NTP Cell Phone Study Report Released Today
05/27/2016
Report of Partial findings from the National Toxicology Program Carcinogenesis Studies of Cell Phone Radiofrequency Radiation in Hsd: Sprague Dawley® SD rats (Whole Body Exposure)
http://biorxiv.org/content/early/2016/05/26/055699
- 携帯電話の放射線と腫瘍を関連づける研究後の疑問
Scienceニュース
Questions abound after study links tumors to cellphone radiation
By Warren CornwallMay. 27, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/05/questions-abound-after-study-links-tumors-cellphone-radiation
米国政府の大規模研究で、携帯電話の放射線に暴露された雄のラットが希な脳および心臓のがんになりやすいことが予備的解析で発見され、このあちこちにある機器によるヒト健リスクについての懸念が増えた。しかしこの研究は、携帯電話の電磁波に晒した実験動物での研究ではこれまでで最も包括的なものであるが、決定的というにはほど遠い、と研究者は言う。そして知見は多くの謎がある。例えば何故雄ラットだけで雌ではみられないのか、あるいは何故携帯電話の放射線に暴露したラットのほうが平均すると長生きなのか、など。この研究ではこの知見を説明する生物学的メカニズムがわからない。そしていつものように、齧歯類での研究はヒトにあまりあてはまらない。
この知見は5月26日遅くにNTPのサーバーに投稿されたもので、既に科学や政治の界隈がざわめいている。さらなる研究を求める声と携帯電話への追加の警告を求める声がでている。
この研究はラットとマウスを2年間携帯電話の発する放射線に暴露するための特別な「反響室」を作って行ったもので、1日9時間、1.5ワット/kg体重(連邦規制値の1.6ワット/kg体重より少しだけ下)あるいはそのその2倍または4倍の用量で暴露した。対照群は全く暴露しない。ラットの病理検査の結果、暴露された雄ラットの2-3%に悪性神経膠腫が見られた。心臓には2-6%にSchwann細胞の腫瘍がみられた。対照群ではどちらもなかった。雌ラットでは群間にほとんど差はなかった。
- 米国NTPによる携帯電話の高周波のラットへの影響についての研究に対する専門家の反応
SMC
expert reaction to study on the effects of mobile phone radiofrequency radiation on rats by the US National Toxicology Program
May 27, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-on-the-effects-of-mobile-phone-radiofrequency-radiation-on-rats-by-the-us-national-toxicology-program/
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
NTPがこの問題を調べるのは良いことだ。しかしこの知見の一部は携帯電話を使用することの健康リスクについての現実的な懸念を誘発しない。この問題についてはこれまで多くの研究が行われてきて、一部は関連が無く、一部は携帯電話を非常に多く使用することとごく僅かな限定的リスクの根拠を報告している。NTPのこの結果がこれまでの見解を改めさせるとは思わない。
最初に、これはNTP研究の一部で、まだ他の情報がわからない、あるいは科学的レビューを完了していない。結果の一部だけを見ては歪めることがある。さらにこの結果は人間ではないラットを生まれる前から毎日9時間一生涯に渡って高周波に晒したものである。これは多くの人の使用より多い。
この研究の統計学的検出力は小さく、これまでの知見から予想される高周波の影響を検出できる可能性は低い。1群90匹は多いように思えるかもしれないが、発生する腫瘍が希なので腫瘍の数が少ない。そのためランダムなばらつきが大きな意味をもつようになる。さらにこの実験の対照群が少し普通と違っていて通常の類似の実験より寿命が短く腫瘍が少ない。懸念があるのは検出力の小さい試験の結果がしばしば誇張されることだ。
この研究は携帯電話がラットの腫瘍に与える小さな影響についての非常に弱い根拠で、私はこれを理由に携帯電話の使用を止めることはない。