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フィールドからの報告:減量あるいは筋肉増強用ダイエタリーサプリメントの使用後の急性肝炎と肝不全−2013年5月−10月

Notes from the Field: Acute Hepatitis and Liver Failure Following the Use of a Dietary Supplement Intended for Weight Loss or Muscle Building — May–October 2013
MMWR October 11, 2013 / 62(40);817-819
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6240a1.htm?s_cid=mm6240a1_w
2013年9月9日にハワイ保健省(HDOH)に、原因不明の重症急性肝炎と劇症肝障害の患者7人について報告があった。患者はそれまで健康で、病院に相談したのは2013年5-9月の間である。医師は7人の患者全てが病気になる前に減量あるいは筋肉増強用として販売されているダイエタリーサプリメントOxyELITE Proを使用していたことを報告している。
HDOHとFDAとCDCは患者のインタビュー、医療記録レビュー、サプリメント検体の分析などの調査を開始した。そして、減量あるいは筋肉増強用ダイエタリーサプリメントを過去60日以内に使用していた人で2013年4月1日以降に発症した、血清アラニンアミノトランスフェラーゼが正常値上限の4倍以上(>160 IU/L)で総ビリルビン濃度が正常値上限の2倍以上(>2.5 mg/dL)でウイルス性肝炎を含む感染が陰性の原因不明の急性肝炎、を症例と定義した。自己免疫性肝炎、慢性飲酒、胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス等は除外する。
公衆衛生アラートに反応して医師からHDOHに45の疑い例が報告された。そのうち29例が確定された。患者は平均年齢33才(レンジ16-66)、14人が男性だった。
29人中24人が病気になる60日以内にOxyELITE Proを使用していて12人はOxyELITE Proのみを使用し12人は他に1つ以上のダイエタリーサプリメントを使用していた。3人はOxyELITE Proではない他の減量あるいは筋肉増強用ダイエタリーサプリメントを使用していた。2人についてはOxyELITE Proの使用は不明だった。使用日数がわかった12人の患者については、OxyELITE Proの使用開始から病気になるまでの日数の中央値は60日(7-130)だった。他に2人以上の患者で共通に使用されていたダイエタリーサプリメントや医薬品はない。
全国中毒情報システムや臓器移植ネットワークを用いた全国での患者発見を試み、ハワイ以外で4人の患者を同定した。1人はハワイの住人でハワイで製品を購入したが診断が他の州でなされた事例である。CDCは追加情報を収集中である。
FDAの製品検査の結果は確定していない。調査は進行中で予備的なデータからではあるがこれまでのデータは薬物あるいはハーブ誘発性の肝障害が示唆される。薬物やハーブ誘発性の肝障害はダイエタリーサプリメントに使用されている各種薬物やハーブに関連して報告されており、重症急性肝不全になりうる。薬物やハーブ誘発性の肝障害は製品の使用を中止することでしばしば解決する。原因となる物質の同定は困難である。
(ちなみにこの号のMMWRは政府の資金が止まっているため直ちに健康上の脅威となるもののみを発行、とのことhttp://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6240a2.htm?s_cid=mm6240a2_w