食品安全情報blog過去記事

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ハーブティーやお茶のピロリジジンアルカロイド量は多すぎる

Levels of pyrrolizidine alkaloids in herbal teas and teas are too high
15.07.2013
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2013/18/levels_of_pyrrolizidine_alkaloids_in_herbal_teas_and_teas_are_too_high-187319.html
BfRは現在「食品や飼料中のピロリジジンアルカロイド測定」という研究プロジェクトを実施している。最初に各種お茶(既製品、ハーブ、医療用)を調べた。全体を代表するものではないが最初の結果で0-3.4 mg/kgが現出された。BfR Dr. Andreas Hensel長官は「お茶やハーブティーから予期せぬ高濃度のピロリジジンアルカロイドが検出された。動物実験によりピロリジジンアルカロイドは遺伝毒性発がん性であることがわかっており、検出された濃度は高すぎるので減らすべきである」と述べた。予期せぬ高濃度が検出されたものの、成人や子どもへの急性健康障害はおこりそうにない。しかしながらピロリジジンアルカロイドが検出された製品を長期にわたり平均以上に摂取すると、特に子どもや妊婦や授乳中の場合に、健康リスクがある。個々のサンプルの濃度には相当な幅があるため、これらを飲むことによる健康リスクについて明確に述べることはできない。従って、まず保護者は子ども達にお茶やハーブティーのみを与えるべきではない。妊娠女性や授乳中女性もハーブティーだけではなく別の飲み物も交互に飲むべきである。
プロジェクトの一環として測定したのは221のお茶で、暴露推定に使用したのはベビーフェンネルティーフェンネルティーカモミールティー、ハーブティー、ペパーミントティーイラクサティー、メリッサティーである。検体が少なく暴露推定に使用しなかったのは緑茶、紅茶、ルイボス茶である。ピロリジジンアルカロイドを含むお茶を高頻度に大量に飲むと暴露マージンが10000以下になる。
一般原則として、BfRは、食品に各種有害物質が混入する可能性がある場合の影響を予防するため、いろいろな食品を交互に選ぶことを薦める。

Pyrrolizidine alkaloids in herbal teas and teas
http://www.bfr.bund.de/cm/349/pyrrolizidine-alkaloids-in-herbal-teas-and-teas.pdf
BMDL10をラシオカルピンの発がん性から0.073 mg/kg bw/dayとしてMOEは各種シナリオで474-36803。MOEが小さいのは特定のブランドのものを好んでよく飲む場合。
カモミールが最も高いのはわかるが、緑茶にピロリジジンアルカロイドが検出されるのはどうしてなんだろう?)

  • FAQ

Frequently asked questions on Pyrrolizidine alkaloids in food
15. Juli 2013
http://www.bfr.bund.de/en/frequently_asked_questions_on_pyrrolizidine_alkaloids_in_food-187360.html
ピロリジジンアルカロイドPA)とは何か?
PAは植物が作る二次代謝物で、一部の植物は害虫を追い払うために合成する。6000種以上の植物が500以上の異なるPAを作る。わすれな草やボリジ、マメ科植物などが作る。化学的にはピロリジジンアルカロイドは1-ヒドロキシメチルピロリジジン(ネシン塩基)と脂肪族一あるいは二炭素酸(ネシン酸)のエステルである。
PAの急性中毒は知られているか?
1,2-不飽和PAは高用量で致死的肝不全を誘発する。動物では放牧されている牛などで中毒事例が報告されている
PAの慢性影響は?
典型的には肝臓と肺に影響する。動物ではがんが確認されている。
・何故食品にPAが含まれるのか?
植物由来。ハチミツからも検出されている。
・食品中PAに基準値はあるか?
規制値はない
PAの分析は難しいのか?
多様な構造のものが低濃度存在するので難しい
・消費者に健康リスクはあるか?
直ちに健康リスクとはならないが、対策がとられるまで子どもにハーブティーなどを飲ませないよう薦める
BfRの意見によれば汚染レベルを下げるにはどうすればいいか
製造原料の確認など
PA汚染を最小化するために消費者ができることは?
多様な食品を摂るという一般的助言で最小化できる。子どもや妊婦、授乳中の女性はハーブティーを別の飲み物で補うべきである。サラダを作る場合には食用でない植物は避けること。サプリメントに注意。