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原因不明の神経疾患アウトブレイク Muzaffarpur、インド, 2013–2014

Outbreaks of Unexplained Neurologic Illness — Muzaffarpur, India, 2013–2014
MMWR
January 30, 2015 / 64(03);49-53
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6403a1.htm?s_cid=mm6403a1_w
1995年以降インドのBihar州のMuzaffarpur地方で、死亡率の高い、小さい子どもの原因不明の急性神経疾患アウトブレイクが報告されている。一般的に6月がピークでモンスーンの雨が降り始めると減る。この症候群に関する多くの研究があり、感染性の脳炎や農薬暴露など様々な仮説が提示されてきた。この病気とライチ(果物)の関連も提案されている。インド国立疾病コントロールセンター(NCDC)とCDCが協力して2013年と2014年のアウトブレイクを調査した。2013年の臨床及び検査の知見から毒素による非炎症性の脳炎が疑われた。入院時の血糖が低い(<70 mg/dL)ことがアウトカムの悪さと関連する(死亡事例の44%)。2014年の調査では感染症の兆候はなく毒素が原因であることを支持する。原因物質は特定されていないがアウトブレイク期間はライチの収穫時と重なる。この病気は低血糖性脳症で、ライチの種に含まれるメチレンシクロプロピルグリシン(MCPG)は動物で低血糖性脳症を誘発することがわかっている。
2013年の調査は症例の定義にあてはまる133人について、2014年は390人について調査。
同様のアウトブレイクはライチを栽培しているバングラデシュベトナムでも報告されている。バングラデシュでの調査ではライチ畑で使用されている農薬を疑ったが特定の農薬との関係は見つからなかった。ベトナムでは感染症を疑って調査されたが説明できるものはなかった。MuzaffarpurではヒポグリシンAと類似の作用をすると考えられるMCPGを疑っていて現在CDCが調査を行っている。
(ライチって種は食べないような。しかしライチ種子エキスって化粧品に使われているんだ。この業界はホントよくわからない。)