食品安全情報blog過去記事

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その他

  • セレンとビタミンE

Selenium & Vitamin E
by Berkeley Wellness | June 02, 2014
http://www.berkeleywellness.com/supplements/vitamins/article/selenium-vitamin-e
何年もの間、多くの男性はセレン及び/またはビタミンEサプリメント前立腺がん予防になると信じて摂っていた。一部の初期の研究で予防効果があることが示唆されていたから。しかし最近の研究ではそれが間違った考えだったことが明らかになった。
サプリメントを調べるためにNCIが2001年にセレンとビタミンEがん予防研究(SELECT)を開始した。この大規模で重要な研究は男性に1日200 microgのセレン及び/または400 IUのビタミンE、あるいはプラセボを与えた。これは先の研究で利益があると考えられたものである。しかし平均5.5年後、サプリメントは単独であろうと一緒であろうと前立腺がんのリスクも肺や大腸がん、あるいは心血管系疾患のリスクも下げなかった。
このことは残念である。しかしこの研究が終わって男性がサプリメントの使用をやめてから18か月後のフォローアップではビタミンEを摂っていた男性の方がプラセボより前立腺がんリスクが高いことを発見した。このことはサプリメントの影響は摂ったあと何年もしてから現れることもあることを示す。
そして2月にJNCIに発表されたさらに新しい解析結果ではもともとセレンの摂取量が多い男性ではサプリメントは悪性度の高い前立腺がんのリスクを約2倍にするというものだった。さらにビタミンEはセレンの濃度が低い男性の前立腺がんリスクを63%増やした。
基本
この研究の結論は理に適っている
「リスクがあることとメリットが何も証明されていないことから、55才以上の男性は推奨食事摂取量を超える用量のビタミンEやセレンサプリメントを避けるべきである」

  • 統合薬局に注意

Science-based medicine.
Beware the Integrative Pharmacy
Posted by Scott Gavura May 22, 2014
http://www.sciencebasedmedicine.org/beware-the-integrative-pharmacy/
統合医療」という単語が人気になるにつれ、有効性と安全性が評価された医薬品と、根拠のないホメオパシーのようなものを「統合」して、見分けがつかないようにして販売することを薦める記事がHuffPoなどに掲載されるようになった。薬剤師として、これは専門家としての職能を欺く行為であるし消費者にとっては悪くなるだけであるが、ホメオパシーチェーン薬局などが勢力を拡大している。理由は簡単でそのほうが儲かるから。
(写真で紹介されているのはカナダの大手薬局チェーンrexall。「自然な方法で症状を治療するホメオパシーレメディのコーナー」などがある。ホメオパシー製品のなかには本物の医薬品そっくりのパッケージのものもある)

  • 肥満流行の原因についての一般的通念の多くは間違っているだろう

Forbes
Much Conventional Wisdom About The Causes Of The Obesity Epidemic May Be Wrong
Geoffrey Kabat, 6/02/2014
http://www.forbes.com/sites/geoffreykabat/2014/06/02/much-conventional-wisdom-about-the-causes-of-the-obesity-epidemic-may-be-wrong/
米国人の肥満増加の原因として、運動しなくなった、ジャンクフードを食べるから、健康的な食品や野菜や果物が入手しにくい、娯楽時間が減った、などが挙げられている。しかしRANDの経済学者とイリノイ大学の医学研究者による新しい展望ではこれらの果たす役割は間違っているあるいは限られたものでしかない。全体の傾向を見ると体重増加は全ての集団でみられ、食糧価格の収入に占める割合は劇的に低下し現在が最も低くそれとともに平均カロリー摂取量が大きく増加した。野菜や果物の摂取量は増えレジャー時間は長くなり、近所にスーパーなどがないという根拠は薄弱である。炭水化物、脂肪、タンパク質の摂取量は流行により多少変動するものの短期間である。結局問題は特定の食品ではなく食べ過ぎなので野菜や果物を食べようという助言が役立つとは思えない。この傾向を反転させるのは難しい。
ペーパーの著者に筆者(Geoffrey Kabat)が同意しないのは運動量が増えているということ
(何故アメリカ人は肥満の最大の原因として食べ過ぎを認めたがらないのだろう?)

Resveratrol supplements cause pancreatic problems in developing fetus
2-Jun-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-06/ohs-rsc060214.php
FASEB Journalに発表された、サプリメントを与えた妊娠サルでの実験
妊娠中の高脂肪高カロリー食の影響を抑制するのではないかと期待して実験した。胎盤の血流量の増加のような良い影響も観察されたものの胎児の膵臓への悪影響は重要で、著者らは妊娠女性および妊娠を計画している女性にレスベラトロールは避けるよう強く薦める。

Got Autism? Learn About the Link Between Dairy Products and the Disorder
http://www.peta.org/features/got-autism-learn-link-dairy-products-disease/

  • 金沢大学プレスリリース

緑茶を飲む習慣と認知機能低下との関連を発見!
http://www.kanazawa-u.ac.jp/university/administration/prstrategy/release/pdf/14/140515.pdf
もと論文
Consumption of Green Tea, but Not Black Tea or Coffee, Is Associated with Reduced Risk of Cognitive Decline
Noguchi-Shinohara M et al.,
PLoS ONE 9(5): e96013. doi:10.1371/journal.pone.0096013
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0096013
石川県2007年4月にNakajima地区に住む60才以上の2845人中723人がベースライン調査に参加。2011-2013年のフォローアップ調査は490人。
飲む量は全く飲まない・週1-6日・毎日の3群に分割。
緑茶とコーヒーはそれなりに飲まれているが当然のことながら紅茶を毎日飲む人がいない
弱い認知機能の低下が緑茶を多く飲む人の方が少なかったというけれど緑茶を全く飲まないと回答した群の認知機能の低下が特異的に高い(他の群は10%前後なのにこの群だけ22%)。このことに対する考察が無く緑茶が認知機能を低下させる可能性を示唆というのは統計を使った詐欺に近い。プレスリリースからは読み取れない。
例えば日常的に近所のお友達が来たらとりあえずお茶を出す習慣のある地域で全くお茶を飲まない人たち、というのは何を意味するだろう?