食品安全情報blog過去記事

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塩:結局少ない方が良いわけではないのか?

Salt: Is Lower Not Better After All?
by Berkeley Wellness | September 02, 2013
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/salt-lower-not-better-after-all
ナトリウムの心配はするな、ナトリウムは減らせ、たくさんナトリウムを摂れ、ナトリウムを減らしすぎるな。過去数十年、アメリカ人にはナトリウムについてメッセージが変わることに当惑してきたが、一部の人にとっては少なすぎるナトリウム摂取は悪いかもしれないという最近のIOMの報告書でさらに困惑しているだろう。混乱している?あなたを責められない。
しょっぱい物語
何年も健康や栄養の専門家は食事由来脂肪やコレステロールを減らすことを強調していてナトリウムについてはそれほど心配しているようには見えなかった。しかし過剰量のナトリウム摂取が高血圧リスクを高くするという根拠が蓄積してきてナトリウム削減が食事に関する中心課題に移りつつある。
2005年の政府の食事ガイドラインでは1日2300 mg、ハイリスク群(50才以上全員、アフリカ系アメリカ人、高血圧や糖尿病、慢性腎疾患などの疾患のある人)は1500 mgを薦めた。アメリカ人の70%がハイリスク群になるため、米国心臓協会は全ての人に1500 mgを薦めはじめた。
研究結果は一貫して減塩により血圧が下がることを示している−特に塩分感受性高血圧の人には。WHOによると高血圧は世界の主要死因のひとつで減塩やライフスタイル変更で予防できる。
ナトリウム議論再燃
5月にIOMが非常に少ないナトリウム摂取は必ずしも良くなく、有害ですらあると発表して騒動を巻き起こした。IOMの報告はナトリウムの心血管系疾患に対する影響についての40近くの研究を解析した。知見の一つは驚くべきものではなく、ナトリウムが多いとリスクが高くなるというものである。驚いたのは糖尿病や慢性腎疾患や心疾患のある人で2300mg以下のナトリウム摂取に利益があるという根拠がなかったことである。そのためIOMは2300mg以下を薦める十分な根拠がないと結論した。
塩についての加熱する見出し
多くのメディアはそれを「減塩は不健康」のように報道した。しかしIOMの主張は1500 mgのほうが2300mgより良いという根拠はないということである。この理由は主に研究が限られていて質や量が十分でないということである。例えば心疾患や慢性疾患と診断された人がナトリウムを減らしたせいかもしれない。一方AHAは1500 mgを薦める立場を変えておらず、栄養士会は多くの人に1500 mgを助言している政府の食事ガイドラインを支持している。
大局的に見る
1日の摂取量の目標を1500 mgにするか2300 mgにするかについての議論はほとんどの人にとって意味がない。どちらにせよほとんどのアメリカ人はそれよりはるかに多く−平均3400 mg−摂っているからだ。2300mgにするだけで年間何万人もの心臓発作や脳卒中が予防できるだろう。ほとんどのアメリカ人にとって2300mgですら達成は難しく1500 mgはほとんど不可能であろう。
基本
政府がIOMの知見をふまえてどう決定するかをみるのは興味深い。次回の食事ガイドライン改定は2015年である。しかしそれまで、ほぼ全ての健康専門家はできるだけ減塩に努めるのが賢明であることについては一致している。
またナトリウムを減らすことは健康的な血圧を維持するための一つの方法であることは忘れないように。カリウムの多く食品を含む健康的な食生活、運動、健康体重、控えめな飲酒、そして煙草は吸わないことが多くの人にとって減塩より重要である。
(注:ナトリウム2300 mgは塩で6g弱、1500 mgは4g弱。WHOは5g推奨。いずれにせよ日本人にとってはハードルが高い。)