食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • セリアック病患者向けの一部のコメベースの食品には相当量のヒ素が含まれる

Some rice-based foods for people with celiac disease contain relevant amounts of arsenic
16-Oct-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-10/f-sf-srf101614.php
スペインの研究者らのFood Additives & Contaminantsに発表された調査で、コメはグルテンを含まないのでセリアック病患者は食べられるが高濃度のヒ素を含むことが明らかになった。現在EUはコメ製品のヒ素の最大基準値の設定のための作業を行っている。
コメは発がん物質であるヒ素を含むが、多くの消費者はそれほど食べないので心配することはない。しかしセリアック病患者ではそうはいかない。一部のコメ製品は無機ヒ素を最大85.8 µg/kg含み、1日の摂取量が成人で0.45 〜 0.46 µg/kg、Journal of Food Scienceに発表された研究によると子どもで0.61 〜0.78µg/kgになる。EFSAが2009年に肺がん皮膚がん膀胱がんのリスクとなるとして設定した量が0.3 - 8.0 µg/kg/dayである。しかし現在これらの製品のヒ素の規制値はない。
Munera-Picazo S., Burló F., Carbonell-Barrachina A.A. "Arsenic speciation in rice-based food for adults with celiac disease". Food Additives & Contaminants A 31(8): 1358-1366, 2014.
Munera-Picazo S., Ramírez-Gandolfo A., Burló F., Carbonell-Barrachina A.A. "Inorganic and total arsenic contents in rice-based foods for children with celiac disease". Journal of Food Science 79(1): T122-128, 2014
(この濃度でダメなら日本のコメ製品ほぼ全滅。)

  • 果物対がん?イエス、ノー、多分

Fruit vs. Cancer? Yes, No, Maybe
by Berkeley Wellness | October 16, 2014
http://www.berkeleywellness.com/self-care/preventive-care/article/fruit-vs-cancer-yes-no-maybe
野菜や果物ががんの予防に役立つことを証明するのは非常に難しい−やっていないわけではない。全体として野菜や果物によるがん予防にはあまりしっかりした根拠はなく、予防効果があるという研究でもその影響は小さいということを知ったらあなたは驚くかもしれない。
がんになるには何年もかかるので食事を含む原因や寄与因子を同定するのは難しい。たとえば後ろ向き食事研究では人々は何年も前に食べたものを正確には記憶していない。さらにがんは単一の病気ではなく、食事要因への反応も異なる100以上の病態の総称である。さらに果物や野菜はその効果について全て同じではなくあるものは他のものより特定のがんに特異的に予防的かもしれない。そのため全体の摂取量を調べた観察研究では影響は見られない。その上ヒトの遺伝要因が反応性を変えるかもしれないし食べた年齢にもよるかもしれない。
すべきこと
がんの発生と進行は複雑で、食事はある種のヒトのある種のがんで影響があるかもしれない。研究結果が一致しないからといって多様な野菜や果物を食べるのを止めるべきではない。少なくとも野菜や果物をたくさん食べることは加工肉のようながんリスクを増やす可能性のある食品の割合を下げ、心血管系疾患のような他の病気予防には役立つ。

  • 偉大なる3-0

The Big 3-0
by John Swartzberg, M.D. | October 16, 2014
http://www.berkeleywellness.com/healthy-community/article/big-3-0
wellness Letterが30周年を迎えた。年に12-15号発行してきた。
1984年に発刊に携わったJoyce Lashof博士、Dale Ogar、Michael Goldmanはまだ現役で編集している。
最初の号から変わったこともあるが核心は変わっていない:健康にとって重要なのは食べるものに関心をもつこと、運動、禁煙、そしてストレス管理である。我々は健全な懐疑を含む知の力を常に信じているので、読者は健康への恐怖を煽ってモノを売りつける行商人には警戒しダイエタリーサプリメントやその他話がうますぎる製品を買うことにはよく考えるだろう。もう一つの変わらぬことは社会的支援の力への信頼と楽観主義である。
科学の進歩で変わったこともある。例えばこれまでずっと心臓に悪者いとされてきた飽和脂肪は、乳製品やチョコレートに含まれるようなものは結局のところそんなに悪くない。そしてかつてはビタミンCやEやベータカロテンを薦めたことがあったがもはやそれは薦めない。
今後も支持をお願いする。
(健全な懐疑心と楽観主義はとても大事。)

  • ハゲワシの中毒は欧州の鳥類の危機の前触れかもしれない

Natureニュース
Poisoned vulture could herald European bird crisis
Daniel Cressey 16 October 2014
http://www.nature.com/news/poisoned-vulture-could-herald-european-bird-crisis-1.16161
インドでは牛に使われる薬物に関連する死亡がハゲワシ集団に壊滅的被害を与えた
インドでは牛に広く使用されている抗炎症薬によりハゲワシが減ったと言われているが今や欧州のハゲワシも同様の問題に直面していることが初めて報告された。
インドのハゲワシは1990年以降激減していてインドハゲワシ(Gyps indicus)は95%以上減り絶滅危惧であると考えられている。科学者たちはこれが動物の治療に使われているジクロフェナックのせいであるとしている。先週Conservation Biologyに、2012年にスペインで死んだシロエリハゲワシ(Gyps fulvus)がジクロフェナック中毒の兆候である重症内臓痛風を患っていたことが報告された。アジア以外では最初の例である。
現在EMAがジクロフェナックのハゲワシへの悪影響を検討していて11月には判断するだろう。欧州ではジクロフェナックの家畜への使用はスペインで昨年認可されたのみである

  • 中国の汚職捜査で科学者が捕まった

Scientists caught in Chinese anti-corruption sweep
Jane Qiu 16 October 2014
http://www.nature.com/news/scientists-caught-in-chinese-anti-corruption-sweep-1.16152
科学の「メガプロジェクト」の研究資金の使い込み容疑
5大学の7人の科学者が410万ドル相当の政府の研究資金を使い込んだと科学技術省が発表した。プロジェクトは遺伝子組換え技術、太湖の水質改善、医薬品開発、感染症予防、電子機器開発である。
この不正の規模の大きさのわりに科学者はあまり驚いていないように見える。多くの科学者が研究費を「柔軟に」使っているからだ。昨年10月の会計検査院の報告書では全ての研究費の最大半分が不適切使用である