書自体が示すように、特定の物質と妊娠結果については根拠のない噂がたくさんある。対照的に妊娠中にストレスを与えることがリスクとなるという根拠はたくさんある。研究者や専門家団体がストレス要因を増やすべきではない。
この報告については他のコメントも加える予定である


とりあえずニュースがいろいろ出ている
Independentから
食品包装や家具:妊娠中避けるもの
Food packaging and furniture: What to avoid when you're expecting
Charlie Cooper
Wednesday 05 June 2013
http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/food-packaging-and-furniture-what-to-avoid-when-youre-expecting-8644676.html
妊婦は喫煙や長距離フライトは避けた方がよいことは誰もが知っている。しかし日常品も同様に悪いのか?
妊婦や新米ママには赤ちゃんを守るための助言や警告が尽きることはない。さらに専門家が日常のありふれたものを、食品の包装や化粧品や家具さえも、有害化学物質を含むものとして扱うべきと言う。
RCOGからの驚くべき新しい助言は、妊娠女性はプラスチックや缶に入った食品をできる限り避け、保湿剤や日焼け止めやシャワージェルや香水のようなパーソナルケア用品の使用を減らすべきだという。RCOGはこれら日用品のリスクには相当な不確実性があるが「安全第一」に、根拠が無くてもリスクがあると見なすべきだという。
RCOGの科学助言委員会の座長であるScott Nelson教授は「多くの化合物に胎児の発育に重要なホルモンと相互作用する可能性がある。現実に妊娠女性は数百の化合物のを微量ずつの複合体に暴露されているがそれらのリスクを完全に評価する方法はまだない」という。
暴露を減らすために、缶やプラスチック容器に入った食品は減らす、パーソナルケア用品の使用を減らす、新しい家具や布製品、くっつかないフライパン、車を買わない、農薬や塗料の煙を避ける、鎮痛薬は最小限に、などを勧めている。
助産師会の専門政策アドバイザーJanet Fyleは妊娠女性はこの報告書によって必要以上に心配する必要はないと主張。RCOGによる懸念にはより科学的な、根拠に基づく研究が必要である。
助産師のほうがまともに見える不思議)

BBCはわりと批判的
化学物質:妊娠女性が心配すべきか?
Chemicals: a worry for pregnant women?
4 June 2013 Fergus Walsh
http://www.bbc.co.uk/news/health-22775024
妊娠女性が避けるべきものはたくさんある。喫煙と飲酒についてはしっかりした根拠がある。さらにソフトチーズの一部、生卵、一部の油分の多い魚、生の貝、レバー、高用量のカフェインには実際に健康上の危険がある。
RCOGはそれに避けるのが難しいあらゆるものを付け加えた。

妊婦への助言が批判を呼ぶ
Pregnancy safety advice prompts criticism
http://www.bbc.co.uk/news/health-22754944
この助言は役立たずで非現実的で人騒がせなものだという批判がある

  • 福島原子力発電所事故による海洋生物相とヒトがシーフードを食べることによる放射線量とそのリスクの評価

Evaluation of radiation doses and associated risk from the Fukushima nuclear accident to marine biota and human consumers of seafood
Nicholas S. Fisher et al.,
Published online before print June 3, 2013, doi: 10.1073/pnas.1221834110
PNAS June 3, 2013
http://www.pnas.org/content/early/2013/05/30/1221834110.abstract
オープンアクセス
2011年3月の地震津波に続く福島原子力発電所事故に由来する放射性同位体が、海獣や太平洋クロマグロから検出されたという情報が発表されると、検出された量は天然の放射性核種による放射活性より低いものであったにも関わらず、世界中で不安や懸念を引き起こした。放射能の健康影響を推定するため、海洋生物相とヒトがシーフードを食べることによる放射線量を、天然由来と福島由来のもので計算した。全ての事例で天然由来の210Poのほうが福島由来の210Poより3桁から4桁大きい
カリフォルニアで2011年8月に捕まえたマグロの放射性核種の検査結果から2011年4月の日本近海のマグロの濃度を推定。Cs 134 と137、40Kと210Poによる被曝量を推定。米国人は年に24.1kg、日本人は56.6kgのシーフードを食べると仮定している。結果としてバックグラウンドや日常受けている線量より低く、心配する必要はない。