食品安全情報blog過去記事

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世界のがん:発生、原因、そして予防への道

Global Cancer: Occurrence, Causes, and Avenues to Prevention
7–10 June 2016, Lyon, France
http://www.iarc.fr/en/media-centre/iarcnews/pdf/IARC_Conference_2016.pdf
IARCの50周年記念イベント

  • がんを研究して50年

50 years of researching cancer
Christopher Wild
http://www.wcrf.org/int/blog/articles/2016/06/50-years-researching-cancer
IARC長官のChristopher Wildのエッセイ
がんの研究にとって50年は長い。IARCが1965年に活動を始めたとき、がんの原因についての我々の知識は今とは違っていた。50年前は環境リスク要因による重要な修飾を受ける遺伝子は誰も知らなかった。今や分子レベルでのがんへの道筋がよく定義されていて全ゲノム配列決定により標的を絞った治療のみではなく原因についても明らかにしつつある。
IARCの当初の目的は「がん研究の国際協力を促進する」であった。過去50年の世界中の数千というがん研究者の協力によりこの目的は現実のものとなった。
国連ファミリーの一部であるというIARCの特有の立場は多くの利点があった。
IARCは最初から世界のがんの発生率の違いからがんの原因を理解しようとしてきた。これががん登録という長期計画になった。
50年で達成したこと
がん発生率の地理的多様性はがん予防のための研究のきっかけを提供する。この成果の一つがHPVと子宮頸がんの関連の提示である。世界最大のがんとライフスタイル要因のデータを集めるEPICコホートを立ち上げた。さらにIARCモノグラフで発がん物質の分類をしてきた。
次の50年は?
残念ながら、がんの分子生物学の理解は50年前とは比較にならないレベルであるが、IARCの科学者が1960年代半ばに既に知っていたがん発生率の世界的不平等の多くがまだ残っている。がん患者の数と治療費の急騰は特に低−中所得国の重荷になっている。がんの予防を優先すべきである。国際研究はますます各国の質問に答えを出す必要がある。従ってIARCはこれまで以上に国毎の需要に協力したアプローチを必要とする。IARCの次の50年は、機会だけでなく責任を意識する。おおくのことがなされたが、まだ多くのやるべきことがある。