食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

残留農薬モニタリング:2014年第二四半期

Pesticide Residues Monitoring: Second Quarter 2014 Results
Report published 8 December 2014
http://www.pesticides.gov.uk/guidance/industries/pesticides/advisory-groups/PRiF/Latest+results+and+reports/2014_Results_and_Reports
http://www.pesticides.gov.uk/Resources/CRD/PRiF/Documents/Results%20and%20Reports/2014/Q2%202014%20FINAL.pdf
30食品984検体を調査し、MRL超過は26検体だった。スクリーニングリスク評価と詳細リスク評価を行い、ほとんどの場合で健康への影響はありそうになかったがブドウ1検体で短期影響の可能性が同定された。
現在の問題として塩化ベンザルコニウム(BAC)と塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)について、2015年8月12日までは0.5 mg/kgが執行レベルであるが0.1 mg/kgを超えたものの監視は行っている。
MRL超過は鞘付き豆のモノクロトホス0.02 mg/kg、ジメトエート0.03 mg/kg、ラムダシハロトリン 0.6mg/kg、メソミル0.02 mg/kg、エジプト産ブドウのエテホン0.9 mg/kg(RASFF通知)、スペイン産レモンのジコホール0.3 mg/kg、メキシコ産ライムのジメトエート0.08 mg/kg、ブラジル産ライムのクロルフェナピル0.04 mg/kg、英国産キノコの2-フェニルフェノール0.1 mg/kg、ヨルダン産オクラのルフェヌロン0.3 mg/kg、ニカラグア産オクラのカルバリル0.3mg/kg、ヨルダン産オクラのフルフェノクスロン0.1 mg/kg、チリ産mung beansのハロキシホップ0.7 mg/kg、ガーナ産tindaのクロルピリホス0.07 mg/kg、など

個別の評価事例
・アボカドのプロクロラズ1.9 mg/kg
皮を剥いた場合8%しか残らないのでARfDの超過はない。皮ごと食べると乳幼児、4-6才、15-18才、成人、ベジタリアン、自宅にいる高齢者でARfDを超過する。最も摂取量が多いのは乳児。もし乳児がプロクロラズ1.9 mg/kgを含むアボカドを皮付きでたくさん食べたとするとARfDの229%になる。これは90日のイヌ試験、ラットの多世代試験、14日のイヌ試験で有害影響が見られない用量(NOAEL)の44分の1である。従って健康への影響はおこりそうにないと考えた。EUではアボカドの皮は食べられないものに分類している。
・ブドウのエテホン
0.9 mg/kgのエテホンを含むブドウを用事が大量に食べるとARfDの110%になる。これはイヌの28日試験でのNOAELの109分の1である。通常ARfDの設定には安全係数100を用いるがこの場合ヒトでの試験を考慮して120を用いていた。それが少し減ったもののまだ十分余裕がある。
・レモンのプロクロラズ
4.2mg/kgについて。レモンは皮を剥くと5%しか残らないのでARfDの超過はない。皮ごと食べる場合、乳児が大量に食べるとARfDの324%になる。これはNOAELの31分の1であり望ましくない。大量(97.5パーセンタイル)に食べる一部のヒトで消化管症状(垂涎、便の軟化、嘔吐)が見られる可能性があるが症状は軽く短気で可逆性であろう。EUではレモンの皮は食べられないものに分類している。
・オレンジのイマザリル
3mg/kg。皮を剥くと5%しか残らないのでARfDの超過はない。皮ごと食べる場合、超過する集団がある。皮付き丸ごとオレンジを11-14才が大量に食べるとARfDの218%になる。これはウサギの胎児毒性(胎児の吸収の増加)のNOAELの46分の1である。これは十分だと考えた。
など