食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 健康恐怖のペテン師

The Health-Scare Huckster
by John Swartzberg, M.D. | July 21, 2014
http://www.berkeleywellness.com/self-care/over-counter-products/article/health-scare-huckster
健康恐怖のペテン師Kevin Trudeauが最近テレビのインフォマーシャルで嘘を言い続けたことで裁判所侮辱罪で有罪判決を受け、米国地方判事から禁固刑10年を言い渡された(彼は控訴している)。
Trudeauについては10年前の記憶力増強装置やいびき治療、その他疑わしい製品のインフォマーシャルで覚えているかもしれない。しかし最も有名なのは自然療法「彼らがあなたに知って欲しくないこと」という500万部売れた本である。「ナチュラル治療」には魔法のジュースや大腸洗浄、ミツバチ花粉、過酸化水素酵素錠剤などその他多くの効果のないあるいは有害な方法や製品が含まれる。
何年にも渡ってFTCが何度もTrudeauを虚偽の宣伝について告発し製品の販売を禁止し罰金を科したが彼は止めることはなかった。彼のばらまいた虚偽情報や陰謀論はある種の記録である。彼は医者や科学者や医薬品企業や政府や学会やメディアが全て買収されていて制御できないと警告した。「彼ら」はあなたに肥満で病気になって欲しくて真の治療法を隠しているのだ。さらに悪いことに、「彼ら」は実際には病気の原因である薬を売っている。そして日焼け止めはがんの原因でAIDSは嘘でコレステロールはでっち上げである。あなたは決して手術をしてはならず電子レンジを使うと中毒になる。
Trudeauはやがて忘れられるだろうが、陰謀論は生き残る。これはJAMAに発表された調査結果で明らかになった。約半分の人が少なくともひとつの医学の陰謀論を信じている。そして陰謀論を信じることは行動に影響し、ビリーバーは普通の医薬品や予防接種や日焼け止めなどを避けてハーブサプリメントを使う傾向にある。
なぜそのような考えが根付くのか?近年、反科学(アンチサイエンス)の巨大市場があり、それが政府や「専門家」への不信を伴うと特に大きくなる。もちろん医師や研究者が常に正しいわけではなく、研究の不正が発覚したり医療ガイドラインが改定されたりするし医薬品には副作用がある。しかしだからといってTrudeauが正しいということにはならない。
医療に関しては、必要なのは医師に尋ねることである。我々に必要なのは健康な、生涯にわたる懐疑主義であり、そうすれば次のTrudeauが現れても「あなたの製品や考えは買わない」と言えるだろう。

  • 報告書全文と重要な知見:MetLife 財団の提供による2013世論調査

Partnership for Drug-Free Kids
Full Report and Key Findings: 2013 Partnership Attitude Tracking Study, sponsored by MetLife Foundation
July 22nd, 2014
http://www.drugfree.org/newsroom/pats-2013-full-report-key-findings
10代の薬物とアルコール使用と保護者の十代の薬物濫用への態度についての調査。
10代の合成ヒト成長ホルモン使用が2倍になった。2012年には5%だった、9-12年生のhGH使用経験が11%に増加。この知見はパフォーマンス増強薬物への十代の関心の高さを強調し、より厳しい規制の必要性を示す。

  • 西ナイルを標的にした農薬散布について議論

Dispute aired over Sacramento County spraying of West Nile-targeting pesticide
Tuesday, Jul. 22, 2014
http://www.sacbee.com/2014/07/22/6572617/dispute-aired-over-sacramento.html
西ナイルウイルス陽性昆虫や鳥が増えたため、サクラメントでは再び飛行機を使った殺虫剤散布が行われた。これについて農薬の健康リスクを主張するUC Davis の環境疫学者Irva Hertz-Picciottoは批判、環境保護局や公衆衛生当局は懸念はないとしている。使用されるのは有機リン系のナレド。同じくUC Davis の昆虫学と包括的がんセンター教授Bruce Hammockはヒトにとって有害な量ではないとし、化学物質が自分たちに振りかけられるという考えから生じる情動的な問題の方が大きいという。よくある社会的問題で、我々はリスクが全くない利益だけが欲しい。西ナイルウイルスは免疫抑制状態のヒトが罹れば死亡する可能性があり、全ての殺虫剤にはなんらかのリスクはある。殺虫剤散布はベクターコントロールの有効な方法であることがわかっている。

  • 医学研究:加齢を治療する

Natureコメント
Medical research: Treat ageing
Luigi Fontana, Brian K. Kennedy, Valter D. Longo, Douglas Seals & Simon Melov
23 July 2014
http://www.nature.com/news/medical-research-treat-ageing-1.15585
2050年までに世界の80才以上の人口は3倍になるだろう。これは個人や経済に大きな負担となる。二つのグループが、動物やヒトの研究を、どうやって加齢による衰えを遅らせる方法を探すことに焦点を合わせなおすべきかを説明する

Science News
Blue whales being struck by ships
By Virginia Morell 23 July 2014
http://news.sciencemag.org/biology/2014/07/blue-whales-being-struck-ships
アメリカ西海岸沖で時間を過ごす171頭のシロナガスクジラを衛星を使って15年以上追跡した結果、シロナガスクジラの数が増えない要因として船と衝突している可能性を指摘した。IWCは1966年からシロナガスクジラ商業捕鯨は禁止している。ザトウクジラは捕鯨禁止で数が増えたのに対し、シロナガスクジラは増えていない。PLOS ONEに発表された論文によると鯨が夏毎に大量のオキアミを食べに戻る地域が船の航路と重なり交通事故がおこっている。大型船はぶつかったことに気がつかないだろう。それがどれだけ寄与しているのかも不明ではあるが嬉しいことではない。幸い改善方法はある。