食品安全情報blog過去記事

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  • タバコのプレーン包装とEUタバコ製品指令についての専門家の反応

expert reaction to plain packaging of cigarettes and the EU tobacco products directive
May 19, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-plain-packaging-of-cigarettes-and-the-eu-tobacco-products-directive/
標準化タバコ包装とある種のパックサイズとメントールタバコの廃止を含むEUと英国の新しい規制が発効した。
プレーン包装に関して
Stirling大学健康政策教授Linda Bauld教授
タバコの標準化包装については科学的知見は一貫している:より簡潔な包装はタバコの魅力を減らし健康への警告の視認性を増す。豪州での現実世界での根拠はこれを支持する。
EU指令の電子タバコについて
ロンドンQueen Mary大学タバコ依存性研究ユニット長Peter Hajek教授
EUの新しい電子タバコ規制は重大な間違いがある。電子タバコに対して敵対的でタバコを吸うより電子タバコを吸うことのほうが難しくなる。このため現在喫煙しているヒトがよりリスクの少ないものに代えるのを遅くする可能性がある。

  • EUのグリホサートについての投票延期決定への専門家の反応

expert reaction to EU decision to delay a vote on glyphosate
May 19, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-eu-decision-to-delay-a-vote-on-glyphosate/
EUがグリホサートを含む製品の販売を認め続けるかどうかを決める投票を遅らせた
Lancaster大学環境有機化学准教授Crispin Halsall博士
グリホサートは多くの市販庭用除草剤製品に含まれる有効成分で農業一般にも広く使われている。この化合物は単純なアミノ酸であるグリシンに類似し、そのため植物の急速に生長する部分のたんぱく質の合成に干渉する。難分解性ではないが広く使われているために環境中から検出される。一般人のグリホサート暴露量は極めて少ないと考えられるがIARCがグループ2Aに分類したため注意深いレビューが必要になった。さらにしばしば矛盾する根拠がたくさんあるため規制担当者は医学の分野に学びしっかりした結論をだし人々の不安を和らげるための科学的根拠の評価方法を導入する必要がある。
Rothamsted研究所雑草生物学者Paul Neve博士
グリホサートは英国や欧州の現在の統合的雑草管理戦略にとって必須の成分である。他の多くの除草剤に耐性を獲得したblack-grass(ノスズメノテッポウ)のコントロールのために、残された最後の除草剤の一つである。グリホサートが使えないと現在の優良管理は大きく損なわれるだろう。また土壌の構造と健康にとって相当な利益のある不耕栽培の重要なツールである。グリホサートの登録についての決定は国やEUの経済や環境影響を全て考慮すべきである。
メルボルンのRMIT大学分析化学上級講師Oliver Jones博士
IARCの分類はそれががんをおこすかどうかだけを考えたもので、どのくらいの量でがんをおこすかどうかは考えていないことを考慮すべきである。日光やビールやワインはIARCの分類ではグリホサートより悪いがEUはアルコールの販売認可を止めようとは考えないだろう。グリホサートを禁止すれば代わりのものが使われ、そのリスクはグリホサートよりわからないだろう。
Dundee大学神経学准教授Christopher Connolly博士
グリホサートの問題でPAFF委員会が特定多数に至らなかったのはこの件についてもっと科学的根拠が必要だというメッセージである。
発表前に書かれたコメント
Southampton大学職業環境医学教授David Coggon教授
IARCの分類はハザードのみについてのものである。実験動物に与えるような極めて高濃度で発がん性があるものであっても実際の暴露量ではリスクとはならない化合物もある。
EFSAのような機関の問いはその化合物ががんをおこす能力があるかどうかではなく、提案された使用条件で予想される状況での発がん性である。アルコールはヒトのがんの原因であるがだからといってアルコール入りチョコレートを禁止したりはしない。