食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • ミツバチと作物の授粉についての新しい研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to new study on bees and crop pollination
June 16, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-study-on-bees-and-crop-pollination/
St Andrews大学生物学Pat Willmer教授
これは重要で極めて注意深く行われた、授粉媒介者についての関係する最良の科学者が参加して、多くの地域の多くの作物を調べた試験で、信頼できるデータ豊富なメッセージを与える。重要なポイントは、既に一度に一種類の作物で調べた研究が示してきたように、野生のハチ、主に孤立性のハチが作物の授粉には重要な役割を果たしていることである。しかし重要なことは最もよく見られる野生のハチが最も重要だということで、これは比較的簡単な保護対策で作物に最大の利益を支援することができるというwin-winな状態である。例えば作物の廻りに草地を広くとって野生の花を植えること、集約的でないあるいはより有機的な農法で、作物にとって重要なハチを増やすことができる。
この研究は生物多様性自体はそれほど重要ではないことも示した。最も重要なのは普通の種であるから。長期的にはハチの多様性維持は良いことであろうが、それにはより複雑で費用のかかる対策が必要である。しかし農家にとって単純で安価な方法が作物の生産性のために必要な授粉を支えることができるという知識は役にたつ。
ケンブリッジ大学生物多様性と生態系サービス研究フェローLynn Dicks博士
David KleijnらがNature Communicationsに発表した素晴らしい論文には真に重要な3つの知見がある。
野生の昆虫の価値が管理されたミツバチと大雑把に同じであることを示した。25の野生のハチの種が昆虫を授粉に必要とする作物の生産に平均で100ドル/ha以上の貢献をしている。ほとんどの授粉は少数の非常に良くいる種によって行われている−あなたが庭や花の咲いているところでみかけるのと同じハチ。このことは作物の授粉に授粉媒介者の多様性が必要だという主張は間違っていることを意味する。約80%の作物の授粉は全てのハチのうちたった2%の種で行われている。
一部の野生のハチは極めて特異的な習慣をもち、特定の花の蜜しか集めない。そのような特化した種が減少傾向であり、保全のためにはそれぞれの種毎に特別な対応が必要になる。
この論文は授粉媒介者保存は比較的簡単であることを示した。花を植える、集約的農業を行っている場所には所々草地を設けることでよくいる授粉媒介種を3倍以上にできる。
このような対応は必ずしも絶滅危惧種を守るものではないが、時々は守る

Sense about science
Scientist responds to "Nuclear power station cancer warning" headline –
12 June 2015
http://www.senseaboutscience.org/for_the_record.php/194/scientist-responds-to-quotnuclear-power-station-cancer-warningquot-headline
Daily TelegraphとMail Onlineの2015年6月10日の記事が「原子力発電所の風下に住んでいる女性は乳がんになるリスクが5倍」と主張した。実際にはその報道のもとになった研究はBeallの「学術を偽装している可能性の高いオープンアクセス出版社」リストに掲載されている雑誌に発表されたもので、何故がんになったかについては何も言えない
ブリストル大学疫学公衆衛生研究上級講師Frank de Vocht博士
現在原子力発電所の近くに住んでいる人にがんになったことがあるかと聞いてそれを予想されるものと比較している。これは間違いの多い方法で、地域の住人は転居するしがんになるには20-30年かかる。従って発電所からの放射線暴露のある人達の代表にはならない。重要なのは報告されている乳がんリスクはたった5例を根拠にしている。たった5例での疫学研究は通常信頼できない。さらに5人中3人あるいは4人は喫煙者で、喫煙は乳がんのリスク要因である。このような研究からがんリスクについて何かを言うことはできない。
(Busby Cときた)
(長すぎて切れたのでここまで)