食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

原因不明の神経疾患アウトブレイク— Muzaffarpur, インド, 2013–2014

Outbreaks of Unexplained Neurologic Illness — Muzaffarpur, India, 2013–2014
MMWR January 30, 2015 / 64(03);49-53
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6403a1.htm?s_cid=mm6403a1_w
1995年以降インドのBihar州Muzaffarpur地方で死亡率の高い小さい子どもの急性神経疾患アウトブレイクが報告されている。2013年と2013年のアウトブレイクをCDCがインドと協力して調査した。
2014年にはMuzaffarpurの二つの参照病院に症例の定義にあう合計390人が入院した。55%が男の子、年齢の中央値は4才(範囲6ヶ月から14才)、72%は1-5才。70%がMuzaffarpur地方であるが周辺6地方からも患者が来た。アウトブレイクのピークは6月半ばで6月21日にモンスーンの雨が降って減った。保護者によると患者はそれまでは元気で、午後4時から8時の間に急に痙攣、意識低下をおこす。死亡率は31%。
52人の患者の詳細臨床評価では、入院12時間以内に全身性強直あるいは強直間代性発作が100%。患者の1/3に上位運動ニューロンの全身性筋緊張亢進とBabinksi兆候がみられた。局所神経障害は希である。脳のMRIでは異常所見や炎症の兆候はない。16人中8人に軽度脳浮腫が見られた。30人の脳波の検査では73%が一般的な脳障害の知見に一致する。7人はてんかん様の脳波がみられた。脳脊髄液の検査では84%は白血球数正常、94%はタンパク質正常、79%はグルコース正常だった。入院時に血糖値を測定した327人の中央値は48 mg/dLで≤50 mg/dLが52%、≤70 mg/dLが62%だった。日本脳炎や西ナイルウイルスのPCR検査は陰性。11のウイルスを検出できるマルチプレックスPCRも陰性。
2013年の知見で低血糖に注意するよう助言したことが死亡率の低下につながっている(2013年44%、2014年31%)。
原因はまだ不明であるがライチのMCPGを含め何らかの毒素の関与が疑われる
(しかし100人単位でこどもが死亡するって・・)