食品安全情報blog過去記事

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論文

  • ピーナッツアレルギーのある就学前児童の経口免疫療法は安全で効果的であることが示唆される

Oral immunotherapy is safe, effective for peanut-allergic preschoolers, study suggests
10-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/nioa-oii080916.php
臨床試験の結果が. Journal of Allergy and Clinical Immunologyに発表された。
9-36ヶ月の40人のピーナッツアレルギーの子どもを1日ピーナッツタンパク質3000mgの高用量と300mgの低用量群に割り付けた。平均29ヶ月の投与後、4週間ピーナッツを完全に排除して再導入したところ約80%が症状がでなかった。低用量と高用量で差はない。ピーナッツを避けた154人の対照群に比べて経口免疫療法の子ども達は食事にピーナッツを導入できる可能性が19倍。

  • 食品の保持期限についての知識を向上させる

Improved knowledge of shelf life of food
10-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/au-iko081016.php
"Best before(賞味期限)", "usable at least until(少なくとも〜まで使える)"および "expiry date(消費期限)"がデンマークの食品の期限表示に使われている。2012年と2015年にデーマーク人の表示に関する知識を調べ、報告した。2012年より2015年のほうが良くなっているがわずかである。まだ捨てられる食品が多すぎる。

  • フランクフルト詐欺:あなたのホットドッグに入っているものを見つける

Frankfurter fraud: Finding out what's in your hot dog
10-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/acs-fff081016.php
Journal of Agricultural and Food Chemistryに発表された肉製品の真正性を確認するための試験法。ホットドッグに入っている牛肉、バッファロー肉、豚肉の短いDNA配列ペアを調べる技術を開発してマレーシアの市場で買った20のビーフフランクを調べてみた。「ビーフ」と表示されていた全てのホットドッグにバッファローの肉が含まれていた。
マレーシア大学の研究。

  • 広島と長崎の原子力爆弾の長期健康影響は想定されているほど悲惨ではない

Long-term health effects of Hiroshima and Nagasaki atomic bombs not as dire as perceived
11-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/gsoa-lhe080416.php
約20万人の生存者やその子ども達の年十年もの研究と一般の人々の認識との違いを強調する論文
1945年8月の広島と長崎での原爆の爆発は恐ろしい災厄をもたらした。放射線暴露による長期影響は生存者のがんを増やした。しかし生存者のがんの発症率やその子ども達の先天異常率についての一般の人々の認識は、実際に研究で明らかになったものと比べると大幅に誇張されている。このミスマッチの理由とその意味についてGENETICSの8月号で議論している。
フランスのAix-Marseille Université/EFS/CNRSの分子生物学者Bertrand Jordanは、「科学者を含む多くの人が、生存者は激しい健康影響に直面してがんの発症率は非常に高く、子ども達は遺伝病がとても多いと思っている」という。「この信念と実際に研究者が発見したこととは非常に大きなギャップがある」。この記事には新しいデータはないが過去60年間の医学研究をまとめている。これらの研究で確かに放射線暴露はがんリスクを増やすことが明らかになったが、同時にサバイバーの平均寿命は放射線に暴露されていない人よりたった数ヶ月短いだけであることも示している。サバイバーの子ども達にはこれまでのところ健康影響はみつかっていない。
このような研究結果と一般の人々の認識との違いには歴史的文脈を含む多くの要因が絡むだろう。
(日本人なんて広島も長崎もとてもいい町であることを知っていながら福島では放射能が未来永劫祟るみたいなこと言ってるんだから、遠い外国の人は当然だよねぇ)

  • 肺疾患に対する新しい治療法が期待できるにも関わらず、根拠のない幹細胞療法が増加

Unproven stem cell therapies for lung disease on the rise despite promise of new treatments
11-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/bumc-usc081116.php
研究者らは不治の病で絶望的になった患者を食い物にする「幹細胞医療ツーリズム」が世界的問題になっているという。
Annals of the American Thoracic Societyのエディトリアルにボストン大学医療センターのLaertis Ikonomou博士らが書いている。患者を含む一般の人と専門家では「幹細胞療法」に関する認識が大きく異なる。根拠のない幹細胞療法を行っているクリニックの盛んで恥知らずな宣伝と、幹細胞に関する過剰に期待に満ちた無批判な主流メディアでの報道、特定の患者の体験談による宣伝、批判を嫌う専門家の沈黙、などで事態は悪化している。