食品安全情報blog過去記事

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食用色素の再評価:EFSAは大規模計画を完了

Re-evaluation of food colours: EFSA completes major programme
14 September 2016
https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/160914a
ゼリーからジャム、デザートから飲料まで、着色料は色落ちを補い、天然の色を強調し、色がないように見える食品に着色するために多くの食品に添加されている。すべての食品添加物のように、EFSAにその安全性を評価されている着色料だけをEUリスク管理者が使用を認可することができる。アナトー抽出物と二酸化チタンについての2つの意見が最近採用されたことで、EFSAは2009年以前に認可された全ての着色料の再評価を完了する、重要な節目に到達した。
食品添加物及び食品に添加される栄養源に関するEFSAのパネル(ANS)の副議長で、着色料の再評価を課せられた作業グループの議長であるRuud Woutersen氏は、この大規模作業計画の背景、課題、影響を説明した。
この作業が行われた理由は?
多くの食品添加物は最初ずっと昔に評価され、承認されている。評価を最新のものにするために、欧州委員会は、あらゆる新しい証拠を考慮して2009年1月20日以前に認可されたすべての添加物を2020年までに再評価するようEFSAに求めた。EFSAの科学的助言に基づき、欧州委員会と加盟国はその後、消費者を保護するために、添加物の使用状況を変えるかどうか、あるいは必要であれば、EU食品添加物認可リストから外すかどうかを決定する。着色料は認可された最初の添加物なので、その再評価は優先されている。
作業には何が含まれていたのか?
全体として、ANSパネルは41の着色料を再評価した。私たちは全ての入手可能な、関連する科学的研究や毒性に関するデータとヒトの暴露をレビューし、そこからその物質の安全性に関する結論を引き出した。評価の一部として、パネルは可能なら―すなわち、十分な情報が入手可能な時には―それぞれの物質に許容一日摂取量(ADI)を設定した。最初のバッチの6つの再評価は2009年に行われ、多くの着色料の再評価は2012年までに完了した。当時と現在の間に、パネルは多くのほかの食品添加物も再評価し続け最終化した。例えば、2013年には甘味料アスパルテームの再評価を完了した―作業の重要な一部分である―そして多くの保存料や抗酸化剤を完了した。
課題は何だったのか?
食品添加物の安全性を再評価するための私達の能力は、科学的データを入手できるかどうかに大いに左右される。新しい添加物では、申請者は詳細な科学的及び毒性学的情報を提出するよう求められる。これは再評価には当てはまらない。十分なデータがない場合には、評価は結論が出ないままになり;あるいはパネルは、2009年にサンセットイエローにしたように暫定ADIを設定できるが、これは2014年に再検討された。2007年以降EFSAは食品添加物について15のデータ要請を開始しており、そのうちの6つは着色料に関連している。新しい濃度データが入手できるようになったおかげで、例えばカラメル色素(2012)とアルラレッド(2015)の詳細暴露評価を行えるようになった。
再評価の影響はどの程度?
新しい情報に照らして、EFSAはいくつかの着色料のADIを下げた。結果として2012年には欧州委員会は食品に使用されるこれらの着色料のうち3つ(E 104, E 110, E 124)の最大量を下げた。別の重要な影響は2007年の着色料レッド2G (E 128)の市販取り消しだった。この時は新しい科学的証拠が入手可能となり、この食品添加物の使用は安全上の懸念となる恐れがあると示した。EUの意思決定者はこの着色料はヒトに安全だとみなすことはできないとするEFSAに同意し、その後EUの使用リストから外した。
この作業が終了すると、次は?
着色料の再評価の完了はEFSAの重要な節目である。だが、私達の作業はここで終わらない。2020年までに再評価する食品添加物がまだ山のようにある。そしてもちろん、私たちは新しく入手可能な科学的情報や使用状況の変化に照らして、着色料やほかの添加物をレビューするために委員会からのあらゆる臨時の要請や独自に課した活動の一環として、答える準備がある。
飼料着色料については?
食品添加物として使用される着色料は飼料添加物としての使用も認可されている可能性がある。その安全性評価は別の規制の枠組みによる異なるデータ要請で、EFSAの動物用飼料に使用する添加物及び製剤又は物質に関する科学パネル(FEEDAP)が行っている。そのリスク評価アプローチと入手可能な科学的情報の検討における一貫性を確認するために、パネル間でその科学的作業を協力している。例えば、着色料パテントブルーVの安全性評価 (2013)では、ANSパネルはFEEDAPパネルも使用した研究からのデータを含んでいる。
思い返すと、あなたはこの成果から何を得ましたか?
人は学ぶのに年を取りすぎているということは決してない、そして私は他の科学的分野の同僚とともにこれらの複雑な評価に取り組む中で会合ごとに何か新しいことを発見する。この作業での私の主な科学的役割は―認証された毒性病理学者として―かなり特殊なものである。だから私にとって、例えば動物実験が市販されている成分で行われているかどうかを決定できるように成分の明細について化学者と生化学者の評価した意見を聞くことは重要なことである。ヒトに関する潜在的な影響について医師と疫学者から受け取った情報も同じように重要である。
私達の暴露評価の専門家も最終結論を形成するのに大変役立っている;人がどのくらい暴露する恐れがあるかを知って初めて消費者のリスクの可能性を推定できる。だから、欧州の消費者の安全性に寄与することを非常に誇りに思うのと同じように、この作業の学際的性質はパネルと作業グループに参加するための重要な動機であり、今後もそうであり続けるだろう。

・ニュース記事:食品着色料:二酸化チタン再評価
https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/160914
食品添加物としての二酸化チタン(E171)の再評価に関する科学的意見
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4545
食品添加物としてのアナトー抽出物(E 160b)の安全性に関する科学的意見
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4544