食品安全情報blog過去記事

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GMとがんの関連を主張する論文再発表

Natureニュース
Paper claiming GM link with tumours re-published
Barbara Casassus
24 June 2014
http://www.nature.com/news/paper-claiming-gm-link-with-tumours-re-published-1.15463
2012年に発表され2013年に取り下げられたGMトウモロコシがラットの腫瘍と関連すると主張する議論の多い論文が、再び別の雑誌に発表された。パリでの記者会見でGilles-Eric Séraliniは他に4つの雑誌がこの論文を発表する言っていたが選んだのはオープンアクセス紙Environmental Sciences Europeであると語った。オリジナルのものから多少改訂されて本日オンライン発表された。さらに著者らが彼らは検閲の犠牲者であると主張するコメントも発表している。
雑誌の編集者Winfried Schröderは、Séraliniが共同設立者であるNPOのCriigenが発表した声明で「科学の発展には議論が必要であり、議論を可能にするためにこの論文を発表した」と述べている。Natureニュースが直接取材を申し込んだが答えはない。
再発表で批判者が態度を変えることはない。SDラットは18ヶ月を超えるとがんを始めいろいろな健康問題が出やすい。

  • 議論のあるGM研究が再び発表された−専門家の反応

SMC
Controversial GM study republished – experts respond
June 25th, 2014.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2014/06/25/controversial-gm-study-republished-experts-respond/
オタゴ大学環境開発ラボ遺伝学Peter Dearden准教授
Séralini論文の再発表は科学のプロセスについての重要な問題を多数提示する。問題は再発表された論文が方法論に問題があるとして取り下げられたものと同じということである。
再発表の理由は著者が取り下げは不公正だと感じたことである。たくさんの議論がなされ、ねつ造ではない理由で取り下げられたことも異例である。再発表されたところで元の論文が何らかのGM食品の危険性を示唆するものではないという意見は変わらない。
Canterbury大学分子生物学遺伝学Jack Heinemann教授
再発表を賞賛する。さらなる研究がなされるべき
Auckland大学統計学Thomas Lumley教授
再発表で最初の論文の欠陥に応えられたとは思わない。再発表は歓迎する。最初の論文がリジェクトされるべきだったと思うが取り下げの経緯は好ましくない
Illinois大学Bruce Chassy食品安全名誉教授
この問題についてFood and Chemical Toxicology と Elsevierはあまり適切な対応をしなかった。何故最初に受理したのかを理解するのは困難だし取り下げに1年以上かけた。
King’s College London栄養学Tom Sanders教授
最初の欠陥のあるデータを再発表しても修正はされない。今やオープンアクセスジャーナルにはなんだって発表できる。大きな腫瘍のある動物の写真に科学的意味はない。
Cambridge大学リスクの公衆理解に関するWinton教授 David Spiegelhalter教授
この研究は真に独立したラボでの再現が必要。
Greenwich大学Joe N. Perry教授
もとの論文と同じなので私の意見は変わらない。ただ生データを発表するという約束は歓迎する
Adelaide大学Ian Musgrave博士
欠陥はそのまま
Queensland大学Andrew Bartholomaeus教授
最初の論文はFSANZやEFSA等で既に十分検討されている。何も変わらない
毒性学的意味はないがメディア管理に成功し、GM実験施設の破壊などに象徴されるように、研究の知見そのものより大きな悪影響をもたらした。
Saskatchewan大学Cami Ryan
もしSéraliniの目的が質の高い科学なら、最初の論文への批判を受け入れて改善するだろう。
UC Riverside, USAのAlan McHughen
新しいデータはなくもとと同じ
Vancouver Island大学Robert Wager
Grenoble-Alpes大学Marcel Kuntz
既に批判されたのと同じ主張を繰り返している