食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 新しい研究はオーガニックと非オーガニック乳と肉に明確な差があることを発見

New study finds clear differences between organic and non-organic milk and meat
15-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/nu-nsf021216.php
British Journal of Nutritionに発表されたこれまでの発表論文の解析。オーガニックミルクと肉はそうでないものに比べて約50%、オメガ3脂肪酸が多い
Composition differences between organic and conventional meat: a systematic literature review and meta-analysis
http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=10181405&fulltextType=RA&fileId=S0007114515005073
オープンアクセス
(詭弁のお手本のような論文。絶対値は一切なく、相対値のみ。飼育方法や餌により肉やミルクの組成が異なるのは当然で、問題はそれにあまり現実的意味がないということなのだが。「黒酢には普通の酢よりアミノ酸が多い」式の宣伝。オーガニック推進団体や業者の出資や参加のある研究。)

  • 過去20年にわたり欧州の寿命には広く解消しがたい差がある

Wide and stubborn variations in longevity across Europe over past 20 years
15-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/b-was021116.php
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表された研究。欧州の高齢者の生存について、75-84才の10年生存率を1991-2001及び 2001-2011年で解析した。平均では2001年の男性の生存率は27%、女性は40%、2011年は34%と47%に増加した。しかし地理的には大きな違いがあった。2001年に高齢男性の生存率が高いのはスペインのMadridと Salamanca、アンドラ、スイスのジュネーブ、逆に低いのは英国のGlasgow, Manchester, Liverpool および Londonとフランスの北部鉱工業地帯とBrittany。
これらの決定要因は貧困(貧しい国)とライフスタイル(豊かな国)だろうと結論している。

  • 子どもを育てることは免疫系に対して胃腸炎より大きな影響がある

Raising a child has a bigger effect on the immune system than gastroenteritis
15-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/bi-rac021116.php
2-86才の670人の免疫系について詳細に調べ、個人のバリエーションが何に由来するのかを理解しようとした。年齢や性や肥満などの多様な要因を評価した結果、最も強力な要因は子どもを一緒に育てているかどうかだった。一緒に住んでいて子どもを育てている場合、二人の免疫系の個人間の差が50%減る。子どもを育てることは免疫系にとってワクチン接種や重症胃腸炎より大きな影響がある。調査は3年にわたり、定期的にモニタリングした。個人の免疫系の様相は一定で、ワクチン接種や胃腸炎で反応しても元に戻る。年齢は免疫系の様相にとって重要で、ワクチンへの反応は年齢に応じて減り感染抵抗性も減る。
Nature Immunologyに発表。
(子どもからいろいろうつされるし体力は奪われるしで大変なので子育てしやすい労働環境は必須。なのに現状は逆だから。)

  • こどもの肥満、急速な成長は妊娠中の母親がたくさんの魚を食べることと関連

Childhood obesity, rapid growth linked to pregnant moms eating lots of fish
15-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/tjnj-cor021116.php
JAMA Pediatricsにオンライン発表された論文によると妊娠中に週に3回以上魚を食べることが乳児期に急速に大きくなる赤ちゃんを産むことと子どもの肥満リスクの増加に関連する。欧州と米国の26,184人の妊娠女性とその子どものデータを解析したギリシャのCrete大学のLeda Chatzi博士らの研究。研究により魚を食べる回数の中央値はベルギーの週に0.5回からスペインの4.45回まで多様で、週に3回以上を高摂取、週に1回以下を低摂取とした。こどものうち31%が2才までの成長が早い、4才及び6才での肥満または過体重はそれぞれ19.4%と15.2%である。妊娠中に週3回以上魚を食べることは子どものBMIの高さと関連する。著者らはこれを魚に含まれる環境汚染物質との関連の可能性があると書いている。
オープンアクセス
Fish Intake in Pregnancy and Child Growth
A Pooled Analysis of 15 European and US Birth Cohorts
Nikos Stratakis et al.,
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2491661
(特に汚染物質についてのデータがあるわけではない。魚を多く食べる集団のほうが出産時の年齢が高いことと喫煙率が低いこと以外に差はないとのこと)