食品安全情報blog過去記事

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医療機器へのビスフェノールA使用の安全性に関するSCENIHRの最終意見

SCENIHR Final Opinion on The safety of the use of bisphenol A in medical devices
27-02-2015
http://ec.europa.eu/dgs/health_food-safety/dyna/enews/enews.cfm?al_id=1580
本日SCENIHRが「医療機器へのビスフェノールA使用の安全性」についての採集意見を発表した。近年、医療機器による乳児や妊婦、授乳中の女性などの感受性の高い集団へのビスフェノールA暴露についての懸念が提示されていた。そのような医療機器にはインプラントカテーテル、歯科用機器などが含まれる。
この意見はこれらの装置へのビスフェノールAの使用が安全上の懸念となるかどうか、医療機器からのBPA放出規制値が必要かどうか、特にリスクの高い集団(例えば乳児や妊娠・授乳中の女性)があるかどうかを評価することを目的とした。
最終意見案を作るときにEFSAが設定した経口の暫定TDI(t-TDI)である4 µg/kg b.w./dayを医療機器におけるBPA使用のリスク評価の根拠とした。いくつかの暴露シナリオを、使用する材料や溶出に関する情報、一回の使用期間や治療頻度、該当する短期や長期暴露の毒性影響などを考慮して評価した。しかしながら入手できる情報は限られ、多くの場合で実験データが無く推定値のみを用いた。
経口での暴露については、歯科材料由来の長期BPA暴露については最近導出されたt-TDIよりはるかに低く、ヒト健康への影響は無視できると結論できた。
経口ではなく直接全身にBPAが暴露されると、特に新生児集中治療室での新生児や長期に治療中の乳児、透析患者などでは、有害影響についての幾分かのリスクはあるかもしれない。それでも医療機器のベネフィットも考慮すべきである。例えば新生児の生存可能性は比較的高濃度のBPA暴露の原因となる医療機器が使用できるかどうかにかかっている。これらの装置のBPAを代替するかどうかは、代用品の毒性学的性質同様、治療の有効性についても考慮すべきである。
しかしながら現在のリスク評価を精細化するのにより良い暴露評価があることは役にたつだろうし、医療機器からの暴露に関する新しいデータが入手されれば再評価されるだろう。

簡単な言葉での説明も発表
Bisphenol A in medical devices
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/docs/citizens_bpa_en.pdf
経口の場合より直接体内に入る方が暴露は多くなるがそれでも代謝は早く蓄積することはない