食品安全情報blog過去記事

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その他

  • あなたは実際どのくらい年寄り?専門家の反応

SMC NZ
How old are you really? Expert reaction
July 7th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/07/07/how-old-are-you-really-expert-reaction/
ヒトの加齢には単に時間が経った以上のものがある
PNASに発表された新しい研究は長期Dunedin 縦断研究の個人の「生物学的年齢」を決めるために多数の異なる測定をしている。参加者は全員が38才であるが生物学的年齢は30以下から60才近くまで大きく違う。著者らは1972年から73年にDunedinで産まれた約1000人のコレステロールや血球や腎機能などの18の異なる一連のバイオマーカーを用いた。加齢の早いヒトは身体的に可能なことが少なく認知機能低下と脳の加齢の兆候がみられ健康状態が悪く老けて見える。
SMCは以下のコメントを集めた。
オークランド大学老年学教授Matthew Parsons教授
ニュージーランドで最も長い縦断研究であるDunedin研究は、今や加齢の影響を研究し始められる年齢になった。この重要な研究は我々の加齢に関する考えを形成するだろう。
オタゴ大学医学部生化学Peter Dearden准教授
この論文は比較的若い38才でも加齢の兆候に差があることを示した。このことは加齢は人生の最後ではなく成人の生涯全般でおこり、人によって速度が違うことを示す。この研究は加齢についての研究を相当変えるだろう。

  • ほどほどの飲酒は喉、口のがんリスクを「2倍にする」:がん評議会

Moderate alcohol consumption 'doubles' risk of throat, mouth cancers: Cancer Council
http://www.abc.net.au/news/2015-07-06/moderate-alcohol-consumption-doubles-risk-of-cancer/6597668
がん評議会とメルボルン大学の研究者らが1990年代初期から41000人の成人の飲酒習慣を追跡した。1日4単位以上の生涯平均摂取量は全く飲まない人に比べて口と喉のがんのリスクを2倍にする。
ビクトリア州がん評議会はオーストラリア人に対して、がんリスクを減らしたければ最大2杯までにするよう警告する。

Gluten-free benefits 'overhyped'
July 7, 2015
http://www.9news.com.au/health/2015/07/07/12/49/gluten-free-benefits-overhyped
グルテンフリーだからというだけで健康的を意味しない
オーストラリアの新しい研究で、3200以上のスーパーマーケットの製品を調べ、標準品と栄養を比べたところ差は全くあるいはほとんど無かった。
「近年グルテンフリーが流行していて人々はより健康的な食品を求めて流行にのっているが、有意に値段が高くトレンディであるが全体的栄養は差がない」と著者のシドニー大学Jason Wu博士は言う。British Journal of Nutritionに発表。
栄養士のDr Rosemary Stantonも同意する。「多くの人がグルテンフリーをいいものであるに違いないと考えているが、グルテンフリージャンクフードはジャンクフードのままである。」「食品業界雑紙がグルテンフリーをビジネスチャンスとして宣伝しているのは興味深い」
もともとグルテンが含まれない食品で、グルテンフリー食品のおしゃれなラベルはマーケティング戦略として使われている可能性がある。

  • 専門家に聞こう 痛む身体にエプソム塩?

Ask the Experts
Epsom Salt for Your Sore Body?
by Berkeley Wellness | July 02, 2015
http://www.berkeleywellness.com/self-care/over-counter-products/article/epsom-salt-your-sore-body
Q: エプソム塩を入れた水につけると筋肉痛や関節炎が和らぐ?
A: エプソム塩に効果があるという根拠はない。この塩は17世紀にイングランドのエプソムで発見されたもので、技術的には水和硫酸マグネシウムで、伝統的にはミネラルウォーターが蒸発するとできる。民間薬として特に炎症用に使われてきた。しかし関節炎症状を和らげるのはエプソム塩ではなくてお湯である。
スパはしばしば健康のために各種ミネラル水に浸かることを宣伝するが、皮膚からのミネラルの吸収は限定的で、それがあるとしても治癒効果も限定的であろう。

  • 勇敢なる麻薬(勇敢なる希望audacity of hopeのもじり)

STATS
The Audacity of Dope
by Rebecca Goldin | Jul 6, 2015
http://www.stats.org/the-audacity-of-dope/
Quartzの見出しは「あなたが医療用の食べられる大麻を買うなら、多分騙される」。「コンビニ薬局の製品は一般的に表示してある量を信頼できるが、大麻薬局には同じような信頼性はない」とWashington Postがいう。Gizmodoは「単なる騙しというより正確さに欠けるという問題」と報道する。これらのニュースはJAMAに発表された米国西海岸の3つの都市で販売されていた食用大麻THC濃度を調べた研究による。THC含量について、著者らは実験室で確認した値と比べて正確に表示してあったのはたった17%で、23%は表示より少なく60%は表示より多いことを発見した。47ブランド75製品を調べ、LAは表示より多くTHCの入っている商品が多くシアトルでは少ないものが多い。正確な表示のカットオフ値は10%で、実験室の値の10%より外れていたら「不正確」とこの研究ではみなしている。
しかし実験室での測定値は信頼できるのだろうか?問題は、多くのジャーナリストが正確さaccuracyと精度precisionの重要な違いを誤解しているように見えることである。そしてもとになった実験室での測定の難しさに注意することなく、ニュースメディアでは実験室での測定値が真の値であるかのように扱っているが実際にはそれは極めて不確実である。
科学の世界では、正確さとは個々の測定結果がどれだけ一般的に真と考えられる値に近いか、をいう。JAMAの研究の一つの目的は表示が正確かどうかを調べることである。もし製品の本当のTHC濃度が的なら、著者らはラベルが的を射ているかどうかを知りたかった。著者が持っている最も良い値は実際のTHC濃度であるべきだが、実際には実験室での検査結果である。著者らは検査結果が真の値の代わりになるとみなした。しかしTHC濃度の真の値は必ずしも実験室での測定結果とは限らない。むしろ、実験室の値が真の値ではないという強い根拠がある。
測定結果が正確さに欠けるという一つの兆候は精度の低さである。精度は正確さとは違って、実験室での測定結果がそれぞれどれだけ近いか、である。研究では各75製品のTHC濃度を二回測定している。半分弱の37製品で、二回の測定値が10%以内になっていない。つまり、二つの測定結果はこの研究のラベルの正確さの基準を満たしていない。
もちろん実験室での測定結果が極めて正確で製品のばらつきをみている可能性はある。つまりビスケットの中に大麻が均等に混ぜられていない。しかし研究でこの不一致が説明されていないのでそれを知る方法はない。このケースでは科学者は買った製品を単純に全部ホモジナイズして再検査していてその結果を真の値として用いている。
絵で描くとこんな感じ(図)
精度の低い検査結果の正確さが高いことはあるか?平均値の正確さが高いが精度が低いこともある。
私達は実験室の結果を信頼したいが、その不正確さは明確な警告である。どうして我々は表示より実験室の結果を信じるべきなのか?もし食品に異なる大麻の部位が使用されていて個別の商品の量が違うなら、研究デザインはどうだろうか?もちろんこの研究が食用大麻の表示に疑問を投じたことは間違いがない。しかし彼らの測定方法にも疑問がある。

  • 遺伝学者が何が偉大なコメを作るのかを明らかにする

Natureニュース
Geneticists reveal what makes great rice
Emma Marris 06 July 2015
http://www.nature.com/news/geneticists-reveal-what-makes-great-rice-1.17918
今や既存の品種に収量を犠牲にすることなく長粒と好ましいテクスチャーを交配することができる。
中国の二つの独立したチームが粒の形とテクスチャーの両方をコントロールする遺伝子を同定し、収量を減らすことなく選択することが可能。
これらの研究には関与していないニューヨークのコーネル大学のコメ遺伝学者Susan McCouchは「この意味は大きい」という。
東南アジアではカロリー摂取量の最大76%がコメ由来で、購入者はコメ選びにうるさい。濁ったスポットがあるのは美味しくない印で、多くの人にとっては最良のコメは長くて細いものである。一つの研究の著者である中国科学アカデミーの遺伝学者Xiangdong Fuは「形は品質と関連する」という。
消費者は品質にお金を払うため一部の国では収量を犠牲にしてきた。インドで好まれるバスマティ米の質の高さに関連する遺伝子は収量を14%減らす。しかし中国の農家はしばしば質が低くても収量の多いものを受け容れる。Nature Geneticsに7月6日発表された二つの論文は長粒で細い形に関連する遺伝子を同定し、収量を犠牲にせずにコメに交配することが可能である。