食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 圧政の先頭にある科学

Natureコラム
Science at the sharp end of oppressive politics
Andreas Kreiter 12 February 2014
アニマルライツ過激派との20年にわたる悪夢について
ドイツのブレーメン大学の神経科学者としてマカクザルで研究を行おうとしたAndreas Kreiterに対して、アニマルライツの過激派は殺人予告の脅迫や実験室の破壊などを行ってきた。さらにメディアがバランスのとれた報道をする代わりに過激派の主張を採用して報道した。大学は実験計画をとりやめ安全確保に努めた。過激派の行動は止んだが今度は政治が敵として立ちはだかった。地元の政治家が研究中止を投票した。連邦法に逆らうこの決定を2008年から裁判所で争った。各裁判で勝ち続け先週も判決が出て私(Andreas Kreiter)の主張が認められた。

ScienceShot: Is Social Media Souring Americans on Animal Research?
16 February 2014
http://news.sciencemag.org/plants-animals/2014/02/scienceshot-social-media-souring-americans-animal-research
AAAS年次会合で発表された調査によると動物を使った医学研究への支持は2001年以降12%減少し、その原因にインターネットがあるかもしれない。2013年はアメリカの成人の41%が動物実験を「倫理上悪いこと」と考えていて2001年の29%から増加、特に大きく増えているのが18-29才の集団。これがインターネットの使用によると説明できる可能性がある。ソーシャルメディアでのアニマルライツ団体のプレゼンスは動物実験に賛成している人たちより大きく、PETAのフェイスブックには200万人、Twitterには50万人のフォローワーがいて生命医学研究財団はそれぞれ13万人と1700人である。
(こういうのって放っておくとGMのように研究分野そのものが脅かされる可能性があるのだけれど研究者は論文でしか評価されないから積極的にやらないよね)

  • カリフォルニアの立法者が炭酸飲料に警告表示を提案

LATimes
California lawmaker proposes adding health warning labels to sodas
By Patrick McGreevy February 13, 2014
http://www.latimes.com/local/la-me-soda-warning-20140214,0,7510007.story#axzz2tJUqT7qy
肥満との関連があるとして煙草の包装と同様の警告を全国で初めて導入する提案をしている。12オンスで75カロリー以上の砂糖入り飲料に「カリフォルニア州安全性警告:砂糖を加えられた飲料を飲むことは肥満、糖尿病、虫歯に寄与する」という警告表示を提案。

  • DSHSはNeches川の魚の摂取についての助言を発表

テキサス州保健省
DSHS Issues Fish Consumption Advisory for Neches River
Jan. 27, 2014
http://www.dshs.state.tx.us/news/releases/20140127.aspx
水銀とダイオキシンの濃度が高いことが確認された魚を、子どもや妊娠可能年齢の女性は食べないように、その他の集団は月に1-2回に制限するよう助言している
(検出されたという濃度が記載されていない)

  • 異なる収入と社会経済集団に与えるアルコールの最低価格設定の影響:モデル研究

Effects of minimum unit pricing for alcohol on different income and socioeconomic groups: a modelling study
John Holmes et al.,
The Lancet 10 February 2014
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673613624174
オープンアクセス
イングランドで1ユニットのアルコール(8g/10mLエタノール)の最低価格を0.45ポンドにした場合の影響を評価した。最も影響が大きいのは低所得層の有害な量を飲む集団。

  • NekNominate暴飲で3人目の英国人死亡

Third Brit Dies in Tragic NekNominate Drinking Stunt
February 16, 2014
http://www.ibtimes.co.uk/third-brit-dies-tragic-neknominate-drinking-stunt-1436672
20才のBradley Eamesが2パイントのジンを飲んで死亡
5人というニュースもあった
Fifth Neknominate death after man downed two pints of GIN to 'show who's the boss'
http://www.mirror.co.uk/news/uk-news/fifth-neknominate-death-after-man-3150586
(stupid boy とかsilly boyとか書かれている。アホ男子というには結果が重すぎる)

  • 携帯電話に健康リスクはない−11年の研究は歓迎すべき結論に達した

Mobile Phones Pose No Health Risk – 11 Year Study Reaches Welcome Conclusion
February 16, 2014
http://www.highlightpress.com/mobile-phones-pose-no-health-risk-11-year-study-reaches-welcome-conclusion/10828/sdavis
Mobile Telecommunications and Health Research Programの結果
公式発表はまだないようだが?
http://www.mthr.org.uk/

  • カリフォルニア公衆衛生省(CDPH)は健康リスクがあるためある種のメキシコ産輸入サボテンを食べないように警告

CDPH Issues Warning About Consuming Certain Cactus Imported from Mexico due to Health Risk
2/16/2014
http://www.cdph.ca.gov/Pages/NR14-021.aspx
最近の定期モニタリングで米国では1989年から使用が禁止されているモノクロトホスを5.8 ppm検出した。
FDAのリコールサイトにはまだ載っていなかった)

おまけ
福島2014年1月
海水、海洋生物、土壌、植物、ミルク検体の結果 2011-2013
Fukushima, January 2014
Sea Water, Sea Life, Soil, Vegetation, and Milk Sample Results, 2011 to 2013
http://www.cdph.ca.gov/pubsforms/Pubs/FukushimaEnvironmentalMonitoring.pdf
CDPHは日本の福島原子力発電所の過去及び現在の事象によるカリフォルニアの住民の安全性に関連するたくさんの質問に答える。連邦機関、州の計画、CDPH独自の検査でカリフォルニア住民に健康や安全の懸念はない。
最近Half Moon Bay近傍のビーチで高い放射能が測定されたという報告については、集めたデータからは天然の放射性物質(NORM)によるもので福島由来ではないことが示されている。ビーチのNORMは公衆衛生に影響しない。最終報告は今後数週間以内にウェブに掲載される
(測定の検出下限掲載。アメリカは単位がキュリー。カリフォルニアこういうの多い)

  • 発達毒性による神経行動影響

レビュー
Neurobehavioural effects of developmental toxicity
Philippe Grandjean MD, Philip J Landrigan MD
The Lancet Neurology, Volume 13, Issue 3, Pages 330 - 338, March 2014
自閉症や注意欠陥多動、失読症などの認知機能不全の子どもたちが世界中に数百万人いて一部の診断数は増加しているように見える。この増加原因のひとつに工業化学物質がある。我々は2006年に発達神経毒性物質の鉛、メチル水銀、PCB、ヒ素トルエンのレビューを行った。その後さらにマンガン、フッ素、クロルピリホス、ジクロロジフェニルトリクロロエタン、テトラクロロエチレン、ポリ臭化ジフェニルエーテルを発達神経毒性物質として加えた。
(こんな感じで結構多くメディア報道されている
Study finds toxic chemicals linked to autism, ADHD
http://www.smh.com.au/national/health/study-finds-toxic-chemicals-linked-to-autism-adhd-20140215-32snz.html
Philippe Grandjean博士はもともとこういう立場なので。メチル水銀も鉛も閾値はなくアメリカ人の摂取量で知能低下があると主張している。そうすると日本人はアメリカ人より暴露量がずっと多いのでもっと大きな影響がある−はずなのだが)