食品安全情報blog過去記事

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食品中の過塩素酸塩残留物の健康評価

Health assessment of perchlorate residues in foods
28 June 2013
http://www.bfr.bund.de/cm/349/health-assessment-of-perchlorate-residues-in-foods.pdf
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は過塩素酸塩に関する企業による品質管理の結果や公的食品サーベイランスによる代表性のない知見などの4つの独立したデータを得た。1kgあたり0.01mgを超える過塩素酸塩が検査対象食品サンプルの33%に発見され、0.05mg/kgを超えるものもサンプルの17%から検出された。
BfRはこれらの知見から健康リスクを評価し、過塩素酸塩が食品に入る経路について議論した。一度に大量に摂取すると好ましくない影響が出る可能性のある濃度が、柑橘類、エキゾティックフルーツ、根菜類、果菜類アブラナ科野菜、葉菜類の一つ以上のサンプルで検出された。これは特に甲状腺ヨウ素取り込み阻害により、甲状腺の病気の人、ヨウ素欠乏の人、新生児と幼児などで甲状腺ホルモン濃度に変化が出やすい。しかし、平均的な過塩素酸塩濃度の野菜や果物を普通の量で一生摂取することによる慢性健康障害はおこりそうにない。
過塩素酸塩が食品に入るには多くの経路がありうる。たとえば植物への肥料から移行し、そのため植物由来の食品に含まれる。汚染された灌漑用水からの移行もありうる。過塩素酸塩は産業排水や、飲料水の塩素処理の副産物として生じて水に入るかもしれない。飲料水の塩素処理と飲料水による灌漑はドイツでは慣例ではない。さらに過塩素酸塩が入り込む可能性のある経路としては、たとえば、細菌を殺すために食品に直接塩素消毒をすることがあるが、これはヨーロッパでは禁止されている。
これを背景にして、BfRはフードチェーンへの過塩素酸塩の侵入を減らし、消費者への暴露を小さくするために努力することを推奨する。食品の消毒のような違法な過塩素酸塩の使用が除外できないなら、この経路を国とヨーロッパのレベルで調査し、必要であれば、この事態を予防するために適切な対応がなされるべきだ。消費者は、果物や野菜の健康へのメリットは明白であり続けるため、通常の食生活を大きく変えるべきではない。