食品安全情報blog過去記事

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食品や飼料にニバレノールが存在することによる動物の健康と公衆衛生リスクについての科学的意見

Scientific Opinion on risks for animal and public health related to the presence of nivalenol in food and feed
EFSA Journal 2013;11(6):3262 [119 pp.].
19 June 2013
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3262.htm
ニバレノールは各種Fusarium属が作るかび毒である。欧州委員会はEFSAに食品や飼料中にニバレノールが存在することによる動物の健康と公衆衛生リスクについて科学的意見を求めた。欧州18ヶ国から2001-2011年に集めた食品や飼料、未加工穀物のニバレノールについて13164の結果が評価に利用できた。ニバレノールの平均濃度が最も高かったのは、オート麦、トウモロコシ、大麦、小麦及びそれらに由来する製品であった。穀物穀物ベースの食品、特にパン、ロール、穀物を製粉した製品、パスタ、ベーカリー製品、朝食シリアルがヒト暴露に大きく寄与していた。動物への暴露は主に穀物やその副産物を食べることによる。ニバレノールのトキシコキネティクスについての情報は不完全である。一部の種では代謝により脱エポキシ化がおこるという根拠がある。入手できるデータから、CONTAMパネルは全体的な根拠の重み付けを行った結果ニバレノールは遺伝毒性ではないだろうと結論した。ニバレノールの毒性には免疫毒性や肝毒性が含まれる。ヒトリスク評価にとって重大な毒性影響はラット90日試験での白血球数の減少である。これらのデータとベンチマーク用量解析の結果、CONTAMパネルはTDIを1.2 µg/kg 体重/日とした。食品中の濃度データに基づく慢性ヒト推定暴露量はTDI以下で健康上の懸念はない。反芻動物、ウサギ、魚、ペットについては毒性データがなく、ブタと家禽についてはLOAELが同定できた。ニバレノールを含む飼料による有害影響のリスクはどちらの種においても低い。
(日本の食品安全委員会はニバレノールのTDIを2010年に0.4 µg/kg 体重/日としている。同じデータを用いて、FSCはLOAEL 0.4 mg/kg体重/日に安全係数1000、追加の10は90日試験だからという理由、EFSAはBMDL05を0.35 mg/kg体重/日を求めて安全係数300を適用。追加の安全係数を3にするか10にするかで違いが出た。)