食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

FDAは食用の遺伝子組換え植物と動物に関していくつか対応

FDA takes several actions involving genetically engineered plants and animals for food
November 19, 2015
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm473249.htm
しっかりした科学と包括的レビューに基づき、FDAは遺伝子組換え(GE)植物と動物由来食品に関して、本日初めての食用GE動物であるAquAdvantageサーモンの認可を含むいくつかの重要なステップを踏んだ。またGEまたはGEでない成分を含むことを自主的に表示したい事業者に対して2つのガイドラインを発表した。一つは大西洋サケ由来食品の表示に関するガイダンス案、もう一つはGE植物由来食品についての最終ガイダンスである。
FDAはAquAdvantageサーモンの申請を認めた
FDAはAquaBounty Technologies社の、GEでない洋食大西洋サケより早く市販できる大きさに達するAquAdvantageサーモン申請を認可した。AquAdvantageサーモンに導入された組換えDNAが成長を早くする。
科学的根拠を包括的に解析した結果、FDAはAquAdvantageサーモンは食品医薬品化粧品法に定める安全性と有効性の基準を満たすと決定した。
AquAdvantageサーモンは内陸で、カナダとパナマの二つの封じ込めた施設でのみ養殖される。この認可では米国内での交配や養殖は認められない。
FDAは遺伝子組換え食品の自主的表示ガイダンスを発表した
は大西洋サケ由来食品の表示に関するガイダンス案については60日間の意見募集を行う

  • 遺伝子組換え植物由来食品の表示

Labeling of Foods Derived From Genetically Engineered Plants
http://www.fda.gov/Food/FoodScienceResearch/GEPlants/ucm346858.htm
もし製造業者が食品に遺伝子組換えを用いて作られていないことを表示したいのなら、「遺伝子を組換えていないNot genetically engineered」「遺伝子組換えされていないNot bioengineered」「現代バイオテクノロジーを用いて遺伝子を修飾されていないNot genetically modified through the use of modern biotechnology」などの用語を使うことを薦める。(注:GMOあるいは遺伝子修飾genetically modifiedはだめ)
遺伝子組換え植物由来食品は全ての食品に適用されるのと同じ安全性や表示などの規制に従わなければならない。
1992年に政策方針で明確にしたように、FDAはGE植物由来食品が他の食品と一貫して意味のある違いがあることを示した情報を全く知らない。GEでない食品と比べて異なる、あるいは大きな安全上の懸念となることはない。しかしもしGE植物由来食品が、伝統的相同植物と物質として違うのであれば、食品の表示ではその違いを明らかにしなければならない。
FDAはGE由来食品が組成として違うのなら追加の表示を要求している。例えば新しいキャノーラ油が通常のキャノーラ油よりラウリン酸含量が多いのであればそう表示することを求めている。

  • 消費者向け情報

FDAはAquAdvantageサーモンは非遺伝子組換えサーモンと同様食べても安全と決定した
FDA Has Determined That the AquAdvantage Salmon is as Safe to Eat as Non-GE Salmon
11/19/2015
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm472487.htm
包括的で厳密な科学的レビューを経て、FDAはAquAdvantageサーモンは非遺伝子組換え大西洋鮭と同様食べても安全で栄養がある、という結論に達した。
挿入された遺伝子は魚の中で数世代に渡って安定で、GE鮭はヒトや動物が食べても安全で、遺伝子組換えは魚にとっても安全で、成長が早いという主張に合致する。さらに環境影響も評価し、米国の環境に意味のある影響を与えないことがわかった。これは複数の封じ込め対策をとっていて野生化することがありそうにないためである。
GE由来成分を含むという表示
同時に多くの消費者は食品やその成分が遺伝子組換えされたものかどうかを知りたがっている。法律ではGE鮭をGEと表示することは求めていないが、FDAは消費者の関心が高いことや一部の製造業者が区別したがっていることは承知している。
FDAは現在の表示に関する考え方を詳細に示した2つのガイダンス文書を発表した。ひとつはGEサケ由来食品表示に関するガイダンス案、もう一つはGE植物由来食品表示に関する最終ガイダンスである。
ガイダンス案については11月23日以降意見を受け付ける

  • Guidance for Industry: Voluntary Labeling Indicating Whether Foods Have or Have Not Been Derived from Genetically Engineered Plants

http://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/ucm059098.htm
基本原則としては、表示は誤解を招くものであってはならない。また「表示」は容器や包装に限られず、インターネットなどで提供されている情報も含む。
ノンGM“Non-genetically modified”という言葉は使用を薦めない。「遺伝子改変」にはより広範な意味があり、これまで広く使われてきた手法も含めて、手法にかかわらず遺伝子が変わっていることを示すからである。
さらに「GEフリー」「ノンGM」のような主張の場合の「全く含まない」という意味の「フリー」については非常に難しい法的定義を満たす必要があるためそのような用語は使わないことを薦める。
虚偽または誤解を招く表示の例としては、例えば塩のような遺伝子組換えされたものが存在しない成分を含むのに「この食品には遺伝子組換え成分を一切使っていません」と表示するような場合がある。
さらに全体としてGE成分を含まないことがその食品をより安全、より栄養がある、あるいはその他違う性質を示すようなことを示している場合には虚偽または誤解を招く表示とみなす。
(素直に読むと現在のnonGM表示がほぼダメと判断される。面白い。GEは日本ではあまり見ないけど)