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論文等

  • 診断後の脂肪摂取と致死的前立腺がんリスクと全原因による死亡率

JAMA Internal Medicine
Fat Intake After Diagnosis and Risk of Lethal Prostate Cancer and All-Cause Mortality
Erin L. Richman et al.,
JAMA Intern Med. 2013;():1-8
Published online June 10, 2013
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1696179
保健専門家フォローアップ研究(1986-2010)のうち、非転移性前立腺がんだった4577人の男性の前向き研究。前立腺がんと診断された後の飽和、単価不飽和、多価不飽和、トランス、動物および植物脂肪の摂取量と、致死的前立腺がんおよび総死亡を調べた。平均8.4年のフォローアップ期間の死亡は1064、前立腺がんによる死亡は315だった。エネルギー摂取量の10%を炭水化物から植物脂肪に置換することは致死的前立腺がん(ハザード比(HR) 0.71; 95% CI, 0.51-0.98; P = .04)および総死亡(HR, 0.74; 95% CI, 0.61-0.88; P = .001).リスク低下と関連した。

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食事中脂肪と前立腺がん死亡率の減少:脂肪の種類の問題?
Dietary Fat and Reduced Prostate Cancer Mortality: Does the Type of Fat Matter?: Comment on “Fat Intake After Diagnosis and Risk of Lethal Prostate Cancer and All-Cause Mortality”
Stephen J. Freedland, MD
JAMA Intern Med. 2013;():1-2
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1696188
前立腺がんには確立されたリスク要因が3つある:人種(特にアフリカ系アメリカ人)、家族歴、そして年齢である。残念ながら人種を変えたり親を選んだり時を止めたりすることはできない。そこで変えられるリスク要因に関心が向かう。肥満が関連するが実際には複雑で食事やライフスタイルの交絡が避けられない。今回の報告は興味深く、植物油の摂取が前立腺がんによる死亡率の低さと関連するというのは何を意味するのだろうか?カロリーで補正すると、植物油を食べる量が少ない人はその分炭水化物を多く食べることを意味する。著者らは炭水化物由来のカロリーの10%を植物油への変更は、致死的前立腺がんリスクが29%低いことに関連するという。つまり炭水化物を食べるよりは植物油を食べる方が良いということだ。では植物油が「良い」のか、炭水化物が「悪い」のか?