食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ミクロシスチンについての5つの事実、トレド、オハイオの水毒素

5 Facts About Microcystin, Toledo, Ohio's Water Toxin
By Annie Hauser Published: Aug 4, 2014
http://www.weather.com/health/what-you-need-know-about-microcystin-toledos-water-toxin-20140804
高濃度ミクロシスチンが検出されたため土曜日に水を使わないよう警告されていたトレドの給水が正常に戻った。この警告は摂取基準より高濃度のミクロシスチンが一処理施設で検出されたためで、エリー湖の藻類が原因である可能性が高い。
ミクロシスチンは藻類の大量発生で放出され、肝毒性があり皮膚に接触すると発赤する。飲み込むと腹痛や嘔吐、発熱等の症状が出る。野生動物やペットを殺しているがヒトでの死亡事例は報告されていない。富栄養化と気候変動で問題は悪化している。
(湖の写真があるがえらい緑色)

  • 母親によく見られる化合物が胎児のIQに負の影響があるかもしれない

Common chemical in mothers may negatively affect the IQ of their unborn children
5-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/bumc-cci080514.php
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに発表された出生前甲状腺研究Controlled Antenatal Thyroid Study (CATS)コホートのデータを用いた研究。甲状腺機能低下の487母子ペアのうち最も過塩素酸濃度の高い50人の女性の子どものIQが他の子どもより低い。

  • インドはGM作物に往生

Natureニュース
India stalls on GM crops
05 August 2014  T. V. Padma
http://www.nature.com/news/india-stalls-on-gm-crops-1.15677
噂が飛び交い、政府はまだGM作物の野外試験についての決定をしていないという
環境大臣Prakash Javadekarが将来の野外試験を阻止する計画であるとニュースが報道しているがインド新政府はまだ決定していないという。

HealthNewsDigest.com
The Merry Old Land Of Oz
August 4, 2014
By Michael D. Shaw
http://www.gasdetection.com/interscan-in-the-news/magazine-articles/merry-old-land-oz/
Dr. Mehmet Ozの経歴は不可解である。素晴らしい教育を受け(Tower Hill予備校、Harvard大学生、Penn医科大学、Wharton)、ニューヨークのColumbia長老教会医療センターに住み外科医として勤務している。Columbia医科大学の各種学術職をもち、150以上の論文に名を連ね、20冊以上の本を書いている−多くの本はタイトルに「you」が入っている。
TVクイーンのOprahが彼を2004年に「アメリカの医師」と呼び彼女の番組にしばしば出演させ2009年に彼自身のテレビ番組を与えた。それはたちまち人気となり、そして最初からOzはいわゆる代替医療を賞賛した。専門用語として「代替医療」は米国や英国の医学部のカリキュラムで教えられないあらゆる種類の治療法のことである(ホメオパシーカイロプラクティック、ナチュロパシー、アーユルベーダ、信仰療法など)
私はOzの代替医療礼賛は医師としての個人的経験によるのだろうと推測する。多くの医師は教科書通りにはいかないことに気がつく。それでも賢明な論理と正しい理由が第一である。Ozが理性的代替アプローチから呪術へと一線を越えたのは不穏である。ホメオパシーやコーヒーや酢など、根拠としては疑わしい研究に頼っている。
最近Ozは議会から叱られ、大手ケーブルテレビ局HBOのJohn Oliverから詐欺と嘲笑された。しかしなぜ尊敬されるべき医師がこんなことをしたのだろう?人気が出たことで判断力が曇ったのだろうか?私はこのことについてメディアの大物Loren Feldmanと議論したが、結論は貪欲greedであった。彼が必要なときにカーテンを引いてくれるトト(ドロシーの飼い犬、カーテンを引いてオズの魔法使いの正体を暴く)はどこに?

  • BVO:炭酸飲料の化学物質に批判

BVO: Soda Chemical Under Fire
by John Swartzberg, M.D. | August 05, 2014
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food-safety/article/bvo-soda-chemical-under-fire
5月にコカコーラ社がPoweradeや Frescaを含む飲料から臭素化植物油(BVO)を取り除くと発表した。昨年PepsiCoがGatoradeからそれを排除した。BVOとは何で−難燃剤の一種−スポーツドリンクや炭酸飲料で何をしているのか疑問に思うだろう。それは安全なのか、もし安全でないならなぜFDAがそれを放置しているのか?
BVOは主に柑橘風味の飲料に使われ、風味が均一に分布し少し濁ったようにする。臭素化難燃剤の有害健康影響の可能性について精査されるようになって議論がおこってきた。
BVOの騒動の多くは1人の高校生Sarah KavanaghがPepsiCoに対して柑橘系Gatoradeからそれを排除するよう陳情し20万以上の署名を集めたことに発している。PepsiCoはBVOを除くという組成の変更決定はこの請願とは関係が無く「一部の消費者がBVOに負の認識をもっていることを承知しているため」としている。コカコーラも同様の声明を発表している。
ではBVOは安全なのだろうか?明確ではない。動物実験では極めて大量でラットの心筋障害や生殖不全などの毒性影響がある。ヒトでの研究はほとんど無いがBVOが脂肪組織に蓄積することは知られていて、1日2L以上この種の飲料を飲んだ人が頭痛や疲労感、記憶障害、混乱、筋肉の協調不全、皮膚障害などを発症したという報告はある。
FDAはBVOを1958年にGRASに分類したが、安全性に疑問が提示されてから1970年代に“暫定interim”に格下げした。これはさらなる研究が行われるまで使うことはできるが使用量は制限することを意味する。FDAはその後の研究でBVOの安全性は確認されたが、暫定のままなのは公衆衛生上の優先順位が低いという単純な理由によると言っている。しかし批判者はその研究は不適切でFDAは再評価をすべきだと主張している。もし企業が自主的に全ての飲料でBVOを使用しなくなったらFDAは評価せずにすむだろう。しかし現在はまだSquirt, Orange Crush, および Sunkist炭酸飲料など多数に使われている。
私は微量のBVO摂取が有害であるという主張は疑わしいと思っている(これら飲料によるもっと大きなリスクは砂糖やカロリーのほうである)。ただたくさんの子どもたちや大人がこれらの飲料を大量に長年飲んでいることを考えるとFDAはもっと積極的に安全性を確認すべきだったと思う。米国では多くの食品添加物が、悪いことを確認されるまで無害だとみなされる。これは我々の正義のシステムでは良い方法だがいわゆる予防原則や無害と証明されるまで有罪とみなす方法もいいかもしれない−安全を証明するのは確かに困難ではあるが。BVOは欧州では禁止されている。日本やインドなどでも認められていない。
もしBVOを避けたければ柑橘風味の飲料の成分表を確認する