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RNAi報告:次世代のGMOsへのEFSAの準備

RNAi report: preparing EFSA for the next generation of GMOs
4 December 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/141204.htm
EFSAは、RNA干渉(RNAi)に基づく遺伝子組換え(GM)植物に関する潜在的リスクについて話し合い、そのリスク評価特有の問題を確認するために2014年6月に国際科学セミナーを計画した。セミナーの期間中、RNAiのメカニズムの基礎となる分子生物学、RNAiに基づくGM植物の現在と将来の応用、リスク評価の側面が詳細に議論された。発表と議論の要約を含むこのイベントの報告を、EFSAのホームページに公表した。
このセミナーには、学会・リスク評価団体・非政府組織・民間団体からの100人以上の科学者及びリスク評価の専門家が集まった。2日間にわたり、四大陸からの専門家が体験を共有し、植物・哺乳類・無脊椎動物のRNAiに関する最新の科学について討論し、現在と将来のRNAiの応用を調査し、技術開発を考慮してリスク評価を行った。
リボ核酸(RNA)は、生命の主要成分であるタンパク質を作る細胞の部分に遺伝子情報を運ぶことで体のメッセンジャーとして作用する。RNAiとは、動物と植物のこの活動を防いだりじゃましたりする自然のプロセスである。1990年代後半に科学者は遺伝子情報の流れをコントロールするためにこのメカニズムを利用する方法を発見した。
EFSAのGMO作業班の長であるElisabeth Waigmann氏は、この困難だがやりがいのある課題に関する国際セミナーのような科学コミュニティの重要性を強調する。
EW:EFSAはこの技術がGMOリスク評価の現在のアプローチに影響を与えるかどうか評価するための先を見越した対応としてこのイベントを開催した。議論の期間中、参加者はこの技術に関連する問題やEFSAが関心を寄せるリスク評価への影響を取り上げたりした。参加者の積極的な貢献に感謝している。
セミナーに参加したEFSAの科学者のチームはGMOパネルのメンバーでもある。Patrick du Jardin教授とDr Salvatore Arpaia氏はリスク評価の科学的分野に関する議論を指導している。彼らはRNAi技術の重要性について意見を述べ国際セミナーの重要性を評価した。
Q:RNAiの開発はなぜ重要なのか?
SA:RNAiは次世代の遺伝子組換え植物の病虫害抵抗性を達成するために一般に使用される可能性のある重要な生物学的メカニズムである。
PdJ:これまでは、GM技術によって植物に新しい特徴を与えることは、主に、いわゆる導入遺伝子にコードされた新しいたんぱく質を発現することであった。健康と環境へのリスクについての多くの疑問は新しく発現されるタンパク質についてのもので、この現在のリスク評価の枠組みはRNAiのような他の遺伝子組換えアプローチには適切ではないかもしれない。このアプローチでは、タンパク質ではなく小さなRNAsが植物の染色体に導入されるDNAの一部から作られ、それが植物や植物を食べる有害生物の標的遺伝子の発現を抑える。
Q:RNAiに関連したリスク評価の課題は何?
PdJ:RNAiはリスク評価に新しい質問をもたらした。たとえば、これらの小さなRNAsがいかに正確に導入されたDNA断片から作り出されるか、それらはどのように植物に出入りするか、植物や環境の様々なところでそれらがどれだけ安定か。
SA:RNAi技術の作用機序はリスク評価者と管理者双方に難問を出すだろう。
Q:このワークショップでの主な成果は何?このワークショップは、この分野の最良の科学的知見と現在行われているGMOリスク評価の間のギャップの橋渡しとしてかつてない機会を提供した。
SA:このワークショップは世界中の専門家、規制機関、企業から、これらGM植物のリスク評価をどう考えているか意見を聞く比類のないタイムリーな機会だった。このイベントは、素晴らしいスピーカーと参加者全ての積極的な貢献に感謝する偉大な業績だったと思っている。
Dr Waigmann氏はこのイベントの成功と今後への影響に寄与した全参加者からの実りの多い議論と貴重な見識を熟考した。
EW:このセミナーは、次世代のGMOの開発につながる可能性のある新しい技術へのEFSAのリスク評価アプローチに役立つだろう。
・国際科学セミナー:RNAiに基づくGM植物のリスク評価考察
http://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/705e.htm