食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 本 ピュアでモダンなミルク 1900年以降の環境史

Pure and Modern Milk
An Environmental History since 1900
Kendra Smith-Howard
http://ukcatalogue.oup.com/product/9780199899128.do
かつて細菌汚染だらけだった牛乳が、ウシの交配、細菌学の進歩、加工技術、冷蔵輸送技術などの科学技術の発展により「ナチュラル」な主要食物となった歴史をつづる。

  • 代替医薬品がポピュラーであるがそれらに本当に効くものはあるのか

Washington post
Alternative medicines are popular, but do any of them really work?
By Paul Offit, Published: November 12
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/alternative-medicines-are-popular-but-do-any-of-them-really-work/2013/11/11/067f9272-004f-11e3-9711-3708310f6f4d_story.html
James Lindが1740年に柑橘類が壊血病に効くかどうかを試験して以来、医薬品の効果は「信じる」ものではなく「試験する」ものになった。そして多くの臨床試験が行われるようになり代替療法も試験可能になった。つまり代替療法というものは存在しない。もし臨床試験で効果があればそれは良い薬で、効果がなければそれは代替品にはならない。
(記事は長い。“Do You Believe in Magic? “のOffit先生がワシントンポストに書いている。コメント欄におもしろい意見がある。「代替医療」というのは「代替数学」と同じようなものだと。)

  • 医薬品の安全性に関する科学を理解する

Sense about science
Making Sense of Drug Safety Science
http://www.senseaboutscience.org/pages/making-sense-of-drug-safety-science.html
医薬品の理解を促すパンフレット
メディアが報道する「魔法の新薬」のほとんどは決して医薬品として販売されることはない、臨床試験ではメリットとリスクのバランスをとる、副作用が出たら、など

  • 糖尿病:アジアのサイレントキラー

BBC
Diabetes: Asia's 'silent killer'
14 November 2013
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-24740288
アジアでは糖尿病が蔓延
国際糖尿病連合(IDF)が発表した新しい数字によると世界の糖尿病患者は3億8200万人。そのうち半分以上はアジアと太平洋西部で、2型が90-95%。世界で最も多いのは中国で、全人口の約10%の9800万人以上、1980年から約1%増加している。遺伝、ライフスタイル、環境要因が複雑に絡む、と香港中文大学のJuliana Chan教授は言う。糖尿病は矛盾の多い病気で、典型的には加齢により増加するがデータからは若い人や中年がかかりやすい。肥満のヒトに多いがデータからは痩せた人の方がアウトカムが悪い。

IDF
http://www.idf.org/
11月14日は世界糖尿病デーインスリンの発見者Sir Frederick Bantingの誕生日)
Diabetes Atlas
http://www.idf.org/diabetesatlas
単純に肥満率と同じにはならない。英国なんて圧倒的に日本より肥満率高いのに糖尿病は同じくらい。欧州とアジアの違いが特に目立つ。

  • GMORNAについての誤解の転移:「懸念する科学者連合」と消費者連盟の醜いにらみつけ

Forbes
Metastisizing Misinformation About GMOs And RNA: Ugly Glare On Union Of Concerned Scientists, Consumers Union
Jon Entine 11/12/2013
http://www.forbes.com/sites/jonentine/2013/11/12/metastisizing-misinformation-about-gmos-and-rna-ugly-glare-on-union-of-concerned-scientists-consumers-union/
GMOについての恐怖を煽った主張について、Nature Biotechnologyに重要な記事が発表された。

マウスに餌で投与した植物マイクロRNAは検出可能な経口での生物学的利用度はない
Lack of detectable oral bioavailability of plant microRNAs after feeding in mice
Brent Dickinson,
Nature Biotechnology 31, 965–967
http://www.nature.com/nbt/journal/v31/n11/full/nbt.2737.html

これはもともと中国の研究チームが2011年にCell ResearchにコメのmicroRNAが動物の生理機能に有害影響を与えると報告したことに始まる。この小さなRNA断片がヒトやマウスの血流に入り、肝細胞の受容体と結合してLDLを排除する能力を阻害するという。生物学のPhD学生Anne-Marie C. HodgeはScientific Americanの blogに「この発見は植物が私たちをコントロールしていることを示す」、と書いたが、これはこれまでの他の研究とは違う奇妙な知見だったためトロント大学の生化学者Larence Moranは、確認が必要、とblogに書いている。さらにこの研究を見た科学者は方法論の問題など多くの欠陥を指摘し、批判している。実はこの論文は先にScienceなどに提出されリジェクトされている。問題が多かったために科学者はこの論文についてあまり注目していなかった。しかしAri LeVauxがThe Atlanticに「遺伝子組換え食品の真の危険性」という記事を書いてGMOに対する聖戦に利用された。もともとの論文はGMOについては言及していないことに注意。GMOについての恐怖の話はインターネットで増殖し拡散された。生物学の勉強をしている人たちが全ての植物や動物にmiRNAがある、と指摘した。その後もと論文の再現性を確認する試験がいくつも報告され何一つ確認されなかった。
Nature Biotechnologyは、反GMO活動家のような、「単一研究症候群」に陥ることのないように、という特別なエディトリアルを発表している。
Receptive to replication
http://www.nature.com/nbt/journal/v31/n11/full/nbt.2748.html

INVESTIGATING BPA
By Trevor Butterworth
http://www.bottledwater.org/files/Butterworth_Investigating%20BPA.pdf#overlay-context=health/container-safety/what-is-bpa
どのように、そしてなぜ、メディアがBPAがヒトリスクとはならないことを確認した科学を無視するのかについての調査
BPAの影響についての主張に直面したとき、以下のことをする必要がある
統計学的根拠を尋ねること
・サンプルサイズの小ささに注意
・その小さいサンプルサイズでネズミのリスクをヒトに当てはめている場合にはさらに注意
メディアは、2008年にNUEHSが世界中にBPAパニックを引き起こした研究はヒトのリスク評価には使えないと認めた後ですら、特定の警告者によるBPAの物語にしがみつき続けている