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食品中のアクリルアミドに関するFAQ

FAQs on acrylamide in food
http://www.efsa.europa.eu/en/faqs/acrylamideinfood
Last Updated: 13 October 2014
(ちょっと前の。)
アクリルアミドは揚げる、焼く、オーブンで焼く、生産加工、120°Cで低水分の場合も含む高温調理中にでんぷん質の食品に自然に形成される化学物質である。この原因となる主な化学的工程はメイラード反応として知られている:食品を褐色にして味に影響するのと同じ反応である。アクリルアミドは多くの食品に天然に存在する糖類とアミノ酸(主にアスパラギンと呼ばれるもの)から形成される。アクリルアミドはポテトチップス、ポテトフライ、パン、ビスケット、コーヒーなどの製品に見られる。2002年4月に食品に初めて検出され、調理が開始されて以降食品に存在し続けてきたようだ。アクリルアミドは多くの食品以外の企業にも使用され、タバコの煙にも含まれる。
1. アクリルアミドとは?
アクリルアミドは毎日の高温調理中にでんぷん質の食品に自然に形成される化学物質である。調理が開始されて以降アクリルアミドは食品に存在しているようだ。それは主に多くの食品に天然に存在する糖類とアミノ酸(主にアスパラギンと呼ばれるもの)から形成される。この原因となる化学反応はメイラード反応として知られている。食品を褐色にして味に影響するのと同じ化学反応である。アクリルアミドは食品以外に工業用にも広い産業用途があり、タバコの煙にも含まれている。
2. 「高温調理」とはどういう意味?
概してこれは、揚げる、焼く、オーブンで焼く、工業的加工も含む、低水分で120°C以上の温度で調理することを意味する。ケータリングや食品製造を含む商業的な食品調理にあてはまる一方、EFSAの意見では、ヒトが食事を通して暴露するアクリルアミドの量に家庭での調理方法の選択がかなり影響する可能性があるとはっきり述べている。
3. どの食品がアクリルアミドを含む?
フライドポテト製品(ポテトフライ、コロッケ、オーブンで焼いたジャガイモを含む)、コーヒー/ コーヒー代用品は成人の食事からとるアクリルアミドの最も重要な原因で、ソフトブレッド、ビスケット、クラッカー、クリスプブレッドが続く。
多くの子供にとってフライドポテト製品は、ソフトブレッド、朝食用シリアル、ビスケット、クラッカー、クリスプブレッドを含むその他全てのアクリルアミド暴露の最大半分を占める。
ビーフード(主にラスクとビスケット)は乳幼児の最も重要な暴露源である。
ポテトチップやスナックなどの他の食品は比較的多量のアクリルアミドを含むが、食事暴露の全体的な寄与はかなり限定されている(通常の/ 多様な食事に基づく)。
4. 消費者が食品中のアクリルアミドでがんになるリスクはある?
現在、ヒトでの研究はがんリスク増加の証拠は限定的で矛盾している。だが、実験動物での研究は食事からのアクリルアミドの暴露は様々な臓器に遺伝子突然変異や腫瘍を発現させることを示してきた。
これらの動物研究に基づき、EFSAの専門家は食品中のアクリルアミドは全ての年代の消費者にがんになるリスクが増す可能性があるという以前の評価に同意した。これは全ての消費者に当てはまるが、体重あたりでは子供が最も暴露される年齢集団である。
5. 体内でアクリルアミドに何が起こるのか?
経口摂取したアクリルアミドは消化管から吸収され、全ての組織に分配され広く代謝される。グリシドアミドはこの工程からできる主な代謝物の一つで、おそらく遺伝子変異と動物実験で見つかる腫瘍の原因である。
6. がん以外の健康リスクはある?
EFSAの専門家は神経系、出生前と出生後の発育、男性の生殖についてアクリルアミドの有害影響の可能性を考慮している。現在の食事からの暴露量に基づき、これらの影響は懸念があるとはみなされなかった。
7. 食品中のアクリルアミド量を減らす方法は?
リスク評価の中心ではないが、EFSAの2015年の科学的意見は、成分の選択・保管方法・調理される食品の温度が、様々な種類の食品のアクリルアミド量にどのように影響するか、従って食事からの暴露量はどのくらいかを要約するデータと文献の概要を含んでいる。
以下がこのレビューの概要であるが、EFSAはこれらの結果の妥当性を評価していないことを注記する。(注意、 µg または mg/kg =マイクログラムまたはミリグラム/ キログラム)
成分の選択:
・チコリから作られるコーヒー代用品は、穀物をベースとしたコーヒー代用品(0.5mg/kg)よりも一般的に平均して6倍多くアクリルアミドが含まれる(3mg/kg)。
・ジャガイモ生地から作られる揚げ物(クリスプとスナックを含む)は、一般的に生鮮ジャガイモから作られるもの(392µg/kg)より含まれるアクリルアミドは20%少ない(338µg/kg)。
・硫黄の少ない土壌で育てられたジャガイモは通常アスパラギンの蓄積は少なく、加熱中のアクリルアミド形成は少ない。
保存方法
・8°C以下でのジャガイモの保存は一般的にジャガイモの糖度を増し、その後の調理でアクリルアミドの量が多くなる可能性がある。
・水やクエン酸溶液にスライスしたジャガイモを浸すとクリスプのアクリルアミド量をそれぞれ最大40% と75%減らすことができる。
加工(温度と持続時間)
・軽くローストしたコーヒーは一般的にミディアムやダークロースト(より長くローストされている)よりアクリルアミドを多く含み、平均14%暴露を増す可能性がある。
・企業や消費者団体によるテストでは、温風フライヤー は一般的に従来型の深い油のフライヤーより30-40%アクリルアミドを多く生産すると示している。
・ポテトフライでは、一般的に調理時間より温度がアクリルアミド量を増やす;175°C以上の揚げ物は非常に量を増やす可能性がある。
家庭調理
・クリスピーと茶色のポテトフライ、他のフライドポテト製品を好む消費者は平均して64%(多量摂取者では80%)食事からの暴露が増す恐れがある。
・3分間の代わりに5分間トーストしたパンは、パンの種類やトースターの温度によるが、31µg/kg から最大118µg/kgまでアクリルアミドの含有量を増すことがある。だが、よくトーストしたパンを食べても、全食事暴露を平均して2.4%増すだけである。
8. 食品中のアクリルアミドのリスクを減らすために消費者は何ができるか?
何よりもまず、国家食品安全機関が国の食習慣や料理の伝統に食の安全性の助言を合わせるので、消費者は彼らが提供する最新の助言を待つべきである。
一般的に食事からアクリルアミドを完全に除外することは事実上不可能なので、消費者への公的助言の多くは家庭の調理習慣の選択を広げ、食事に多様性を持たせることを目的としている。
アクリルアミドの量は直接食品の着色に関連するため、ある国々では次のように消費者に助言している「焦がしてはいけない、軽くきつね色に」。たとえば揚げたりオーブンで焼いたりするほかに、茹でる、撫す、ソテーするといった様々な調理を実践し、より良いバランスを探すことが全体的な消費者暴露を減らすのにも役立つ。
バランスの良い食事は一般的に潜在的な食品リスクへの暴露リスクを減らす。たとえば肉、魚、野菜、果物とアクリルアミドを多く含む可能性のあるでんぷん質の多い食べ物などの広く多様な食品で食事のバランスを保つことは消費者のアクリルアミド摂取を減らすのに役立つ。
9. 食品業界は役に立つ?
ある欧州食品企業組織(EFSAの関係者協議会の一員であるFoodDrinkEurope)は、国家当局と欧州委員会との親密な協力で、製造食品のアクリルアミド濃度を減らす方法として「ツールボックス」を開発した。ツールボックスの短い抜粋は分野ごとの小冊子形式で展開している。これらの小冊子はその分野に関連する「ツールボックス」の項目を実行する食品事業者に役立つようにデザインされている。これらの小冊子は欧州24ヶ国の言語で入手可能である。
・アクリルアミドについての情報―欧州委員会
http://ec.europa.eu/food/food/chemicalsafety/contaminants/acrylamide_en.htm
10. 公的機関はリスクを減らすために何かしている?
欧州及び国の意思決定者は食品中のアクリルアミドの消費者暴露をさらに減らすために他のあらゆる可能な手段を検討し、最終化されたEFSAの科学的助言を使用する予定である。たとえば追加助言や食習慣や家庭調理に関する消費者への具体的なキャンペーン、企業の食品生産の管理などが含まれる:だが、EFSAはそのような方法を決定する直接の役割を持たない。
現在、EU加盟国は食品中のアクリルアミド量を監視しEFSAにデータを提出している。欧州委員会は食品中のアクリルアミド量が規準として委員会が設定したいわゆる「指針値」を超えるケースで、調査を行った。
・EFSAの助言フォーラムに関する国家当局へのリンク(それらのうちいくつかは食品中のアクリルアミドに関する専用ページを提供)
http://www.efsa.europa.eu/en/af/afmembers
11. EFSAの役割とは?
EFSAの役割は食品チェーンの潜在的なリスクに関する科学的助言を与え、科学的リスク評価を行うことである。食品中の汚染物質の分野では、この作業はEFSAのフードチェーンの汚染物質に関する科学的パネル(CONTAM パネル)に属する独立した科学的専門家が行う作業である。EFSAは食品中の汚染物質濃度に関するデータも集めていて、加盟国によるデータ収集の調整と監視を支援している。
EFSAが提供する科学的助言、データ、技術的援助は食品チェーンを管理し規制することについて情報に基づく選択を行うリスクマネージャーを支援する。
12. EFSAは食品製造業を規制したり食品安全性政策を作り出したりする?
いいえ。EFSAはアクリルアミドの消費者暴露を減らす目的の欧州や国の手段の決定に直接的な役割はない。これらの仕事は欧州委員会欧州議会、加盟国のリスクマネージャーの責任である。
13. EFSAはこの案をつくるのにどれだけオープンだったか?
開示性と透明性はEFSAの重要な価値基準である:EFSAは食品中のアクリルアミドに関する意見の発展を通して様々な段階で加盟国、科学的コミュニティ、社会市民団体、他の関係者と関わろうと模索してきた。
2013年4月、EFSAは食品会社の管理者と他の関係者に2010年から集めた食品と飲料のアクリルアミド量に関する追加データを提出するよう要請を始めた。EFSAは食品中のアクリルアミドに関する進行中の最新研究について調べるために関係者協議会を通して消費者団体、NGOs、食品企業に意見を聞いたりもした。
2014年7月1日から9月15日まで、EFSAの科学的意見案のアプローチ・使用された情報・結論案に関して批評してもらうために、科学者、国家当局、関係者、他の参加団体に科学意見案についてのパブリックコメントを募集した。
意見を最終化する前に、EFSAの科学的専門家は2014年12月に開催した公聴会パブリックコメント募集への貢献者と共にこの意見について議論した。この過程はEFSAの専門家がその科学的意見を微調整し、最新の研究(2015年3月まで)を最終的な科学的意見に統一するのに役立った。