食品安全情報blog過去記事

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Lumosityは「脳トレ」プログラムの詐欺的宣伝の罰金としてFTCに200万ドル払う

Lumosity to Pay $2 Million to Settle FTC Deceptive Advertising Charges for Its “Brain Training” Program
January 5, 2016
https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2016/01/lumosity-pay-2-million-settle-ftc-deceptive-advertising-charges
このプログラムで日常生活のパフォーマンスが鋭敏になり認知機能低下を予防すると主張していた
「Lumosityは消費者の加齢に伴う認知機能低下への恐れを食い物にしてこのゲームで記憶力の低下やアルツハイマー病すら予防できるとほのめかした。しかしその根拠は提供しなかった」
(日本語のサイトがある
http://www.lumosity.com/landing_pages/920?gclid=CjwKEAiA8K20BRDetNv3p6DNhXwSJADSwa3tW2lNuozNsexrLFd5i0QiVWfmF9ZhT3rs72pGxoajhhoCd43w_wcB
世界利用者7,000万人! アメリカ発の「脳トレ」ゲーム「Lumosity」とは何か?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/20150114_683538.html)

  • 脳ゲームメーカーのLumosityが虚偽の宣伝で200万ドルの罰金

ScienceInsider
Brain game–maker Lumosity fined $2 million for false advertising
By Emily Underwood 5 January 2016
http://news.sciencemag.org/brain-behavior/2016/01/brain-game-maker-lumosity-fined-2-million-false-advertising
人気のある「脳トレ」プログラムLumosityを作っている企業Lumos Labsが昨日FTCに虚偽の宣伝を行ったため200万ドル払うことに合意した。Lumosはオンラインゲームが職場や学校でのパフォーマンスを上げアルツハイマーや外傷性脳損傷PTSDのような重大な病気に関連する認知機能を低下を予防すると主張していた。200万ドルはLumosityの購入者に返金されるのに使われる。またこのサービスのオンラインやモバイルアプリの自動課金を簡単にキャンセルできるようにする。またゲームにアクセスする時にはポップアップスクリーンでFTCの命令について警告する。
この対応はFTCによる認知機能や記憶力増強を謳った製品への大規模取り締まりの一環である。FTCはこれまでLumosityのようなゲームで認知症などの影響が減らせるという宣伝について問題視してきた。Lumosity製品の文献と、より広範な脳トレゲームの利益に関する研究を評価した結果、それらには適切な科学的根拠がないと判断した。
製品の価値の根拠としてLumos LabsはLumosityで10週間トレーニングした人の認知機能を評価した最近のPLOS ONEの研究を引用している。Lumos Labsは「罰金の支払いは製品の品質や研究には関係ない、マーケティングの用語をもう使わないということだ」と言っている。さらにヒト認知機能プロジェクトのようなオンライン共同研究プラットフォームなどの科学コミュニティーへの強力な貢献については今後も継続するとしている。
FTCの知見はスタンフォード大学の研究者らによる科学的コンセンサス声明とNIHが出資した脳トレゲームについての大規模研究に一致する。基本的にこれらのゲームではゲームに慣れてそのゲームあるいは同じような作業が上手になる。その訓練が現実世界の何かに反映されるという根拠はない。FTCはFocus EducationやCarrot Technologyなど他にいくつかの似たような誤解を招く宣伝をしていた企業に罰金を科している。さらに今後もあるだろう。
(コンセンサス声明http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20150310#p16
FTCがちゃんと対応できるっていうのはすごいこと。つまりLumos側には論文を発表できる程度の科学者がついていて、根拠が全くないわけではない。それをまっとうな科学で否定するにはそれなりのレベルが必要。日本なんか消費者庁がインチキ論文で消費者を騙すほうに荷担しているという状況なわけで。)