食品安全情報blog過去記事

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食品と飲料水中のニッケルの存在に関する公衆衛生リスクについての科学的意見

Scientific Opinion on the risks to public health related to the presence of nickel in food and drinking water
EFSA Journal 2015;13(2):4002 [202 pp.]. 12 February 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4002.htm
EFSAはギリシャ食品局(EFET)から、食品中、特に野菜のニッケルの存在によるヒトの健康リスクに関する科学的意見の依頼を受けた。フードチェーンにおける汚染物質に関するEFSAのパネル(CONTAMパネル)はリスク評価を飲料水にも拡大することを決めた。実験動物の生殖発達毒性がニッケルの慢性影響評価の重要影響として選ばれた。ラットの着床後の胎児死亡リスクが10 %増加するベンチマーク用量の95%信頼下限 (BMDL10) 0.28 mg/kg b.wから耐容一日摂取量2.8 µg Ni/kgb.w.が導出された。全ての異なる年齢集団の平均及び95パーセンタイルの慢性暴露量を考慮すると現在のニッケルの食事暴露には懸念がある。ニッケルの急性影響評価の指標としては、ニッケルの経口暴露後にニッケルに感受性の高い人に誘発される全身性接触皮膚炎(SCD)が選ばれた。ヒトボランティアでのニッケルの経口暴露後のSCD発生率から最も低いBMDL10 1.1 µg Ni/kg b.w.が導出された。CONTAMパネルは暴露マージン(MOE)アプローチを用いてMOE10以上は懸念が低いと考えた。平均及び95パーセンタイル推定暴露量から計算されたMOEは全ての年齢集団にとって10より相当低い。全体的にCONTAMパネルは、現状のニッケルの急性食事暴露では、ニッケルに感作された人には湿疹性皮膚反応がおこる懸念があると結論した。CONTAMパネルは実験動物で観察された生殖発達影響のヒトでの妥当性を評価するためのメカニズム研究や、たとえば陰膳研究と組み合わせた、ヒトの食品からのニッケルの吸収に関する追加研究の必要があると注記した。