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FDAは特定の食品中のアクリルアミド低減法に関する事業者向けガイダンス案を発表

FDA Issues Draft Guidance for Industry on How to Reduce Acrylamide in Certain Foods
November 14, 2013
http://www.fda.gov/Food/NewsEvents/ConstituentUpdates/ucm374601.htm
FDAは、生産者、製造業者、外食経営者が特定食品中のアクリルアミド濃度低減対策支援のための食品産業向けガイダンス案を発表した。
アクリルアミド濃度を減らすための努力は、すでに食品産業界中の多くの分野で進められている。ガイダンス案を発表することでFDAは、これまで静観してきた産業部門を支援し、また、全ての企業―特にリソースの少ない中小企業の―アクリルアミドができやすい製品中のアクリルアミドを減らすことを支援する。
アクリルアミドは、揚げる、オーブンで焼く、直火で焼く、などの高温調理により、ある種の食品中に生じる化学物質である。食品中のアクリルアミドは、米国国家毒性プログラム(ある化学物質への暴露に関して起こりうる健康リスクを評価する省庁間のプログラム)が「ヒトの発がん物質として合理的に予想される」物質と分類している。
ヒト健康リスクの軽減を支援するために、FDAのガイダンス案は、企業が製造した食品中のアクリルアミド濃度を自社で認識し、可能であればその製品のアクリルアミドを減少させるのに適した取り組みを検討することを推奨している。また、生産者、製造業者、外食経営者がアクリルアミド濃度を減らすための実行可能なさまざまな取り組みも提案している。強制力はないが、ガイダンス案は、ジャガイモベースの食品(ポテトフライ、ポテトチップスなど)・穀物ベースの食品(クッキー、クラッカー、朝食シリアル、トーストしたパンなど)・コーヒーなど、重要なアクリルアミド暴露源となる食品の原材料、加工処理及び成分に関することを網羅している。
ガイダンス案は、食品中のアクリルアミドについて研究しヒト健康リスク管理に役立てるためにFDAが始めた多くの活動の一部である。例として、FDAは最新のデータ収集と分析に基づく食品のアクリルアミド濃度の追加データを発表する予定である。FDAのアクリルアミド研究の概要は、FDAのウェブサイト上のQ&Aで入手できる。
アクリルアミドは、主にジャガイモベースの食品、穀物ベースの食品、コーヒーに存在するので、消費者に向けたアクリルアミド摂取量を抑えるのに役立つFDAの最良の助言は、米国食事ガイドラインに従った健康的な食生活である。
・果実、野菜、全粒穀物、無脂肪または低脂肪牛乳、乳製品を多く。
・赤身の肉、鶏肉、魚、豆、木の実などを含む。
・飽和脂肪、トランス脂肪、コレステロール、塩(ナトリウム)、添加糖は減らす。
食品保管と調理方法を含むアクリルアミドに関する消費者への追加的助言は、FDAのウェブサイトで入手できる。

  • アクリルアミド Q&A

Acrylamide Questions and Answers
November 14, 2013
http://www.fda.gov/Food/FoodborneIllnessContaminants/ChemicalContaminants/ucm053569.htm
アクリルアミドとは?
アクリルアミドは、揚げる、オーブンで焼く、炭火で焼くといった高温での調理過程で、食品中に生じる化学物質である。アクリルアミドは食品中で天然に存在する糖類とアミノ酸から生じる。食品の包装や環境由来ではない。
アクリルアミドを含む食品を食べることにリスクはあるか?
アクリルアミドは、多量に投与すると動物にがんを引き起こす。2010年にFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、アクリルアミドはヒトの健康懸念であると結論し、追加的な長期研究を提案した。FDAの専門家は評価に参加し、アクリルアミドリスクの新しい調査研究で得られたデータを提供した。
アクリルアミドは食品では新しいものか?最初に食品に発見されたのはいつか?
アクリルアミドはおそらく調理食品中にずっと存在してきた。しかし、アクリルアミドは2002年4月に初めて食品中に検出された。
アクリルアミドは食品中ではどのように生じるか?
アクリルアミドは、揚げる、オーブンで焼く、炭火で焼くといった高温調理過程で糖類とアミノ酸アスパラギン)から形成される。
どのような種類の調理がアクリルアミドの形成につながるのか?どの食品に生じるのか?
高温で揚げたり焼いたりする調理が最もアクリルアミドを作りやすい。ゆでたり蒸したりする調理では一般的にアクリルアミドは生じない。アクリルアミドは、主にジャガイモ製品、穀物製品、コーヒーのような植物由来食品に検出される。アクリルアミドは、乳製品、肉製品及び魚製品では生じないか低濃度である。一般的に、アクリルアミドはより長時間あるいはより高温調理で、より多くできる。(参照「アクリルアミド:食事、食品保管、調理についての情報」)
米国の食品中のアクリルアミド濃度に関してどのようなFDAのデータが入手できるのか?
FDAは、FDAのウェブサイトに「食品中のアクリルアミド」という現行のデータを掲載している。最も新しいデータは2006年にウェブサイトに加えられた。
オーガニック食品のアクリルアミド濃度は他の食品の濃度と異なるか?
アクリルアミドは調理によって生じるため、調理された有機食品のアクリルアミド濃度は、調理された有機ではない食品の濃度と同じはずである。
FDAは食品中のアクリルアミドについてどのようなことしているのか?
2002年からFDAは食品中のアクリルアミドに関する幅広い行動をとってきた。FDAの成果は次の通り:
1. FDAの目標と食品中のアクリルアミドに関する活動計画の概要を示した行動計画を作成した。
2. FDAのアクリルアミド計画に関するFDA食品諮問委員会/小委員会会議を2回開催した。
3. 食品中のアクリルアミドの高感度測定法を開発し、FDAのウェブサイトで公開した。
4. 約2,600食品検体のアクリルアミドの試験結果を分析し、公開した。
5. アクリルアミドの毒性研究のための包括的な調査計画を開始した。
6. アクリルアミドの毒性及び検出方法に関するピアレビューされた研究を発表した。
7. 食品中のアクリルアミドの低減方法に関する研究を行った。
8. アクリルアミドへの消費者暴露評価を作成した。
9. アクリルアミド暴露を減らす食品調理方法に関する情報を消費者に提供した。
10. 2013年11月に食品中のアクリルアミドに関する事業者向けのガイダンス案を発表した。
揚げたり焼いたりした食品を食べるのをやめるべきか?
やめなくてよい。アクリルアミドと食事に関するFDAの最善の助言は、果実・野菜・全粒穀物・無脂肪または低脂肪牛乳・乳製品を多くし、赤身肉・鶏肉・魚・豆類・卵・木の実などを含み、飽和脂肪・トランス脂肪・コレステロール・塩(ナトリウム)・糖類の添加を少なくするといった、米国人のための食事ガイドライン(2010)と一致する健康的な食生活を消費者が取り入れることである。
自分で調理したり食べたりする食品のアクリルアミドの量を減らしたいなら、どうすればよいか?
「アクリルアミド:食事、食品保管、調理についての情報(下記URL)」を参照。
http://www.fda.gov/Food/FoodborneIllnessContaminants/ChemicalContaminants/ucm151000.htm
アクリルアミドは他からも見つかるか?
アクリルアミドは、プラスチック、モルタル、水処理製品、化粧品のような製品に使用されるため、工業的に生産されている。アクリルアミドは煙草の煙にも存在する。