食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 全国薬物戦略世帯調査

オーストラリア健康福祉研究所
National Drugs Strategy Household Surveys (NDSHS)
http://www.aihw.gov.au/alcohol-and-other-drugs/ndshs/
2013年調査のハイライト
喫煙率低下
毎日吸う人は2010年から2013年に15.1% から 12.8%に減少。1991年の24.3%から約半減。
若い人の喫煙開始年齢は上がり、平均喫煙本数も減った
飲酒
飲み過ぎの人が減り17才まで飲まない人が増えた。
違法薬物の使用
エクスタシー、ヘロイン、GHBは減少、医薬品誤用が増加
メタンフェタミン/アンフェタミンは使用率は変わらないが形態が粉末から結晶(アイス)に移行している

  • 抗酸化物質についての真相を明らかにする:ROSが健康にもたらす有益な効果をミトホルミシスで説明する

Unraveling the Truth About Antioxidants: Mitohormesis explains ROS-induced health benefits
Michael Ristow
Nature Medicine 20, 709–711 (2014)
日本語要約
http://www.nature.com/nm/journal/v20/n7/standfirst/nm.3624_ja.html?lang=ja
たくさんのin vitro試験で活性酸素種(ROS)がいろいろな培養細胞に有害影響を与え、抗酸化物質がそれを抑制することが示されてきた。しかしこれらは動物になると一般的に観察されず、さらに効果を期待された抗酸化サプリメントのヒトでの研究はほとんど失敗した。ROSは病気にはあまり関係ないのかあるいは有用なのだろうか?同様にROSを大量に生じる運動がヒトの健康によいことにも関連する。
濃度により影響が違う、つまりホルミシスとして1950年代から知られている現象が関与するかもしれない。
(図とか説明とか略)
抗酸化サプリメントはヒトの疾患予防にはあったとしても僅かしかメリットはなく健康を損なう可能性がある。いずれにせよさらなる研究が必要である。

  • 政治が大麻研究に影響しているか?

Science
Q&A: Is politics influencing marijuana research?
16 July 2014
http://news.sciencemag.org/health/2014/07/qa-politics-influencing-marijuana-research
今週国立薬物濫用研究所(NIDA)のチームが重度の大麻使用者は脳の快楽中枢が壊れているかもしれないと報告した。一方英国の研究者は何故大麻があなたを被害妄想にするのかを説明した。しかしこのような大麻の「悪い面」の研究はこの薬物を不当に扱うことになるか?Scienceは医療用大麻についてのblogを書いていて政治がこの分野の研究に影響していると言っているブリティッシュコロンビア大学救急医Ian Mitchellにインタビューした。彼は医療用大麻を患者に勧めている。
一部抜粋
Q:一部の州で大麻が合法化されたことが大麻研究に影響しているか?
A: 研究は盛んになっている。
レクリエーション使用でのデータを追跡することも重要だと考える。ワシントンやコロラドなど大麻を合法化した地域での交通事故や自殺、事故、殺人等のデータも重要。
Q:たとえばマリファナががんに効くといったようなマリファナのメリットについての研究も政治的になる危険性はあるか
A:非常に大きな懸念である。大麻の研究にはあらゆるレベルで批判があり、それは続くだろう。だから良い研究が必要だ。質の高い、吟味に耐えられる必要がある。

Sexual harassment is common in scientific fieldwork
By Ann Gibbons 16 July 2014
http://news.sciencemag.org/scientific-community/2014/07/sexual-harassment-common-scientific-fieldwork
PLOS ONEに発表された報告によると30ヶ国666人の科学者が回答したアンケート(75%米国人、75%が考古学や人類学者)で、64%がセクシャルハラスメントを経験していて、重大なことには20%以上が性的暴行を経験している。圧倒的に若い人が多く、女性の90%以上、男性の70%以上が学生やポスドクあるいは加害者より身分が低い。女性は男性の3.5倍。この数字は他の労働環境での報告と同程度。

  • MedDietは、異なる人種の認知機能低下に多様な影響−−Ben-Gurion大学の研究

MedDiet has varied effects on cognitive decline among different races -- Ben-Gurion University researcher
16-Jul-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-07/aabu-mhv071614.php
Journal of Gerontologyに発表された研究によると、地中海食(MedDiet)には広範な健康上のメリットがあるがその認知機能低下への影響は人種により違う。
70-79才の2326人に、改変ミニメンタルステート検査を行ったデータを用いて解析した。アフリカ系アメリカ人では地中海食遵守率の高さと認知機能低下速度の遅さに強い関連が見られたが、白人高齢者ではそうではなかった。
(高齢になってから食生活変えるのはそんなに簡単じゃないし。好きなもの食べられない方が意欲をなくす場合だってあるだろう)

  • 研究者らが「三次喫煙」の健康リスクを示す

Researchers demonstrate health risks posed by 'third hand' tobacco smoke
16-Jul-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-07/uoy-rdh071614.php
Environment Internationalに発表された論文。三次喫煙(タバコを吸った後に残るガスや家具やダストについた粒子)のがんリスクを評価し、重大な長期影響の可能性があるとした。1-6才の子どもで喫煙者の家庭の3/4、非喫煙者の家庭の2/3がEPAの目標閾値を超える。
(環境系の人たちはこういうやりかたする。まあリスクはゼロではないけれど・・・)

  • 幹細胞治療で女性の背中で鼻が増殖

NewScientist
Stem cell treatment causes nasal growth in woman's back
08 July 2014
http://www.newscientist.com/article/dn25859-stem-cell-treatment-causes-nasal-growth-in-womans-back.html#.U8dLraTlpaT
米国人女性が幹細胞で麻痺を治療しようとして失敗して8年後、腫瘍のような増殖がみられた。幹細胞が増殖したという報告は10ほどあるが西洋の病院で、認可された臨床試験のなかでは最初の症例である。米国の女性がポルトガルの病院で、鼻から臭神経幹細胞を含む組織をとって脊椎に移植した。神経細胞になって神経の傷害を修復してくれるのではないかと期待した。しかし失敗した。昨年女性は移植した部位の痛みがひどくて手術したところ外科医は3cmほどの主に鼻組織からなる増殖塊を除去した。悪性の増殖ではないが粘液を分泌していてそれが彼女の痛みの原因であろう。
現在1000以上の幹細胞試験が行われているが、民間の規制されてない幹細胞療法を受けている患者の数は不明である。

Queensland's top melanoma hotspots revealed
http://www.cancerqld.org.au/page/news/queenslands_top_melanoma_hotspots_revealed/
Cancer Council Queenslandの研究により悪性黒色腫ホットスポットが同定された。
最も頻度が高かったのはSouth West Queenslandで10万人中76人、最も低いのはMackayの10万人中60人。日光安全性に注意。
(オーストラリアの白人は世界で最も悪性黒色腫が多いので。でも豪州の白人向けの対策を日本で日本人向けにやる必要はないと思う。こういうの
「オーストラリアでは、帽子をかぶりUVカットクリームを塗らないと校庭には出られないそうで、日本では遅れていることを痛感します。」
http://www.shigaisen.com/uv/kyouiku.html