食品安全情報blog過去記事

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乳がん:スクリーニングの有害性と利益−専門家の反応

SMC
Breast cancer: the harms and benefits of screening – experts respond
June 18th, 2014.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2014/06/18/breast-cancer-the-harms-and-benefits-of-screening-experts-respond/
乳がんスクリーニングは本当に命を救っているか?
BMJに発表されたノルウェーの研究で、最新マンモグラフィースクリーニングの有効性を調査した。マンモグラフィースクリーニングはスクリーニングしなかった女性に比べて乳がんによる死亡の28%の減少に関連した。このことは1万人をスクリーニングすると約27人の乳がんによる死亡が避けられることを意味する。著者らはこのメリットを「相当な効果」としている。しかしながら同時に発表された米国の研究者らによるエディトリアルでは「ノルウェーの研究はこれまでわかっていたことを再確認した:マンモグラフィー検査のメリットは最良の場合でも少しで、一方過剰診断や心理的ストレス、膨大な費用などの有害影響はリアルである」とのべ、女性たちには情報を与えられた上での決定をするために、バランスのとれた情報を与えるべきであるとしている。
SMCは以下の専門家のコメントを集めた
ニュージーランド乳がん財団の医療アドバイザーBelinda Scott
この研究はスクリーニングによる女性の死亡の削減効果は明確であることを示した。女性は、検査にもリスクはあることを理解することが重要である。同様の研究がNZでも行われるといい
オーストラリアSMC
WAがん評議会教育研究部長Terry Slevin
マンモグラフィー検査を巡る議論はオーストラリアより北半球で盛んである。完璧な検査はない。この研究は豪州でのメリットと考えられるものと一致している。検診で死亡は減るが命を脅かすがんにはならないものを治療することになることもある。女性はこのことを知るべきである。早期発見はひとつのツールであるが予防も重要である。飲酒しない、健康体重を維持する、運動する、HRTは最小限にすることなどで乳がんになるリスクは下がる。検診は完璧ではなく負の影響もあるが乳がん対策の重要な道具のひとつである。
NSWがん研究所主任David Currow教授
エディトリアルでは効果は小さいと主張しているが大きな効果である
(注:がん研究所はNSW州のスクリーニングの責任機関)
メルボルン大学(その他いろいろ肩書きのある)Anne Kavanagh教授
西オーストラリアでのデータではスクリーニング参加者の死亡率削減は50%である
検査には負の側面もあるが現在のオーストラリアの検診計画については良い根拠がある。
(もともとの乳がんの率と検診のプログラムなどによって費用対効果のバランスが変わる。でも大事なのは徹底的に冷徹に検討すること。いろいろ良い教材なんだけれど日本では全然。)