食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 妊娠初期の飲酒と出産のアウトカムについての専門家の反応

SMC UK
expert reaction to early pregnancy alcohol intake and birth outcomes
March 10, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-early-pregnancy-alcohol-intake-and-birth-outcomes/
Journal of Epidemiology and Community Healthに発表された研究では、出産の合併症リスクの低い1264人の女性にアンケート調査を行い、妊娠最初の3ヶ月の飲酒は早産や小さな赤ちゃんを産むリスクが高くなるかもしれないことを示唆した
英国産婦人科学会広報Patrick O’Brien博士
興味深い研究で、妊娠最初の3ヶ月の飲酒はたとえ少量でも赤ちゃんの成長に小さな影響を与えるリスクが増えることを示唆する。妊婦は飲酒すべきではないという主張は英国産婦人科学会の助言と一致する。しかし全く飲まないのが最も安全であるものの、妊娠12週以降、週に1-2回、1-2ユニット以下で有害影響があるという根拠もない
Bristol大学周産期疫学小児科Jean Golding名誉教授
この研究は週に2杯までなら飲んでも良いという助言の妥当性を調べることを目的にしている。質問は週に何回飲むかであってどれだけ飲むかではない。最初の3ヶ月に週に1-2回飲んだ人より多く飲んだ人での結果が悪くないなど、週に1-2回飲むことが安全でないというしっかりした根拠とはならない。
St George’s病院Catherine Collins栄養士長
アルコールの摂取量推定や換算、分類、もともと5959人の女性に質問して参加が1374人などいくつかの欠点がある。
Bristol大学新生児医学Andrew Whitelaw教授
この研究の良いところは唾液にコチニンで喫煙を評価していることである。38%の女性が妊娠前にリスキーな飲酒を認めていることと、妊娠はしばしば後で気がつくことを考えると、妊娠しようと思ったら完全に飲まないという助言が望ましいだろう。
(微量のエタノールは発酵食品に普通に含まれるので厳密にはゼロにはならないけれど心配する必要もない。一応遺伝毒性発がん物質)

  • New Yorkerはカエル科学者Tyrone Hayesを、ならず者から窮地に立たされた英雄に変える提灯記事を書く失態をおかしたのか?

Forbes
Did The New Yorker Botch Puff Piece On Frog Scientist Tyrone Hayes, Turning Rogue into Beleaguered Hero?
3/10/2014  Jon Entine,
http://www.forbes.com/sites/jonentine/2014/03/10/did-the-new-yorker-botch-puff-piece-on-frog-scientist-tyrone-hayes-turning-rogue-into-beleaguered-hero/
Tyrone Hayesは何者で、彼の彼と彼の家族が巨大農薬会社の犠牲者であるというセンセーショナルな主張は本当なのだろうか?
彼とRachel AvivによるNew Yorkerの8000語を費やした長い記事によるとHayesは科学企業シンジェンタによる長い信用を失わせるための活動の犠牲者である。しかしこの話は公的記録とそんなに簡単に一致しない。
この物語は2002年にHayesがアトラジンがカエルの性的異常を誘発すると主張した研究を発表するところから始まる。彼はカエルに悪いものはヒトにも有害だと推測した。この主張は大企業が悪だと信じている多くの団体に歓迎され抗議の嵐を引き起こした。この問題に対応するため何百万ドルという研究資金が投入され多数の追試が行われたがHayesの主張の根拠は見つからなかった。しかしHayesは彼の主張に異議を唱えるものに対して絶え間ない中傷を行ってきた。だんだん少なくはなっていたが、昨年の夏、Berkeleyでのアトラジン関連研究が中止に追い込まれそうになって再燃した。Hayesはシンジェンタの陰謀だと主張する。昨年の8月に書いたように、Hayesは陰謀の根拠は提示していないしBerkeleyの担当者はHayesの主張を厳しく否定した。
New Yorkerの記事ではシンジェンタがHayesのメールをハッキングし彼を尾行していると主張し、さらにシンジェンタの主任科学者が彼をリンチし家族をレイプすると脅迫したと主張しているがこの主張に根拠はない。反対の根拠はある。Hayesの送った大量の脅迫メールがオンラインで読める。“Dr. Tyrone Hayes: Biologist, Cock-Fixated Megalomaniac Email Addict”
Academics Reviewに先週投稿された要約ではAvivの報告をHayesによる10年にわたる嫌がらせを無視したものだと書いている
Berkeleyへの倫理上の苦情申し立ての一環でHayesの猥褻なメールが公開されるとHayesのシンジェンタへの奇妙な非難はさらに激化した
Avivの主張は典型的な反企業で、企業と政府の間におおがかりな陰謀が存在するというものである。
(いろいろ略。猥褻メールとかリンクされている。
これまでも何度か紹介しているし、Hayesの結果が再現できないという報告は日本の井口泰泉先生からも出ているのだけれど、「シンジェンタの手先」なんでしょうか?
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20130826#p15
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20100820#p10
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20100819#p8
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20080410#p2
この記事とかブックマーク見ると陰謀論って魅力的なんだな。Hayes本人のサイト見ただけでかなりあれな感じなのだけれど
http://honz.jp/articles/-/40248
http://b.hatena.ne.jp/entry/honz.jp/articles/-/40248

  • 腐った果物は微生物の戦いかも

ScienceNOW
Rotten Fruit May Be Due to Microbe Warfare
11 March 2014
http://news.sciencemag.org/biology/2014/03/rotten-fruit-may-be-due-microbe-warfare
腐ったリンゴを囓ってまずくて投げ出したことはあるか?一部の科学者はこれが微生物があなたに対する生物学的戦いと勝利だと考えている。この約40年前に提示された説は、細菌や微生物が食品をダメにするのはヒトのような大型動物に餌を奪われることを避けるためだと主張する。新しい論文は数学モデルでこの仮説を検証した。Proceedings of the Royal Society Bに発表。

Magnesium: A Mighty Mineral
by Berkeley Wellness | March 11,
http://www.berkeleywellness.com/supplements/minerals/article/magnesium-mighty-mineral
マグネシウムに富む食品が良い選択肢であることに疑いはないがサプリメントは別の話である。大酒飲みやコントロールされていない糖尿病、プロトンポンプ阻害剤などの医薬品を使用している、特定の吸収阻害疾患があるなどの欠乏リスクの高い場合を除き、マグネシウムサプリメントは使うべきではない

  • カルシウムが脚光を浴びる

Calcium in the Spotlight
by Berkeley Wellness | March 11, 2014
http://www.berkeleywellness.com/supplements/minerals/article/calcium-spotlight
長い
カルシウムは食品から摂る方がよいが不足する場合にはサプリメントや強化食品で補うことも薦められている。IOMによる上限は2500mg/dayである。サプリメントからの摂取量は1000-1200mg/dayを超えないこと。

Ginkgo: For Memory & More?
by Berkeley Wellness | March 11, 2014
http://www.berkeleywellness.com/supplements/herbal-supplements/article/ginkgo-memory-more
イチョウはよく研究されているハーブのひとつであるが記憶や精神機能に効果があるという根拠はない。さらに安全性に疑問があるためイチョウを含むサプリメントは避けるのが賢明であろう。

  • 甘草の秘密

The Licorice Lowdown
by Berkeley Wellness | March 01, 2014
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/licorice-lowdown
リコリスほど面白い食品はそうない。何百という生理活性物質が同定されている。
米国で製造されているリコリス(キャンデー)のほとんどは単なる砂糖で、ヨーロッパのブラックリコリスには甘草の根や抽出物が入っている。砂糖は食べる量は少しだけにしよう。本物の甘草は特に注意が必要である。リコリスを含むハーブサプリメントの「おなかの不快症状を和らげる」などは根拠がない
(このゴムのようなキャンディの人気がいまいち理解できない)

  • WHOの砂糖案に嵐

Natureニュース
Storm brewing over WHO sugar proposal
11 March 2014
http://www.nature.com/news/storm-brewing-over-who-sugar-proposal-1.14854
WHOが砂糖の摂取量半減に動いた後、科学者は食品企業との戦いの準備をする
栄養学者は2003年にWHOが現在のガイドラインである、遊離の糖由来のカロリーは成人の1日の摂取カロリーの10%以下にすべき、という発表をしたときに見られたのと同様のバックラッシュを恐れている。2003年に米国砂糖協会は、WHOがこの助言を変更しないなら、米国政府にWHOへの出資を引き上げるよう圧力をかけた。WHOは引き下がらず、そして今度はそれを5%にまで下げることを議題に載せた
Harvard School of Public Healthの栄養部長Walter Willettは、「これは合理的な限度である」としている。しかしニューヨーク大学の栄養研究者Marion Nestleは、食品製造業者はこれを受け入れないだろうと予想する。
1日の摂取カロリーの5%は約25gの砂糖に相当する。世界中のほとんどの消費者はこれ以上摂っている。米国ではCDCによれば14%以上である。
このガイドラインは2つのメタ解析に要約される120以上の研究に基づく。そのうちのひとつを担当したオタゴ大学の栄養研究者Jim Mannは、砂糖の摂取量を下げることについての科学的根拠は2003年以降より決定的になっていると述べた。しかしWHOが助言をつくるために用いたプロセスには大きな違いがある。
WHOは栄養ガイドラインを作るために初めてGRADE(助言査定開発評価格付けGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムを採用した。これは文献レビューより正式な標準化された手法で、問題の研究について明確な言明を行い、文献レビューとメタ解析手法にはコクラン共同計画によるゴールドスタンダードを用い、バイアスや交絡要因についての重み付を行うことを要求する。この荷の重いプロセスは各種見解のはいる余地がない。彼の解析では、特に虫歯の予防について、10%の制限に利益があることには強い根拠を確認し、さらに下げることには根拠は弱いながらも「良い手がかりgood clues」があった。
これは砂糖圧力団体から攻撃されるであろう、と研究者は言う。ほとんどの企業はWHOに意見を提出する準備中はコメントを拒否したが、一部は批判している。