食品安全情報blog過去記事

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EFSAは無機ヒ素の食事暴露推定を引き下げる

EFSA lowers dietary exposure estimates for inorganic arsenic
6 March 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/140306.htm
EFSAは欧州の食品中のヒ素解析を更新した。この解析には、有機化合物よりも毒性がある、無機ヒ素に関する約3000のデータサンプルを含んでいる。EFSAのデータ専門家はEFSA食品摂取量データベースの情報を使用し、食事による慢性的な無機ヒ素暴露推定も精細化した。

  • 欧州の人々の食事からの無機ヒ素暴露

Dietary exposure to inorganic arsenic in the European population
EFSA Journal 2014;12(3):3597 [68 pp.]. 06 March 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3597.htm
ヒ素は岩・土・天然の地下水に低濃度で存在する、どこにでもある半金属である。全部で103773の食品サンプル(飲料水を含む)が無機ヒ素(iAs)の食事からの暴露を計算するのに使用された。それらのうち、101020が総ヒ素(tAs)、2753がiAsである。tAsに関する報告のうち、66.1 %が検出限界または定量限界以下(左側打ち切り)だった;iAsに関する報告データの左側打ち切りデータの割合は41.9 %だった。tAsとして報告されたデータの多く(92.5 %)はiAs食事暴露を計算する前に異なるアプローチを使用してiAsに換算された。欧州17か国からの28調査を使用してiAs慢性的食事暴露を推定するためにEFSAの包括的欧州食品摂取量データベースを用いた。左側打ち切りのデータ処理に使用されたシナリオにより、乳児・幼児・その他の子供達の平均食事暴露量は一日当たり0.20から1.37μg/kg b.w.の範囲内にあり、食事暴露の95パーセンタイル値は一日当たり0.36から2.09μg/kg b.wの範囲内にある。成人グループ(成人・初老・超高齢者を含む)の平均食事暴露は一日当たり0.09から0.38μg/kg b.w.の範囲にあり、食事暴露の95パーセンタイル値は一日当たり0.14から0.64μg/kg b.wの範囲内にある。乳児と幼児を除く全ての年齢グループにとって、iAs食事暴露への主な原因は「穀物ベースの加工製品(コメベース以外)」の食品グループであり、特に小麦パンとロールパンである。iAs暴露の主な原因である他の食品グループはコメ・牛乳・乳製品(乳児と幼児の主要な原因)・飲料水である。現在の評価における不確実性の主要原因は、tAsからiAsへ換算、食品摂取量データの不均質性および左側打ち切りデータ処理に関するものである。