食品安全情報blog過去記事

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EFSAは飼料中のホルムアルデヒドの安全性を評価する

EFSA assesses safety of formaldehyde in feed
18 February 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/140218.htm
ホルムアルデヒドは現在、飼料添加物と豚用スキムミルクの防腐剤として使用されている。リスク評価では、フードチェーンではこの物質に暴露する消費者の健康リスクはないが、吸入するとがんを引き起こす可能性があるとEFSAの専門家は結論した。作業者のホルムアルデヒドを含む飼料への暴露を減らすには適切な措置をとるべきである。

Endogenous formaldehyde turnover in humans compared with exogenous contribution from food sources
EFSA Journal 2014;12(2):3550 [11 pp.]. 18 February 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3550.htm
FEEDAPパネルは申請者から提出された申請に基づく全ての動物種用のホルムアルデヒドの安全性と有効性に関する科学的意見を述べるよう求められた。同時に、ANSパネルは体内で生産されるホルムアルデヒドアスパルテームを含むメタノール由来の食事から生じるホルムアルデヒドの安全性を評価した。両方の評価のために、内因性のヒトのホルムアルデヒド生成、ホルムアルデヒドで処理された飼料を与えられた動物由来食品、アスパルテームなどの食品添加物を含むメタノールの食事源に由来するホルムアルデヒドの経口体内量を評価するのにSCERユニット(新興リスクに関する科学委員会)の協力を求めた。内因性ホルムアルデヒド代謝は、11.5分の半減期から推測しておよそ1分あたり0.61-0.91 mg/kg bw、1日当たり878-1310 mg/kg bwと推定された。ホルムアルデヒド代謝メタノールを含む食事由来のホルムアルデヒド(60-70 kg の人1日当たり1.7-1.4 mg/kg b. w)のバックグラウンド濃度と比較して、ホルムアルデヒド処理された飼料を与えられた動物製品の消費による外因性ホルムアルデヒドの寄与は無視してよい(<0.001 %)。アスパルテーム由来のホルムアルデヒド経口暴露にはメタノールへの代謝とさらなる酸化によるホルムアルデヒド生成が関与する。現在のアスパルテームのADIは40 mg/kg bw日で、それによるホルムアルデヒド生成はおよそ4 mg/kg bw日で、ホルムアルデヒドの内因性代謝0.3-0.4 %に過ぎない。

  • Regal BVから提出された申請に基づく全ての動物種用のホルムアルデヒドの安全性と有効性に関する科学的意見

Scientific Opinion on the safety and efficacy of formaldehyde for all animal species based on a dossier submitted by Regal BV
EFSA Journal 2014;12(2):3561 [24 pp.]. 18 February 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3561.htm
添加物ホルムアルデヒドホルムアルデヒド35 %とメタノール14 %を含む水溶液である。完全飼料1kgに対し有効成分200 ‐1000 mgの濃度で全ての動物種に使用する。遊離および可逆的結合したホルムアルデヒドは胃腸で吸収されやすく、内因性のホルムアルデヒドとして溜まる。ホルムアルデヒドはギ酸さらに二酸化炭素と水に速やかに酸化される。ホルムアルデヒドは吸入による発がん物質である。局所刺激が発がんを強く助長し、より低い濃度ではDNA付加体を作り出すことが知られている。それゆえ、FEEDAPパネルは刺激のない濃度の暴露で全くリスクはないと考えないほうが賢明だと考えた。さらに、現在の知識に基づき、ホルムアルデヒド暴露と白血病の因果関係は除外できない。FEEDAPパネルは、一日一人当たり動物由来食品からの消費者のホルムアルデヒドの経口摂取は4mgと推定した。飼料添加物由来のホルムアルデヒドの信頼できる追加消費者暴露は計算できない。だが、FEEDAPパネルは飼料添加物としてのホルムアルデヒドの使用案は消費者暴露を増加させず、消費者にとっての追加リスクをもたらさないとみなした。全ての動物種用の安全な飼料濃度と種類は測定できなかった。ホルムアルデヒドは強い刺激物で、強力な皮膚と呼吸器の感作物質である。その製品を扱う人の気道、皮膚、目がホルムアルデヒドの使用により発生する埃、霧、蒸気に暴露しない対策をとるべきである。動物栄養へのホルムアルデヒドの使用は環境へのリスクを引き起こさないと考えられる。200- 1000 mg/kg飼料濃度(完全飼料/飼料材料)のホルムアルデヒドは有効な防腐剤となりうる。

  • Adiveter S.L.から提出された申請に基づく全ての動物種用のホルムアルデヒドの安全性と有効性に関する科学的意見

Scientific Opinion on the safety and efficacy of formaldehyde for all animal species based on a dossier submitted by Adiveter S.L.
EFSA Journal 2014;12(2):3562 [25 pp.]. 18 February 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3562.htm
添加物ホルムアルデヒドホルムアルデヒド37 %とメタノール14 %を含む水溶液である。完全飼料1kgに対し68‐680mgの濃度で全ての動物種に使用できる。FEEDAPパネルは、一日一人当たりにつき動物由来食品からの消費者のホルムアルデヒドの経口摂取は4mgと推定した。340‐680mg/kg飼料濃度(完全飼料/飼料材料)のホルムアルデヒドは有効な防腐剤となりうる。

  • FAQから

着色料が飼料添加物に使用されるとき、消費者の安全性と動物の安全性の問題とは?
When colours are used in feed additives is consumer safety an issue as well as animal safety?
FAQ on colours in food and feed 7
http://www.efsa.europa.eu/en/faqs/faqfoodcolours.htm?section=accordion&subsection=7
食品添加物の場合、添加物として使用される物質は食品から直接摂取される。食物生産動物(家畜)用の飼料添加物の場合、消費者は間接的に暴露される。肉・卵・乳製品などの動物由来製品に添加物が残留する恐れがある。規制機関はこれらの製品の残留による消費者暴露が消費者の一日摂取許容量以下であることを保証するために最大残留濃度(MRLs)と呼ばれる飼料添加物の規制値を設定している。飼料添加物の安全性評価はターゲット動物(飼料添加物を直接消費する動物など)でのこれらの物質の有害作用の可能性も考慮している。食物生産動物と同様、ターゲット動物にはペットや他の家畜(例、ウマ)も含まれる。「安全性マージン」と呼ばれる安全性の指標を設定するために、添加物を標的動物に高濃度で与える特別な耐用実験が行われる、安全性マージンは大きければ大きいほど動物へのリスクは小さい。

ヒトと動物の暴露に違いがあるのはなぜか?ヒトと動物の健康へのリスクにどのように影響を及ぼすのか?
Why is exposure in humans and in animals different? How does this affect risks to human and animal health?
FAQ on colours in food and feed 10
http://www.efsa.europa.eu/en/faqs/faqfoodcolours.htm?section=accordion&subsection=10
食品や飼料からの暴露によるリスクを計算するために、食事・年齢・地理的位置・消費パターン(習慣的または時折) などの要因が考慮される。
例えばヒトの食事には多様性があり、多様な成分と栄養を含んでいる。それに対し、動物は日々概して同じ飼料を消費し、またほとんどの家畜と家庭のペットの平均寿命はヒトのよりも短い。ゆえに科学者たちは、ハザードへの動物の暴露はヒトと比べてより頻繁に生じ、生涯のより大きな部分を占めるので、所定の物質からの動物の健康リスクはヒトのよりも高くなる恐れがあると予測している。